Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【企業の不祥事】なぜ不正がおきるのか

 

 プラスチックス大手の東レが樹脂製品で、米国の安全認証で「UL」を不正に取得していたとの報道があり残念に思いました。東レを信用し、そのエンプラなどを使用していた身からすれば、ショック極りありません。

日覺昭廣氏「品質不正、デフレ心理の裏に契約順守意識欠如。適切な価値の訴求を」:日経ビジネス電子版

こうした事案が起きた原因は、契約順守意識の欠如にある。これは東レのみならず、日本人に共通した特徴だ。(出所:日経ビジネス

 欧米など多様な人種によって構成される社会は、意見の違う人がいろいろなことを論議し、約束事を決めていると、東レの日覺社長は指摘し、「その契約は絶対で、守らないことはあり得ない。そうでないと社会が成り立たないからだ」といいます。

 

 

過剰なストレッチ

 これに対して、日本は皆がだいたい同じ常識を持っているので、約束も努力目標のようなレベルで契約してしまうケースが常態化しているといいます。

「本来は70点くらいで十分でも、世界一いいモノを世に出すために、80点のモノを作ろうと目標を立てる」、悪くはないことのようにも思えます。ただ期限内に達成できないのであれば、それは無謀な計画なのかもしれません。

 そうでもあるにもかかわらず、努力目標のまま契約し、後になって、安全上問題がないことを理由に、顧客の了承を取り、特別採用で問題ないとする。こうしたことが「コンプライアンス(法令順守)」を棄損させることにつながっていくということでしょうか。

契約に書いていないことをやったらお金がもらえないというのが常識だ(出所:日経ビジネス

「契約がすべてだという意識でやらないと、グローバルに付き合っていくことはできない」と日覺社長はいい、「かつての日本は高い目標を達成しようという上昇志向が品質向上につながり、世界をリードしてきた側面もあったが、そういう考え方はもう通用しない時代」といいます。

 そうなのでしょうか。契約を守ってあたりまえ、その上で、高い目標を目指すべきような気がします。

 普通に努力すれば到達できる計画がまずあって、その上で、もう少し努力すれば達成できるのがストレッチ目標で、さらに果敢に努力して到達できるのがチャレンジ目標なのでしょう。それぞれに求められる努力の内容を明らかにして、そのリスクを事前に評価し、その上で、それらを組み合わせて事業計画と目標が設定されれなければならないのでしょう。

 計画は達成できるものでなければなりません。達成できない計画を作ること自体が無謀なのです。そうした計画が招く結果は当然未達です。そうなれば言い訳が始まり、最悪、虚偽が生じたりするのかもしれません。コンプライアンス違反の始まりです。

 

 

合理的とは

「いいモノを安く」というのは日本人的な美徳かもしれないが、それがグローバル競争における不利を生んでいるのではないか。(出所:日経ビジネス

 そうなのでしょうか。いいモノが安ければ、売れないはずがありません。それでも事業が成り立たないのは事業計画に誤りがあるということなのでしょう。リーズナブル、合理的な価格設定ができていないだけではないでしょうか。

 価格確保すべき利益をどがえしにして売価を設定したり、市場で求められる売価に対して、生産性向上が追い付かず、高コスト体質になっているから利益を圧迫するのではないでしょうか。

 日覺社長はいう「正しいことを正しくやる会社」とは、合理的に運営されている会社ということではなのでしょう。

「合理的」とは、道理や論理にかなっていることであり、むだなく能率的であることをいいます。達成できない目標を押しつけることは合理的とはいわないのでしょう。

 達成できる目標を作り、それを実現する合理的計画があれば、コンプライアンス違反のリスクを低減できそうな気がします。

 

 

 自分が携わっていたパソコンの周辺機器事業が時間はかかりましたが、世界トップシェアを争うほどの事業に成長した経験からそう思えるのです。達成できそうにない目標を設定せざるを得なくなれば、もうお客様の期待に応えることができなくなります。そのとき、会社はその事業からの撤退を決めました。そんなものです。