地方移住、国が進める地方創生がコロナ渦で違った形で実現する方向に進んでいるのだろうか。
コロナで深刻な業績不振にあえぐANAが地方創生事業に乗り出し、「ANAあきんど」という子会社を社内変更して発足させた。
ANAによれば、「地域でともに暮らすANAグループコンシェルジュ」を国内33支店・約120名に配置し、ANAの様々なアセットによるトータルソリューションで、地域の課題解決を手伝うという。
地域創生の大きな課題である農水業新興や人口減少からくる雇用対策として、地域の自治体や企業の皆様が、コンシェルジュを通じて「二拠点生活」や「おてつ旅」などを通じた労働力支援、独自色の強い地域名産品の販売など、ANAグループ内に広がるさまざまな機能を活用したソリューションをご利用いただくことができます。 (出所:ANAホールディングス)
そのANAあきんどは4月7日、愛媛県と地域創生に向けた連携協定を締結したと発表した。
日本経済新聞によれば、今回の協定締結を機に、ANAあきんどが愛媛県内でみかんを生産する協力農家と連携し、ANAあきんどが持つ販路や輸送能力を生かしてみかんの販促を担うという。
農家の人手不足の解消に向けて、余暇と仕事を組み合わせる新たな働き方「ワーケーション」も支援する計画だ。 (出所:日本経済新聞)
ANAあきんどによれば、南予地域を中心とした移住・定住の促進、関係人口の創出などにも取り組むという。
ワーケーション、ユニリーバは早くから働き方改革の一環として「地域 de WAA」として「ワーケーション」を取り入れていた。
ユニリーバが自治体と連携し、その地域の施設を「コWAAキングスペース」(コワーキングスペース)としてユニリーバ社員が無料で利用でき、現地では地域のイベントやアクティビティに参加することもできます。
また、自治体の指定する地域課題解決に関わる活動に参加することにより提携する宿泊施設の宿泊費が無料または割引となるのが「地域 de WAA」です。 (出所:ユニリーバ プレスリリース)
ANAあきんどが目指す地域創生の活動も、同じような取組になっていくのだろうか。
旅行代理店大手のJTBもユニリーバのワーケーション「地域 de WAA」の取り組みを紹介し、ワーケーション、地方移住を推進する。
<企業のメリット>
・社員のWellbeing(ウェルビーイング)の向上で生産性が上がる、イノベーションが生まれる
・地域の課題解決に関わることが個人の経験になる
<自治体のメリット>
・自治体の強み(観光資源・自然)と企業の強み(人材・専門性)を掛け合わせて問題解決に取り組める
・ワーケーションによる関係人口の増加は、地域創生が目指す「移住・定住」の足掛かりになる
・しっかり働ける場所さえあれば地域に仕事を持ち込める
⇒長期滞在が可能になり、災害時のボランティア等も受け入れやすい(出所:JTB)
マイナビ地域創生は、千葉県香取郡多古町の地方創生事業「農あるまちづくり」プロジェクトと連携、古民家「大三川邸」を再生し一棟貸しを始めた。
マイナビ地域創生によれば、多古町が国の地方創生推進交付金を活用してリノベーションをした古民家を借り受けて運営等全般を担い、観光客やワーケーション利用者の呼び込み等、交流人口・関係人口の創出に資する施設として活用するという。
また大都市圏でコロナが拡大を始める。一方で、コロナの影響で、リモートワークでできる仕事があることも分かってきた。デジタルを使えば、便利な都会にこだわらなければ、自分の好きな場所で働くこともできる。
「場所」という呪縛を解き放てば、精神的に豊かになるのかもしれない。
地方には大きな企業はないかもしれないが、今までの終身雇用の便益が薄れゆくことを鑑みれば、定年まで1つの職業でやっていくことを考えるのではなく、地方で副業ならぬ、その地域の課題解決を通した「復業」という選択肢はあるのかもしれない。
リスク蔓延の都会より地方の方がこれからの成長余地は大きいのかもしれない。
利用できるサービスが増えているなら、それを使ってまずは経験してみる手はありそうだ。
「参考資料」