Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱炭素と生産性向上の同時進行】効果を上げるダイハツの取り組み事例

 

「脱炭素は重要なもの」と考える企業が増え、工場など生産現場で、その取り組みが加速しているといいます。これまでの太陽光発電などの再生可能エネルギーから、生産工程の効率化や仮想空間を使った脱炭素のシミュレーションなどの動きも出てきたそうです。

ブランド化する「脱炭素」 企業がこぞって取り組む切実な理由 - 産経ニュース

 ダイハツ工業は主力の京都工場を約350億円をかけ、脱炭素をコンセプトにして大規模改修したといいます。

大きな変化はロボットの導入による塗装工程の無人化だ。ロボットによる正確でミスの少ない塗装と、静電気を使って車体に塗料を引き寄せる技術によって空気中に飛び散る塗料を大幅に削減。これにより、塗装に不可欠な低湿度に調整された塗装ブース内の空気の約50%を再利用できるようになり、二酸化炭素削減につながった。(出所:産経新聞

 

 

 また組み立て工程では、紙の指示書をタブレットで確認できるように変更したりするなどして、生産の効率化も図ったそうです。

 記事によると、今回の効率化によって車1台当たりの生産時間は約30%削減され、再生可能エネルギーの導入などと合わせ、二酸化炭素排出量は令和7年には平成25年比で58%削減できるそうです。また、生産台数は従来より10万台増え、年間23万台を見込むそうです。

「自動化によって作業の時短、従業員の負担減、脱炭素の3つのメリットがあった」と、工場で現場を管理する社員は効果を説明していたそうです。

 ダイハツがこの京都工場のリフレッシュを決定したのは2018年のこと、グローバルでの競争力を維持、向上するため生産体制を強化することを目的に、最新技術を導入し、次世代の自動車生産環境を念頭に、従業員の働きやすさ向上、負荷変動への柔軟な対応に取り組むと共に、CO2削減など環境負荷にも配慮した工場とするとしていました。

競争力向上を目的に京都工場のリフレッシュ工事を決定|ニュースリリース|ダイハツ工業株式会社 企業情報サイト

 脱炭素だけを目的にしたものではないようですが、結果的に、生産性を向上させようとする取り組みは、省エネを介して脱炭素とも親和性が高く、また従業員の働きやすさにもつながり、それでいて競争力も高まるということを証明したのかもしれません。

 この取り組みによって生じた利益を企業の内部留保するのではなく、従業員には賃上げの原資とし、消費者には値下げとして分配できれば、みなにとって益あることになり、そればかりでなく、CO2の削減によって社会に対しても貢献できるということなのでしょう。そうあって欲しいし、それを実現し、それを正しく発信していくことが求められているのでしょう。

 

 

 また、記事は、日立製作所による脱炭素の取り組みとし、仮想空間に現実の世界を再現する「デジタルツイン」を紹介しています。

大みか事業所では、約900カ所に設置した電力センサーによって、工場内の消費電力を可視化している。これに製品に内蔵した電子タグやカメラによって製造工程を可視化したデータなどを組み合わせることで、工場のどこでどれぐらいの二酸化炭素が排出されているか把握できるようになる。こうして工場の二酸化炭素排出量を仮想空間上でシミュレーションし、脱炭素のための施策の効果を検証できる。(出所:産経新聞

 この活動によって得られる知見を、工場向けの脱炭素ソリューションに転用し、今後販売していく予定といいます。

 脱炭素の取り組みが遅れがちといわれる中小企業のためにも、安価にサービス提供できるようになれば、中小企業の脱炭素が進み、ダイハツの事例のように省エネや生産性の改善にも発展していくことがあるのかもしれません。そうなれば、社会への貢献もより大きくなっていくのでしょう。

 こうしたことが、大企業に求められる責務なのかもしれません。そのためには普及、啓蒙活動は欠かせず、そこに創意工夫が求められるのでしょう。

 脱炭素というと、ハードルの高さを感じるものかもしれませんが、二酸化炭素の排出量をパラメータとするのもよいのではないでしょうか。その改善に着手してみれば、そこから様々な副次効果を得ることができるということが明らかになっているのでしょう。

 まずはざっくり現状を把握してみる。その上で何ができそうか検討する。それが改善の始まりです、そうなれば、仔細計画を作ることが可能となり、それを実行に移せば効果を享受することができるはずです。