政府が二酸化炭素の排出を2050年に実質ゼロにすると表明するとの報道が流れると、よかったと思う反面、疑う気持ちがまだ残っていたりする。どこか政治に対する不信があるのかもしれない。そうはいっても、関心事のことはもっと知りたくもなる。
「農林水産省×環境省」 コロナ後の経済社会の再設計(Redesign)
環境省と農林水産省が23日、連携強化について合意したと発表した。
環境省は、地域資源を活かした自立・分散型社会「地域循環共生圏」の創造に取り組み、農水省は、「みどりの食料システム戦略」の策定を進めているという。
両省からの発表資料によると、「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」で協力、連携するという。この他、国際交渉、働き方改革や広報戦略でも連携を進めていくそうだ。
小泉環境相が口にしたこれら「3つの移行」はいつの間にか既定路線になったといことなのだろうか。
「脱炭素社会への移行」では、農林水産業における2050年CO2ゼロエミッション達成を目指すという。
農山漁村に再生可能エネルギーの導入を促進し、「食とエネルギーの地産地消」、「バイオマスエネルギーの利用促進」、「農地土壌への炭素貯留の促進」、「ブルーカーボンの吸収源としての可能性の検討」等について連携協力し、地域活性化につなげるという。
また、 省庁舎の2030 年までの再生可能エネルギー100%化(RE100)を目指す環境省は、農林水産省庁舎の 「RE100」 の実現に協力する。それに加え、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、庁舎の木造化や木製品の利用などによる木材利用に率先して取り組むという。
「循環経済への移行」では、生産から廃棄に至るフードサプライチェーンでの「食品ロスの削減」、「プラスチック資源循環」等を推進、海洋プラスチックごみ問題では、漁業者と地方自治体が協力し、漁業操業時に回収した海洋ごみを持ち帰り処分する取組を連携して推進するという。
この他、気候変動による海洋環境の変動も考慮し、藻場・干潟の保全や創造、水環境の保全、水産資源の持続的利用のための取組も協力、推進するそうだ。
また、農水省が消費者庁の協力を得て進める、食や農林水産物の持続可能な消費の拡大に向けた「あふの環(わ)2030プロジェクト」の取組にも協力していくという。
( ↓「漁業」×「アパレル」の海洋ごみ回収プロジェクトを紹介しています。)
「分散型社会への移行」では、国立公園、温泉地等や農山漁村地域における「ワーケーション」を推進、地域経済の活性化に取り組むなどの活動で協力していくという。
(参考文書)
「コロナ後の経済社会の再設計(Redesign)に向けた「農林水産省×環境省」の連携強化に関する合意」(農林水産省 環境省)」
石炭火力とプラスチックス
経済産業省では、「石炭火力のフェードアウト」と「プラスチック資源循環」についての議論が続いているようだ。経産省から公表されている資料を見ると遅々たる進行、まとまるまではもう少し時間がかかりそうだと感じる。
産業界としては方向性は理解するが、現実は現実、今すぐにできますとは言えないということなのだろうか。言葉悪く言えば、国から何らかの補助金などのインセンティブを得たいということか。国は国で外堀を埋めながら、議論が積み重ね、落としどころを模索ということなのかもしれない。本丸にどこまで迫れるかということであろうか。
こうした進め方を見ると、先行する欧州の進め方との違いを感じる。国際協力を考えれば、野心的なコミットメントも必要になるはであろう。もう少し進め方に工夫があってもよさそうな気がする。
(石炭火力フェードアウト 参考文書)
「これまでの論点整理と今後の議論の基本的方向性」(経済産業省)
(プラスチック資源循環 参考文書)
「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性を踏まえた主な施策について」(経済産業省)
こうした議論も26日の首相の所信表明でまた変化することになるのかもしれない。ただ宣言をすれば、前進することはあっても後退することはあるまい。
「関連文書」