Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

価格は高騰し、納期は遅れる太陽光パネル、太陽光発電は行き詰ってしまうのか

 

 太陽光パネルの価格高騰と納期遅延が深刻化しているという。そんな中、一般社団法人日本PVプランナー協会が「太陽光パネルの価格高騰・納期遅延に関する緊急調査」を行った。

従来3か月以内で調達できた太陽光パネルが今では、その入手に3か月以上かかっている実態がアンケート調査から分かったという。

 また、これまで下落傾向にあった価格が、今年に入ると一転し、上昇したという。その上昇幅も15%以上となっているそうだ。また、来年の価格見通しは、アンケート回答者の8割以上が、高騰が継続するとみているという。

調査で分かった太陽光パネルの納期遅延・価格高騰の実態、FIT申請に大きな影響も:ソーラーシェアリング入門(52)(1/2 ページ) - スマートジャパン

  記事はこうした状況からして、太陽光発電事業を縮小させる傾向があるとして、政策対応を働きかけていきたいという。政府に対応を求めることは、それはそれでいいことなのだろう。ただ、それだけで十分なのだろうか。

 

 

FIT制度なくして太陽光事業は成立しないのか

 このアンケート調査では、価格高騰がFIT制度の事業計画認定申請に影響したかどうかを尋ね、次のような回答があったという。

この価格高騰がFIT制度の事業計画認定申請に影響したかどうかという質問に対しては、48.9%で影響があったと回答し、その影響の内訳を聞くと認定申請を減らしたとする回答が57.6%、認定申請そのものを行わなかったとする回答も22%となっています。

この結果からは、太陽光パネルの価格高騰によるコスト増加が太陽光発電事業を縮小させている傾向を見て取れます。(出所:スマートジャパン)

 この調査を実施した業界団体は「太陽光発電の健全な市場発展に努める」という理念を掲げている。理念実現を阻害する要因が生まれたとき、その解決を政策に求めるだけでいいのだろうか。

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 確かに国が2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、再生可能エネルギーの主力電源化を謳う。しかし、それは気候変動の対策の一環であり、人々が安心して暮らしていくために欠かすことのできない目標に過ぎない。

 プラスアルファの努力が求められていないだろうか。協会自ら動き、その対策に乗り出すべきではなかろうか。それでもそれが叶わないなら、代替ソースを構築するくらいの気概がなければ、脱炭素の目標達成もなく、また市場の発展もないのだろう。

 

 

問題解決は他人任せだが、利益は常に自分のもの

 太陽光事業者がFIT制度を利用したいとの誘因があることは理解できるが、その制度によって、再生可能エネルギーの価格が高くなる要因となり、また、その費用を国民が負担することになっている現実をどう考えているのだろうか。国からのインセンティブなくても、事業が成立できるよう早期に取り組むべきであって、またそうなってもらいたいと、費用負担する側からは強くいいたい。

 何か日本が抱える問題の縮図を見るような気がする。ビジネスとは、常に目の前にあらわれる壁を乗り越えるため、その解決を可及的速やかに実行し、効率化を進めることにあるのではなかろうか。問題だ問題だということは誰でもできることだ。その問題は一体誰が解決すできるのだろうか。他人任せにするから問題はいつまでも解決されない。そうして競争力を失い、その後で、誰かが尻拭いをし、苦い思いをする。もう他者を犠牲にすることをやめにしなければならない。