物流の「2024年問題」があります。トラックドライバーの残業規制導入で荷物が運びきれなくなるといいます。
国もその対策に乗り出し、有識者会議は、着荷主(小売業のように荷物を受け取る企業)に対しても物流改善の取り組みを義務付ける必要性を提言したといいます。
アスクルに学べ 物流危機克服、急務な荷主の意識改革: 日本経済新聞
野村総研の試算では、25年に28%、30年には35%の荷物を運びきれなくなる可能性があるそうです。
物流クライシス
特に、人口減少が顕著な地方のトラックドライバー不足は深刻といいます。
試算で最も厳しい秋田県での需給ギャップは30年にマイナス46%に達するという。人口密度が高い地域を優先するなら運べるのは、秋田市、潟上市、八郎潟町、横手市、能代市に限られてしまい、「人口密度が低く効率が悪いその他の地域は、運賃が上乗せされる『離島扱い』になる可能性がある」(出所:日本経済新聞)
国の提言に、小売業界が反発しているそうです。国の政策の対象となることに、納得できないとしているといいます。
共同配送
記事は、異なる荷主の荷物を同じトラックで運ぶ「共同配送」を推奨し、これによって現在4割以下に低迷している積載効率が改善されるといいます。ただ、弊害もあるようで、着荷主の理解が不可欠となり、納品の時間指定を互いに融通し合わないとならないといいます。
これまでの商習慣を見直すことはできないのでしょうか。
小売りとは異なるのかもしれませんが、製造業であれば、着荷主が取引先の荷を受け取りにいくこともあります。
たとえば、牛乳配達の逆のパターン(ミルクラン)で、納品箱の空箱を取引先に配りにいって、ついでに納品物を集荷してきます。これでも共同配送は成り立ちます。
また、着荷主手配のトラックを幹線に走らせ、その沿道に集荷ポイントを設けて、そこに集まる取引先の荷を集めて、工場に戻っても「共同配送」は成立します。
何台ものトラックが長距離輸送する必要はなくなり、取引先の物流は集荷ポイントまでの短い距離で済むようになります。
問題を切実なものとして、工夫を凝らせば、解決策は見つかります。
コンソリデーション(混載)とは、コンテナ一本を貸しきってしまうには費用等の理由で適切でないとき、コンテナに荷主2つ以上の貨物を積み合わせることをいう。(出所:マルナガロジスティクス)
物流コストを抑制しようと思えば、「共同配送」にすべきとなります。取引先にお願いしてできないのであれば、自らやればいいだけのことです。
誰がやっても発生する費用です。自らやって効率化してもよいはずです。
他の誰かのために、トヨタの理念
「仕事の目的とは、誰かの仕事を楽にすること」、トヨタ自動車ではそう語られているそうです。
世の中にひとりでやれる仕事はありません。どんな仕事にも関係者がいて、そのおかげで仕事が前に進むのです。ですから、相対する関係者の仕事が楽になれば、自分もまた楽になるのです。
他人に尽くせば、自分にもちゃんと返ってくるのです。つまり、他人を楽にすると自分もまた楽になるわけですね。(出所:プレジデントオンライン)
物流が混乱するようになれば、それは自分たちに影響することになります。
他の業界の問題を自分の問題として考え、それを仕事にすれば、効率改善や生産性の向上にも役立つのではないでしょうか。