Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

立ち消えとなりそうな高速道路の無料開放、国の諦めは早すぎないのか

 

 DX:デジタルトランスフォーメーション、GX:グリーントランスフォーメーションなど、「X」がつく造語が増えています。それだけ変革、改革が求められるようになっているのでしょう。

 国主導でこうした造語が作り出されることにうさん臭さを感じます。国が関わる事業でどれだけ「X」の精神が活かされ、変革を起こそうとしているのでしょうか。

 国土交通省が、無料化されるとしていた高速道路の料金の徴収期限を最長50年延長して2115年までとする方針を固めたといいます。無料開放の時期は大幅に遠のき、見通せなくなったそうです。

 

 

増すばかりの負担、遠退く高速道路の無料開放

 道路公団の民営化に伴い、政府は2050年までは料金を徴収して建設費を返済し、その後は無料開放する方針を掲げていましたが、12年の中央道 笹子トンネルでの事故を受け、巨額の老朽化対策費を確保する必要があるとし、期限を2065年に延長したといいます。しかし、その後も大規模な更新や補修が必要な箇所が次々と判明したことが理由と言います。

高速道路、2115年まで有料へ 老朽化対策費を確保 遠のく無料化:朝日新聞デジタル

一定期間ごとに高速道路各社が事業計画をつくり、更新・補修費用を料金で返済できるかなどを国交省が審査しながら進める方針。同省幹部によると、老朽化対策費の確保をめぐっては、料金の値上げや増税も選択肢になり得るが、「道路を長く使うための投資は、将来世代を含めた受益者で負担するのが妥当」と判断した。(出所:朝日新聞

 ゴールが40年以上先だというのに、ずいぶん早い諦めではないでしょうか。

国の借金と同じ論法で、色々口実を作っては必要といいながら、借りた金を返す計画を作れないから許してください、ぜひ国民で負担をといっているようなものです。

 これでは、改革も変革も必要なく、技術革新の不要になります。これを国が認めてよいものでしょうか。

 

 

しのび寄る人口減少の影響

 朝日新聞によれば、人口減少の影響もあるといいます。今後、交通量も減少が見込まれ、徴収期間も長期化せざるを得ないといいます。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、国内の人口は2065年に約8800万人、2115年に約5千万人に減少。(出所:朝日新聞

 一方で、暫定的に2車線で整備した路線の4車線化など新たな投資にも、徴収する料金は使われるそうです。

 こちらの計画の見直しの必要はないのでしょうか。それとも、それまでには人口減少に歯止めがかかる有効な対策が実行され、傾向に変化が起きるのでしょうか。いずれにせよ、計画が杜撰ということなのでしょう。選挙目当ての計画だったりするのでしょうか。

岐路

「企業は社会課題の解決で価値創出を」と、経済同友会桜田代表幹事が説いています。

経済同友会・桜田代表幹事 「企業は社会課題の解決で価値創出を」:日経ビジネス電子版

 国の無計画な対応をみると、桜田氏の言葉が虚しく響きます。企業が社会課題の解決に勤しんでも、その横で次から次へと国が新たな課題を作っているようにも感じます。

「日本経済へのカンフル剤と言われた異次元緩和は、今では鎮痛剤を経て麻酔になっている観がある。その結果、今では、日本経済が病気になっていると気が付きにくい。金融政策が問題を見えにくくしている状態になっている」とも桜田氏は指摘しています。

 そうなのかもしれないと思います。打ち出の小槌をふれば、お金が降ってくるわけもなく、必要最小限の投資で、最大限の効果を得ることに徹していかねばならないのでしょうし、そうした体質への転換が求められているのでしょう。

 

「参考文書」

高速道路 有料期限を最大2115年まで延長する方向 無料化厳しく | NHK

高速道有料期限、65年から再延長へ 老朽化で無料遠く: 日本経済新聞