Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ChatGPTは創造的破壊を誘うのか、今求められているもの

 

 OpenAIのアルトマンCEOが来日し、「ChatGPT」への注目がさらに高まっているのでしょうか。

 岸田首相と面談したり、自民党の会合にも出席したそうです。色々な思惑もあるのでしょうから、様々な憶測が飛び交います。

ルビコン川を渡った人類~東大の見解

「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」との見解を東京大学が示したことも紹介されています。

東大、ChatGPTなど生成系AIに見解 「人類はこの数ヶ月でルビコン川を渡ってしまったかもしれない」: J-CAST ニュース

生成系AIは「平和的かつ上手に制御して」利用すれば、人々の幸福に大きく貢献する一方、課題も山積しており、今後の社会への悪影響を懸念する。(出所:J-CAST ニュース)

 記事によれば、「多くの分野の学者が社会の大変革を予感しており、原子力やコンピューターの登場ぐらいのインパクトがあるだろう」と語っているとし、期待感をにじませ、急速に発展するテクノロジーとの向き合い方を学生や教職員に説いたそうです。

警鐘を鳴らすイーロン・マスク

 イーロン・マスク氏と著名な技術者や研究者らが、AIシステムの開発をただちに中止するよう呼びかけたといいます。

 高度なAIが人類にもたらすリスクを評価する間、高度な製品を展開する「制御不能な競争」から手を引くよう開発者に求めたそうです。

マスクらが人類へのリスクを考慮しAI開発の「一時停止」呼びかけ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

短期的には、AIシステムは既存の偏見や不平等を悪化させ、誤った情報を広め、政治や経済を混乱させ、ハッカーを助ける可能性があると専門家は警告している。長期的には、AIは人類に存亡の危機をもたらすと警告する専門家もいる。超高性能AIが開発される前に、その問題に対処しなければならず、システムの安全性を確保することが今日の開発の重要な要素であるべきだと彼らは主張している。(出所:Forbes)

 一理はあるのでしょう。G7のデジタル・技術相会合が今月29日から群馬県で開かれますが、そこでもAI技術にどう対応していくかが議題となるそうです。

GPT-3を搭載したヒト型ロボットとの会話

 一方、AIが感覚を持つものになり、人間を支配するようになるとの予測もできるまでに問題は進展しているそうです。

 英国で人型ロボットを開発するEngineered Arts社のヒューマノイド「Ameca」に、OpenAIの「GPT-3」という言語モデルを搭載するとコミュニケーションができるようになったといいます。

GPTを実装したヒューマノイド、DeepLで日本語も喋る | ギズモード・ジャパン

「キミは臭いな」と言われると、少しうろたえ怒りの表情で「失敬な! どういう意味ですか? とても侮辱的で不適切です」と人間的な反応です。(出所:ギズモード)

 現在は、「GPT-3」を使用していますが、これを最新の「GPT-4」にすると、処理時間が長くなり反応が減ったといいます。まだまだ改善すべき点が多いのでしょうか。しかし、脅威かといえば、脅威のように思えます。

破壊的イノベーション

 他方、技術革新がその効果を発揮するまでに長い時間がかかることは、歴史を見ればわかることだといいます。最近でいっても、パソコンしかり、インターネットしかり、スマホしかりです。

恐れる必要はない AIは奪う以上の「仕事を創出」する | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

発明の波は毎回、大量失業に対する同様の恐怖を生み出す。しかし、産業革命が経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが「創造的破壊」と呼んだこのプロセスを開始してから約300年以上もの間、先進経済は平均して働きたい人の約95パーセントを雇用してきた。もし技術革新がかつて懸念され、そして今日も懸念されているような永続的な失業を引き起こすのであれば、雇用率は技術革新の波が来るたびに低下したことだろう。(出所:Forbes)

 人は技術革新が起こるたびに失業を意識するものなのかもしれません。現実に、多く人たちが職を追われたことは事実なのでしょう。しかし、記事の指摘もまた然りで、新たな仕事が生み出されます。パソコンの事例を記事は紹介しています。

 確かに、CADで作図できるようになり、今まで熟練の設計者しかできなかったことが誰でも作図ができるようになりました。一方で、紙の図面を管理していた技術支援のセクションは不要となりました。しかし、誰でも作図できるようになったことで、経験知が活かされなくなり、品質問題が発生するようになりました。その改善のために、デジタルを活用しシミュレーションができるようになり、様々なノウハウのデータ集を作る動きもでました。そのようなものなのでしょう。

問われるもの

「ChatGPT」のような生成系AIの登場は、破壊的イノベーションの始まりなのかもしれません。様々な恩恵をもたらすと同時に破壊へと誘っていくのかもしれません。これまで以上に、「倫理」「道徳」が問われるようになっていくのでしょう。それが人類を破滅から防ぐ唯一の防御手段ではないでしょうか。

 

「参考文書」

世界に衝撃「ChatGPT」開発企業のCEO 独占インタビュー | NHK | AI(人工知能)

日本独自のAIモデル開発は難しい 自民党が「AIホワイトペーパー(案)」公開 - ITmedia NEWS

最終的にはChatGPTにロボット制御もさせたいマイクロソフト | ギズモード・ジャパン