Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

持続なき社会ではないか、企業物価の上昇は賃上げを押しとどめてしまうのか

 

 日銀が発表した11月の企業物価指数の速報値が前年比プラス9.0%となり、これまでで、最高の伸び率だったといいます。ロイターによれば、石油・石炭製品などの輸入品の物価が上昇し、国内企業物価指数の押し上げにつながったそうです。

企業物価指数、11月は過去最大の伸び率:識者はこうみる | ロイター

 記事よれば、識者たちの多くが、消費者物価への影響は限定的で、価格転嫁が進まず、賃上げには逆風との見方をしているようです。あまりありがたくない話のようです。いつになったら景気は回復し、持続的に賃金が上昇するようになるのでしょうか。

 

 

ESG経営、SDGs経営はできているか

 ESG経営、SDGs経営などといわれ、企業による社会課題の解決が求められています。大きな課題に取り組むと同時に、経営者自身がマインド変革を起こす必要があるのかもしれません。どんなに大きな課題に取り組もうと、それが従業員のためにもなり、その努力に報いることなくして、課題の解決などありえないのでしょう。

「取らんと欲するものは、まず与えよ」と中国ではいい、聖書には「与えよ、さらば与えられん」とあるといいます。従業員に報いてこそ、業績は改善し、また、それによって景気も上向いていくことにつながるのかもしれません。そうすることで持続性が担保されるいくものです。

国のデジタル化

 デジタル庁が発足し、国も本気で行政の効率化に取り組み始めたのかと思いきや、なかなかうまくいっていないようです。

日本の行政、デジタル化拒む本能 使い勝手より組織優先: 日本経済新聞

 日本経済新聞は新型コロナのワクチンの接種記録システム(VRS)での問題を指摘しています。政府がつくった接種券番号を読み取って自動入力する端末に誤読が相次いだと伝えています。

「ユーザーは誰かという話が通じない。だからどこから手をつけていいか分からない」と、デジタル庁の事務方トップ、石倉洋子デジタル監が官の意識の低さをぼやいていたそうです。

首相官邸が「デジタル化」の旗を振っても、デジタル庁を含めた各省庁は体裁を整えるだけの姿勢が目立つ。情報をつなげたり保存したりするのを拒んできた後ろ向きな本能が変わらない限り、国民は非効率な行政の犠牲者のままだ。(出所:日本経済新聞

 これが日本のデジタル化の実態なのでしょうか。官庁であれ、どこであれ、効率化の追求は当たり前のことではないでしょうか。その意識が乏しいという指摘にはただ驚かざるを得ません。

 

 

効率化は誰のためか

 入社して間もないころに上長から「トヨタの生産方式」を学べと勧められ、会社のなかで一番厳しいといわれた研修に参加にして、徹底的にこれを学ぶことになりました。製造現場に出て、座学で学んだ「トヨタの生産方式」を実践する。研修ではありながら、本気の改善を行うことを求められる研修でした。そして、その間も、しきりに「仕事とは」と問われ続け、この改善は何のためにあるか、この改善提案で、研修を受け入れている製造現場の幹部が本気になって、その改善を続けるようにならなければならないと求められました。

 このとき、自分なりに得た結論は、「結局、仕事とは効率化に尽きる」でした。あらゆる手段を導入して、効率化を最大化する。それによって生産性が改善されれば、それは顧客のためになり、会社のためにもなり、ひいては自分自身のためになる。逆であってのもいいのかもしれません。自分の仕事を効率化することが、会社のためになり、ひいては顧客のためになり、それによって利益を頂戴する。

 改善を為し、そこでコスト低減に大きく寄与できたなら、正当にそれを主張して、給与に反映してもらう。そんなことまで、その研修で学んだのかもしれません。改善は無限であり、それを続けていけば、必然給与も上昇する。その努力に報いるのは経営者の義務です。

効率化と最適化の両立

 携わってきた仕事は、最初は月数百台を作る小さなビジネスでしたが、それが後々には月に数百万台まで生産するようになり、世界シェアでトップ争う位置まで成長しました。その時に常に心掛けたのは、あの研修で学んだ製造業における付加価値QCD、品質、コスト、納期の最大化でした。それが顧客のためであり、会社のためであり、自分のためでもありました。

 それら価値を最大化するということは、つまり、それぞれにおいて効率化を追求することでもあります。

 効率化とは、何も数字だけを追いかけ、良い数字を作るだけのことではありません。そこには常に最適化が求められます。人にとっても最適状態であることに主眼がおかれているといってもいいのかもしれません。そうであってはじめて組織の最適化も図ることができます。

 デジタルは効率化するための最善の手段です。デジタル化することが目的ではなく、あくまでも効率化を図り、最適化することが目的です。目的と手段を取り違えてはならないのです。そして、効率化、デジタル化を進めようとすると、必ず抵抗勢力が現れます。これに惑わされてはなりません。私もあの研修を受けるまでは抵抗勢力のひとりだったかもしれません。