日本株が好調のようです。トヨタ自動車の13日の株価は、前日比5%高だったといいます。課題であった1倍割れしていたPBR(株価純資産倍率)も1.03倍に上昇したそうです。
この日、トヨタが公開した、「全固体電池」などの新技術が好材料になったようです。
トヨタ、EV150万台達成に自信-需要増視野に生産体制も準備 - Bloomberg
SBI証券の遠藤功治アナリストは、トヨタの説明会での話には説得力があったと述べた。毎年EV販売を50万台ずつ増やしていくことができるのかと「ほとんどの人が実は思っていた」が、説明を聞いて「きっとこれはできるだろうな」と変化が生じたとの考えを示した。(出所:ブルームバーグ)
実績をあげ、優等生のように振舞ってきたトヨタが、株式市場で必ずしも評価されていないのが不思議です。テスラのイーロン・マスク氏ほどのカリスマ性と派手さはないですが、スピード感に差はあれど、やっていることは大きな差がないようにも思われます。
静岡県裾野市にある東富士研究所で行われた説明会では、全固体電池の他、数種の次世代バッテリーが紹介され、それらが、2030年 350万台を裏付けるものだといいます。
「全固体電池」では、課題だった耐久性を克服する技術的ブレイクスルーを発見したとして、27-28年の実用化へチャレンジするといいます。その航続距離は1200km、急速充電時間は10分以下を目指しているそうです。
この他にも、普及価格帯のEV用として26-27年にリン酸鉄リチウム電池の実用化も目指し、従来と比べて40%コストを削減し、航続距離を20%伸ばす予定となっているといいます。
高度な車載ソフトウエアなどの紹介もあったといいます。
また、クラッチのあるマニュアルトランスミッション車を再現するEVや高級車「レクサス」ブランドの水素エンジン車などのプロトタイプ車両の試乗もあったそうです。
工場の景色を変える~ものづくり~
バッテリーEV の収益性確保に向け、「工場の景色を変える」とトヨタはいい、「生産工程 1/2」にチャレンジするといいます。
BEV 生産工場の設計にあたっては、デジタルを導入し、工程の検証などの精度を上げ、組立中の量産車が、自走して次工程に移動できる、自走組立ラインなどの採用により、コンベアのない自由度の高い工場を実現するといいます。
また、車体構造をシンプルスリムにし、従来数十点の板金部品で作っていたものを、アルミダイキャストで一体成形する「ギガキャスト」を採用、大幅な部品統合を実現するといいます。
テスラがサプライヤーと協力して、車両を支えるボディ構造を簡素化し、使用する金属を大幅に削減したように、トヨタも「ギガキャスト」と呼ばれるシステムを採用する予定だ。その他、3分割のボディ構造に移行することで、フロントとリアの構造、そしてその間に挟まれたバッテリーの互換性を高めることができるようになる。(出所:ブルームバーグ)
こうしたチャレンジで、量産車の生産準備期間・生産工程・工場投資など、従来の 1/2 を目指し、大幅な固定費の削減していくといいます。
コンサバに市場動向を見ておいて、トレンドの変化があれば、それを即座に感じとり、柔軟に軌道修正していくということなのでしょうか。こうした姿勢を貫けるのも、ソフトを含め、必要となる要素技術の研究開発を怠らないからなのかもしれません。技術開発なくして、新たなものが実用化することはないということでもあるのでしょう。
トヨタ、2027~28年を目標にEV向け全固体電池を実用化 | 日経クロステック(xTECH)
トヨタがギガキャストの導入検討、次世代EVで工程とコストの半減を狙う | 日経クロステック(xTECH)
トヨタPBR1倍を回復。次世代EV開発で先手、2027年にも全固体電池を実用化と発表 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア