Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

それも無印らしさか、新たなアンチテーゼに取り組む理由

 

 無印良品、1980年代に「消費社会へのアンチテーゼ」という思想から生まれた会社といいます。

 それから40年余り経過した今、「社会構造を囚人のジレンマから解き放つ──」という新たなアンチテーゼ「対立の理論」にチャレンジしているそうです。

第二創業のMUJIが目指す「21世紀版アンチテーゼ」とは何か | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

本当に日本が貧しかったころから、少し豊かになり、どんどん物が買えて、消費もできるようになって幸せになってきた40年前の状況といまは違う。いまは停滞がずっと続いてきて、生活している人も発想も変わっているなかで、『本質的にいい生活、いい社会ってなんだろう』と、もう一度立ち止まって考えよう、ということなんです。(出所:Forbes)

見えない成果

「無印500」や「地域への土着化」など様々な施策を掲げ、売上が伸びた一方で、利益率が低下しているといいます。円安、原材料高に伴う仕入れコストの上昇など急激な環境変化の影響もあるようです。それに加え、新たに始めた施策の成果がまだ十分に上がっていないということなのでしょうか。

守るべきもの

生活の基礎を支える商品やサービスを「ちょうどいい品質とちょうどいい価格で誰でも手に入れることができる」「継続性がある」、それがノーブランドである無印が守らなければならないもの。(出所:Forbes)

 無印らしさということなのでしょうか。

ジェンダーレス」から「普通の服」へ

これまで苦戦を続けていた衣服は「普通の服をちゃんと揃うようにしよう」と方針を変えたことで改善の兆しが見えてきたそうです。

良品計画、増収も「10年で利益率1番低い」と堂前社長…「無印500」は50カ所拡大、衣類復調【上期決算】 | Business Insider Japan

「思いが強すぎるというか、とんがりすぎているものだけだと、なかなか普通の人には通じなかったのだと思うんです」と堂前社長はいいます。さらに「今は形も素材も普通かもしれないけれど、そのを上げるということに集中している」と語ったそうです。

土着化

 全国10カ所の地域事業部を新設し21年9月に始まった「土着化」もまだ課題が多いようです。

無印良品を、地域をよくするために、地域で産業を興すために使う』。そのような意志をもって行動できる店長がどんどん増えてほしい。(出所:Forbes)

 従来のままトップダウンの意思決定のもとで動くマインドから脱却させ、自発的、自律的に目の前の課題を解決していく社会活動家のようなマインドを醸成することが目下の課題だといいます。

囚人のジレンマ

囚人のジレンマ」とは、お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマのことをいうそうです。各個人が合理的に選択した結果が社会全体にとって望ましい結果にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれるといいます(参考:Wikipedia

「隣の人同士が信用できないと、全体最適にならないが、お互いが情報共有をして善意を出し合えば全体最適ができるのではないか」と堂前社長はいいます。

食べる、健康になる、コミュニティをつくる、といった生活の基本に関しては、企業からも、それ以外からも善意が集まり、切磋琢磨しながら、適切に利益を出し、金融資本家からも、生活者からも、行政からもガバナンスが利く。きちんとしたマインドをもった人たちが組めば、そういう社会システムができると考えている。(出所:Forbes)

 さらに「会社とは公器であると言われますが、そもそも器という箱ですらなく、プロジェクトや取り組みや社会活動」といい、「会社が、宇沢弘文さんの言う社会的共通資本の装置として、社会のシステムのインフラとなる」という発想で進めたいといいます。

 言葉遊びのようにも聞こるというと、ふしだらかもしれません。しかし、今の社会情勢に適合した、最も適切な言葉を選んでこそ、この時代に必要なことが伝わるのでしょう。

 賛同者が増えればいいのかもしれません。そうなれば社会の空気感また変わっていくような気がします。