これまで変化を求めていなかった企業がようやく変化に挑戦し始めている、そんな動きがあるのでしょうか。
「2000年代初めての国内投資ラッシュが訪れる可能性がある」そうです。
AI立国の勝ち目どこに 投資ブーム機に人育てよ: 日本経済新聞
東北や九州などで工場建設が相次ぎ、H形鋼の注文が1年前より10%増えている。
海外に散った付加価値が国内に戻り、安定的な雇用が回復し、その流れが定着すれば、細った中間層の復活はあるのかもしれません。
一方で、少子高齢化問題があり、人手不足は否めず、新たに建設される工場ばかりでなく、どの産業においても効率化、生産性向上は避け得ないのでしょう。
創業時から働いていたベテランさんが高齢化で次々と辞められていくわけですよ。
人手不足もさることながら、継承が難しい技術やノウハウがどんどん失われていくのにはまいった。やはり自動化するしかないと。(出所:日経ビジネス)
脱炭素に、デジタル化、自然災害リスクに防災、企業が取り組むべきことばかりが示され、その必要性は理解できても、本気の行動には至らず、見せかけに終わってしまう、そんなことがこれまでだったのかもしれません。
中小企業のAI活用、街中のオープンイノベーション
人手不足が深刻化、慢性化すれば、事業の継続が難しくなります。企業にとって、これこそがもっと重要な課題ということなのかもしれません。
東京海上グループが作業着で「町工場」を訪ねて回るわけ - 日経ビジネス電子版 Special
「九州オルガン針」、工業用ミシン針の製造と精密金属部品の加工する九州の中小企業といいます。
針の外観検査に自動検査装置を導入し、そこにAIが活用された事例を日経ビジネスが紹介しています。
目視検査ができる人を育てるのに10年はかかる。
人がいなくなると、その穴はすぐに埋められない。(出所:日経ビジネス)
自動検査装置は、画像データで針表面の傷や汚れなどを検出するそうです。この仕組みにディープラーニングが使われているといいます。
ものづくりにおいて、検査に付加価値はないと言われます。モノを作るときに不良がゼロであることが保証できれば、検査は不要です。しかし、それでは現実的ではないので、どうして検査せざるを得ません。
人を減らしたいが品質維持のためには減らすことができず、自動化すれば、その精度の問題で逆に手間がかかる。これまでの自動外観検査装置はそんなものでした。
それを中小企業がみずから開発したことがユニークなことなのかもしれません。もちろん単独開発ではなく、近隣のITベンダーの協力があったといいます。街中の小さなオープンイノベーションということでしょうか。
紙、トナーの消耗品ビジネスからDXへ
OA 事務機器メーカ各社が相次いで、デジタル変革関連サービスを強化しているといいます。主力とする複合機は、ペーパーレス化に伴って市場は縮小し、在宅勤務の増加でオフィスでの印刷需要の減少に追い打ちをかけているといいます。
主力の複合機は市場縮小…事務機器メーカーはDXサービスを活路に出来るか|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
従来の複合機や消耗品の販売、保守サービスには成長を期待できない中、ITソリューションなどに軸足を置いたビジネスモデルへ転換できるか、各社の実行力が試される。(出所:ニュースイッチ)
社会情勢に抗ったところでその流れを止めることはできません。そうであれば、今までの利益の源泉を諦めても、顧客に自ら率先してDX化を提案していく、ごく自然な流れなのかもしれません。
「かつて電子立国と呼ばれた日本がAI立国を目指すなら、少なくとも国はその道筋を明確に示す必要がある」と日本経済新聞は指摘します。
岸田政権はイノベーション推進のキーマンとして首相の科学技術顧問を設ける。官邸主導を実現し、経産省、文部科学省、厚生労働省などの予算のぶんどり合戦や権限争いを防ぐ狙いがある。しかし「縦割り打破」だけが目的なら政府の内輪の論理であり、あまりに寂しい。国民と企業にこれからの時代を明快に語り、担い手を育てるメッセージに期待したい。(出所:日本経済新聞)
そうなのかもしれませんが、もう嫌になるほどそうできない行政と政治を見てきたのではないでしょうか。脱炭素しかり、デジタル化しかり、どれも世界から遅れをとってしまいました。
この先の課題において同じ轍を踏んではならないのでしょう。