米アップルが発表したAR 拡張現実に対応したヘッドセット端末「Vision Pro」を発表し、その可能性を称賛する声が上がり始めています。
Apple Vision Proは「パーソナルコンピュータ」を再定義する | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「バーチャルコンピュータに関するテック業界全体の見方に影響を与える新製品になるだろう」といいます。
Vision Proはアップルにとっても顧客にとっても、非常に大きな意味をもつ製品だと断言できる。それは空間コンピュータ時代の幕開けになるだろうし、過去の例と同様、アップルはおそらく競争で2年は先んじている。(出所:Forbes)
記事によると、アップルは基調講演で、企業での活用例として、医療や工場、自動車業界などでVision Proを用いてシミュレーションを閲覧するデモも披露したそうです。
さまざまな業務用ソフトウェアも変革していく可能性を秘め、まず企業を中心に広がっていくのかもしれないといいます。
早くも関連技術を有する企業にも触手しているようです。
米軍向けのARヘッドセットを製造する新興企業の米Mira(ミラ)を買収したとの報道も流れています。
米アップル、ARヘッドセットの新興ミラを買収=報道 | ロイター
記事によると、ミラは米空軍や海軍と少額の契約を交わしているそうです。アップルは小規模な買収は随時行っていると説明しているそうです。
生成AIの祭り騒ぎが続く日本
一方で、日本では相も変わらずChatGPTの登場によるお祭り騒ぎが続いているようです。
集英社が、画像生成AIを使って生み出した女性モデル「さつきあい」の写真集を販売終了にするそうです。現実には存在しない人物ですが、SNS上では、実在する人物に似ているという指摘も上がり、また、画像の著作権を問題視する声が上がっているといいます。
AIが生み出した女性モデルのグラビア写真集、集英社が販売中止…著作権を問題視する声 : 読売新聞
記事によると、集英社はAI生成物の商品化について「世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいった」と、販売終了の理由を明かしているそうです。
日本政府も、生成AIによる著作権侵害の事例が多発することへの懸念を示し、今後、必要な方策を検討するそうです。
米国でもAIブーム
米国の株式市場でも、AIへの熱狂が過熱し、マーケットのプロたちの目論見が見事に外れているといいます。
米国でも、こうしたブームが巻き起こったのだから仕方がないのかもしれません。
ウォール街にまたも不意打ち、2023年の人気トレードすでに総崩れ - Bloomberg
米経済はリセッション(景気後退)を恐れる弱気な見方をはね返し、人工知能(AI)への熱狂が過熱するなど、大方の予想に基づく投資はことごとく敗北を喫している。(出所:ブルームバーグ)
大手テクノロジー株は当初、売り飛ばされていましたが、このAIブームでその流れにも変化があるようです。「レーダー外にあったAIは、今では優に相場を動かす最大の要素となっている」といいます。
目論見が外れることはあるのでしょうし、また流れが変われば、意図も簡単に手のひらを反すのが投資の世界なのでしょうか。
新たな端末を作り、そのエコシステムも構築するアップル
それよりは今後のアップルの動向が気になります。
これまでも、PCにおける人間と機械のインターフェースの創出でアップルは大きな役割を果たしてきたし、新たなUI(ユーザーインターフェース)の導入で重要な貢献をしてきたといいます。そして、それはこの新しい端末で、そうなるだろうと言われます。
一方で、ChatGPTなどのAIが「UI革命」で先行しているとの意見もあるようです。どうなのでしょうか。
Apple、4度目狙うUI革命の死角 ChatGPTが先行 - 日本経済新聞
今のところアップルもさほど生成AIに熱心ではないように見えます。得意の様子見で、世の中の議論の深まりをながめているのでしょうか。
今回のARヘッドセット端末も最初に製品化したわけでもなく、使用シーンを再定義しただけのように見えます。ただ、その端末から広がるエコシステムをまた新たに構築し、早くもその抑えにもかかているように見えます。AIは後付けでもまだ間に合うとの読みもあるのでしょうか。
Apple(アップル)の過去の名場面を覚えているだろうか。スティーブ・ジョブズは、2008年にMacBook Airを披露した際に、その薄さを印象づけるためにマニラ封筒から新製品を取り出した。ジョブズはまた、ジーンズの謎のポケットからiPod nanoを取り出し、iPadを発表した際には、心地よさそうな革張りの椅子で新製品を手にしていた。彼は常に、顧客に使ってみて下さいと言う前に自分がその製品を使っている姿を見せたのだ。(出所:Forbes)
ティム・クックがVision Proを装着しなかった理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
しかし、今回の発表では、ティム・クックCEOが、「Vision Pro」を装着することもなかったといいます。また他のアップルの幹部やプレゼンターも同様だったといいます。
大きなスキーゴーグルのようなヘッドセットを装着することは、不格好ではなく、好ましい体験でなければならない。(出所:Forbes)
アップルは発売までの1年以上の時間をかけて自社が定義する空間コンピューティングに沿ったエコシステムを形成することになると記事も指摘、「この製品は、アップルが万全な準備を整えた後に、市場に投入されることになるだろう」といいます。
日本企業はAI祭りに浮かれてていいのだろうかと思います。
「参考文書」
ついにアップルがVR/AR市場に参戦、他社の競合製品を振り返る | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「生成AI、著作権侵害のおそれ」知的財産保護へ方策を検討…政府原案に明記 : 読売新聞