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3万円台を回復した株価、明るいニュースと懸念材料

 

 東京株式市場で日経平均株価(225種)が続伸、約1年8カ月ぶりに、終値で3万円を回復したといいます。

 取引開始前に公表された23年1~3月期のGDP 実質国内総生産の伸び率が市場の想定を上回り、コロナ禍で停滞した景気が回復しているとの見方もあってのことのようです。

東証終値で3万円回復、1年8カ月ぶり | 共同通信

日銀の大規模な金融緩和の継続と企業の株主への積極的な利益還元、訪日客の消費復活への期待が重なり、国内外の投資マネーが流入した。(出所:共同通信

 いいニュースのように思いますが、景気回復は今後も持続していくのでしょうか。GDPの改善には、DXやGX、防衛関連の設備投資の寄与もあると指摘する専門家もいるようです。

 SDGsに、ESG投資、これが好影響を及ぼしているということなのでしょうか。そうであるのなら、「サスティナビリティ」、持続可能な社会に近づいていきそうです。それをもっと身近に実感できることがあっても良さそうな気がしますが、どうなのでしょうか。まだまだ改善する余地もありそうです。

 

 

 一方で、財務省が公表した直近の国際収支統計からは「日本経済は多様な懸念材料を抱えている」との声もあります。

デジタル、コンサル、研究開発。3つの「新たな外貨流出元」を軽視すると日本の未来を見誤る | Business Insider Japan

デジタル関連分野やコンサルティング分野、研究開発分野のような、これまで注目されていなかった項目から外貨が流出する構造が日本では根づき始めている。(出所:Business Insider Japan)

 気になる指摘です。どの項目も気になることですが、研究開発については心配になります。「民間(企業)部門の研究者数は全く伸びておらず、これが諸外国に比べると異様な状態である」と記事は指摘しています。「統計を見る限り、頭脳労働の流出も始まっているのが実情のようだ」といいます。

研究開発熱

 このままの状態を放置することができないからでしょうか、研究開発に力を入れ始めている企業もあるようです。

オムロン、子会社で目指す近未来 AI研究を自由に - 日本経済新聞

 オムロンは子会社のオムロンサイニックエックスに研究者を集め、事業の枠を超えた発想を促しているそうです。記事によれば、「近未来」をテーマに、AIやIoTを駆使した技術の開発を進め、研究者が次々と研究結果を論文にして公開しはじめているといいます。

AIスーツケースの社会実装による共生社会の実現を目指し、「一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアム」の活動を1年延長へ 実用モデルと先進技術の開発を推進 | オムロン

(資料:オムロン

 また、ソフトバンクは4月に、「ソフトバンク先端技術研究所」を設立し、新しい技術を社会実装するための研究/開発組織としているといいます。

ソフトバンクが「先端技術研究所」を作った理由:「研究」が評価されない - EE Times Japan

先端研の技術者は、自分自身のアイデアを実際に研究することで、理屈では分からないリアルな問題にぶつかる。ソフトバンクは、先端研で蓄積した研究のノウハウを元に、将来的にどんな事業/技術に注力するべきかを探り、市場の状況も見ながら事業化していく。すぐに事業化できなかったとしても、ノウハウが蓄積されていれば、“その時”が来た時に、ソフトバンクがいいポジションで勝負できる。(出所:EE Times Japan)

 ソフトバンクが3月に開催した最先端技術を体感できる展示会では、空モビリティ向けの超軽量リチウム金属電池の研究を展示したといいます。

 

 

 これまでは、ソフトウエア技術を頼りにして最適化を図り、効率化や生産性、利便性の向上に努めてきたのでしょうか。そこに生成AIが登場したことで、さらにこれらが加速していくのかもしれません。それはそれでよいにしても、それだけの社会になってしまうのなら、息苦しさが増していきそうな気がします。

 新たな研究成果が新たに生まれるこうした諸課題の解決に役立つものであって欲しいと思います。

 

「参考文書」

東証、一時3万円 1年8カ月ぶり大台回復 | 共同通信