19.4兆円の巨大な市場、EC市場規模が拡大を続け、2019年の扱い量がそこまでになった。コロナ禍の影響で、今後さらに成長することが見込まれているという。
キャッシュレス決済もコロナの影響で急拡大する。それでも、まだ「デジタル化」の進展には遅れがあるという。
そんな中、アマゾンジャパンが、中小規模事業者のEC活用を支援するため、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「EC活用支援パートナー制度」に登録したという。
中小機構のような公的機関とアマゾンが連携する目的はどこにあるのだろうか。
アマゾンによれば、その支援制度は、中小企業や小規模事業者の「販路拡大」、「生産性の向上」を目的に、ECやITの導入等を支援する事業者が連携し、支援活動を行う制度だという。
中小機構が運営するEC活用支援ポータルサイト「ebiz」で、Amazonが提供するサービス内容や成功事例等を掲載、また、全国で開催されるセミナーやワークショップ、大規模イベントへの講師派遣や出展等、中小機構のEC等活用支援事業との連携を行うという。
そればかりでなく、アマゾンは東京の経済団体「東京商工会議所」にも入会したと発表した。
AMPによれば、東京商工会議所に登録する中小企業の成長支援に貢献していくためだという。
今後、Amazonは中小企業のECを活用した国内および海外での販路拡大に向け、Amazonでの出品サポートや、日本各地の特産品など魅力的な商品をより多くのユーザーに紹介する各種施策を強化していく (出所:AMP)
東京商工会議所、その歴史は古く、今年の大河ドラマの主人公になっている渋沢栄一らによって1878(明治11)年3月に設立された。
渋沢は、官尊民卑打破を考え、合本組織による事業経営を説いた人物。
渋沢栄一の説く合本組織とは…
個人主義に基づく利潤の追求ではなく、国家社会全体の利益、すなわち公益を増加させることを第一とし、最も適した人材と資本を集めた組織のこと。したがって、組織形態は必ずしも株式会社ではなくてもよく、会社の目的を達成するために適した組織を意味していた。 (出所:東京商工会議所)
「(東京商工会議所の)設立については実業界の問題を多数の人々によって相談して公平無私に我が国商工業の発展を図らなければならない」と考え、7名の創立発起人らとともに準備を進め、今の東京商工会議所が誕生し、初代会頭に渋沢がついたという。
渋沢栄一は東京商工会議所の設立を日本の実業界の地位を向上させる好機と捉えていたようだ。こうした活動があって渋沢は約500もの企業設立に関わることができたのだろうか。
その渋沢は「資本主義の父」と称され、「道徳経済合一説」を説く。
「企業の目的が利潤の追求にあることは間違いではないが、その根底には道徳が必要であり、国ないしは人類全体の繁栄に対して責任を持つことを忘れてはならない」という思想。
その渋沢の思想は、「SDGs」に近いとも言われ、「論語と算盤」がさかんに紹介される。
東京商工会議所は、アマゾンの入会について、こうコメントしたという。
「世界有数のECサイトであるAmazonの日本法人、アマゾンジャパンが新たに東商に加入頂くこととなり、大変うれしく思っています。
アフターコロナに向けた中小企業のデジタル化による経営改善と事業成長の加速は重要な経営課題です。
すでに同社には昨年、中小企業のための越境ECセミナーを共催頂くなど、中小企業の海外販路開拓にご支援を頂いておりますが、今後も東商の活動に積極的にご参画頂き、中小企業の国内外の販路開拓や生産性向上に貢献して頂くことを大いに期待しております。」 (出所:AMP)
Amazonを現代の渋沢栄一という気はないが、こうしたAmazonの活動で、中小企業のデジタル化が進み、生産性の向上につながれば、今いうDXデジタルトランスフォーメーションということになるのだろうか。
アマゾンはDayOneブログで、「デジタルが切り拓く中小企業の未来」という連載を始め、デジタル化を上手に取り入れ活用し、成功した事例を紹介する。
すべての中小企業が成功することはないのかもしれない。それでも、自身の経験からすれば、Amazonマーケットプレイスなら誰もが手軽にEC電子商取引を始めることができると思うし、アマゾンは何も大袈裟なことを言っていることはないと思う。
ただ記事もそうだが、ユニークな商品が必要ないと、アマゾンの巨大なマーケットプレイスに埋没する恐れは否定できない。
アマゾンを利用した「デジタル化」ということがあってもいいのかもしれない。それで解決できることは小さなこともしれないが、続けることが大きな変化につながっていくのだろう。
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