Up Cycle Circular’s diary

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【広島AIプロセス】国際ルール作りを主導したい政府と日本企業の実力

 

 G7広島サミットが盛り上がりみせています。生成AIについても議題に上がり、国際的なルール作りを進めることで合意したといいます。今後「広島AIプロセス」で検討、年内に結果を報告するよう求めたそうです。

生成AI、国際ルールへ合意 「広島プロセス」年内に報告―G7サミット:時事ドットコム

「経済、社会に対する影響力が甚大で、G7が一致して、切迫感を持って対応すべきだ」と首相が呼び掛け、「人間中心の信頼できるAI」の構築を目指すことで一致したといいます。

 

 

ビッグテック

 一方で、ビッグテック 巨大IT企業がAIにおいても、利益を得やすい環境が生じているとの指摘もあります。

コラム:対話型AI革命、ビッグテックが勝ち組 弱者はたちまち敗退か | ロイター

 すでにマイクロソフトやアルファベットの株価は急上昇し、投資家が熱狂しているにもかかわらず、挑戦者がほとんど出てこないと記事は指摘します。大規模言語モデルをゼロから開発するには信じられないほどのコストと時間がかかるためといいます。

規模とデータは重要な鍵だ。クラウドコンピューティングや、その前で言うと電子商取引の初期と同様に、AIの台頭によって生み出される価値の大半を享受するのは巨大企業だろう。それ以外の多くの企業にとっては、生き残りをかけた戦いが始まったばかりだ。(出所:ロイター)

 業務効率を進める動きが出始め、また深刻な影響を受ける人たちもいるといいます。こうした動きにG7で検討する国際ルールで何らかの規制がかかり、状況変化が生じるのでしょうか。

日本語特化型

 日本企業でもLLM 大規模言語モデルの独自開発を進める動きが活発化しているようです。OpenAIのアルトマンCEOが来日、首相と面談し、チャットGPTが、英語に比べ、日本語での精度が劣るとし、より正確な回答ができる日本語AIを開発する必要があるとの認識が生まれたからでしょうか。

 AIが学習に使うデータが、英語圏に偏ることで日本に関する結果も偏る「言語バイアス」の問題が指摘されているといいます。一方で、日本語データばかりを学習しても世界標準からの偏りが生じそうで恐い話でもあります。

 サイバーエージェントは、日本語特化型のLLM 大規模言語モデルを開発したといいます。NTTも今年度内に大規模言語モデルの独自開発を進め、商品化を目指すといいます。

サイバーエージェント、日本語特化型の大規模言語モデルを開発 | Ledge.ai

 記事によれば、サイバーエージェントのAIでは、より自然な日本語の文章生成が可能となったそうです。このAIが導き出す文章には偏りが生じることはないのでしょうか。

 また、生成AIのリスクに対して慎重な姿勢を示すNTTとしては、その利用にあたっては「クローズドなものを使うのが社内の基本方針と強調しているとといいます。

 こうした動きを見ていると、生成AIにおいても、日本企業は世界的なポジジョンを取るつもりもないということなのでしょうか。

 

 

トラステッドウェブ

 巨大IT企業が国よりも大きな権限を持つようになったといわれる一方で、そのサービスは生活に不可欠になりつつもあります。

 日本政府が2020年に「トラステッドウェブ推進協議会」を設置し、信頼をより重視した次世代ネット社会の基盤構築に取り組んでいるといいます。

日本発「信頼できるネット」が実現? 巨大IT企業依存を脱却へ【けいざい百景】:時事ドットコム

人工知能(AI)の学習には大量のデータが必要となるが、その中に信頼できないものが含まれていればAIが間違った結果を提示する恐れがあり、データの産業利用の面でも信頼できるネット基盤の構築は喫緊の課題だ。(出所:時事ドットコム

 記事によれば、巨大ITのような特定の管理者に依存しない「分散型識別子」と呼ばれる技術を使い、個人データを利用者自らが管理するのが「トラステッドウェブ」の提案といいます。

 今後の「広島AIプロセス」では、こうした技術を含め議論となっていくのでしょうか。気になります。

 ただ日本企業の動きからすると、政府の思いとは裏腹に、なかなかリーダー的なポジションを取るのが難しいのではないかと感じます。

 

「参考文書」

NTT、効率的な大規模言語モデルの独自開発を発表 | Ledge.ai

生成系AIコンサルティングサービスを提供開始 ―GPTの全社活用による実践知と富士通グループの知見を掛け合わせ、包括的な支援を実現― | ニュース | Ridgelinez (リッジラインズ)株式会社 | DXコンサルティング