Up Cycle Circular’s diary

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【物流の2024年問題】商慣行を見直しはじめたスーパーマーケット

 

 物流危機とも呼ばれる「2024年問題」、物流業界における人手不足の問題です。ドライバーの時間外労働の規制が強化されることより、長距離の輸送力に懸念が生じ、改善されない状況に、政府も対応に乗り出すといいます。6月を目処に政策を決定する方針だそうです。

マルエツら流通危機に向け戦略的提携、賞味期限「1/2ルール」時代へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 この危機回避に向け、これまでは荷主企業にも効率化の協力を求めていたそうですが、法改正し「強制力の行使」に近い形で、物流効率化を荷主に義務付けようとしているといいます。

 物流の停滞が、経済への悪影響を及ぼすことを懸念してのことではないかと記事は指摘します。

 しかし、政府が動かなければ、業界が動かないとは少々情けない話ではないかと思います。他力本願というところなのでしょうか。

 物流が滞って、スーパーマーケットなどの店舗に商品が並ばなくなれば、それはお店にとっても打撃ですし、何よりもお客さまに多大なご迷惑をかけることになってしまいます。そんなことを許すようであれば、商売人失格ではないでしょうか。

 顧客からの要求があれば、それに応えることは企業に求められることです。それをないがしろにしては事業が成り立つは訳はありません。

 顧客企業(納品先)からたびたび無理と思える要求がありました。そして、いつものように取引においてはウィンウィンの関係が成立しなければならないとし、努力すれば、これこれの成果があがってメリットがあると説得され、いつも協力していました。顧客企業は約束を守り、また協力に報いるためか、多くの仕事を我々に任せてくれるようになりました。顧客企業は飛躍し、また自分たちの事業も成長していきました。

 顧客の期待に応えるため、我々もまた取引先に様々な要求をし、ウィンウィンでなければならないといって説得し協力して、その要求が実現するよう努めました。誰かひとりが得をするということはなく、みなが利益に授かれることがあって、その要求は成就し、それによって事業も成長するのではないでしょうか。

持続可能な食品物流

 スーパーマーケットが物流会社に要求を出して当たり前のことのように思われます。お客さまや社会からの要求があるなら、なおさらのことです。

 記事によれば、サミット、マルエツヤオコーライフコーポレーションの食品スーパー4社が共同で、物流効率化に向けた具体的な取り組み宣言を公表したそうです。

食品スーパー大手4社は本来、競合関係にある。手の内を見せ合い、物流効率化に向けた研究を引き続き進めていく姿勢は「生活者への途切れることのない食品供給」の維持を目的と示した。(出所:Forbes)

持続可能な食品物流構築に向けた取り組み宣言および首都圏 SM 物流研究会発足について

 この宣言によって食品スーパー4社は、「定番発注商品、締め時間の前倒し」「特売・新商品のリードタイム確保」「納品期限の緩和 1/2ルールへの統一」「流通BMSによる業務効率化」に取り組むといいます。それぞれに効果が見込まれる、物流の効率化に寄与していくそうです。

 一方で、この取り組みは現状の商慣行と比較すれば、小売にとって過剰在庫や販売機会の損失のリスクもはらんでいるだろうと指摘し、「小売から生み出された余裕を卸・メーカーがうまく活用しなければ物流の持続可能性にはつながらない」とし、「それでも積極的に取り組む意義は大きく、他業種においても後に続くべき」といいます。

静かに沈みゆく日本

 四社が共同で対応することはそれは理想的なことなのかもしれません。しかし、導入する取り組みによって、効率化のメリットがあるのになぜそれにこれまで着手してこなかったのかとの疑問があります。他のどの競合よりも早くそれに取り組めば、いち早く効率化というメリットを享受することができ、差別化によって、他社より優位に立てかもしれません。そして、それが顧客や社会にも好影響を与えることになったのでしょう。

 取り組みによって生じるデメリットは課題として、今後改善すべき事項に過ぎないように思います。その手間を嫌がり、問題を複雑化させるような言い訳をして、問題解決を先送りしていただけのように見えます。これでは、いつまで経っても社会問題が解決することはないのでしょうし、サスティナブルとはいえず、持続可能な社会も実現することはないのでしょう。これが静かに沈みゆく日本ということなのでしょうか。

「よりよくする」、改善するとはある意味では手間をかけることです。しかし、その手間以上の成果を出すことが「改善」なのですから。