Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

信頼回復が進まない、不安を感じさせる「デジタル社会のパスポート」

 

 政府が何でもかんでも口を出し、経済をコントロールしたがっているように感じることがあります。民間に任せていても、日本経済が回復することはないとみているのでしょうか。

骨太の方針決定、賃金底上げで好循環 負担増踏み込まず - 日本経済新聞

 優秀な官僚組織が作る計画なのですから、出来栄えはよく、間違いはないのかもしれませんが、はたしてそれが正解なのかどうか。

 あまり国が前に出過ぎて、計画経済に近づくことはないのでしょうか。こうしたことに力を入れすぎるようでは、求められることばかりが増えて、人手不足に陥り、アウトプットの質の低下を招かないか心配になります。

 他にもっとやるべきがありそうな気がします。世間に生産性向上を求めるなら、率先垂範、まずは公官庁で思ったりします。

 

 

「デジタル社会のパスポート」、その最たる例がマイナンバーカードの導入のような気がします。

 デンマークエストニアなど先進電子政府国を参考に、その遅れを取り戻そうとしているようです。

マイナンバー、拙速の代償 「デジタル社会のパスポート」に不信感も【解説委員室から】:時事ドットコム

 野心的な目標を掲げ、急ピッチで体制整備を進めますが、トラブルばかりが続いて、かえって信頼を失うような事態になっているようです。

本質的なメリットが実感できないまま、デジタル化を性急に進めることに対し、国民は慎重になりつつある。(出所:時事ドットコム

 首相は謝罪に追い込まれ、マイナンバー関連のデータやシステムを総点検する方針を表明し、一方、河野デジタル相は「マイナンバー、マイナンバーカードの仕組み自体に起因するものは一つもない」と主張しているといいます。では、こうもトラブルが発生するのだろうと疑問が沸きます。

 他方、デジタル庁は、これまでの官僚組織で考えにくかったような新たな取り組みを始めているといいます。

丸投げを脱して「内部開発」に着手したデジタル庁、国にノウハウを残せるか | 日経クロステック(xTECH)

 記事によれば、デジタル庁は今年度から「今できる調達改革」に動き出し、デジタル庁職員が自らコードを書く「内部開発」と、スタートアップや中小ベンダーが参加しやすい「企画競争調達」という新たな調達手法に本格的に取り組み始めたそうです。

 新しいことにチャレンジするだけでは改革ということができません。トラブルを最小限にとどめ、きちんと社会実装でき成果が上がって改革となります。

 そうでないのなら、戦略や計画が不完全であったということにほかならないのでしょう。それを素直に認め、適宜改善しなければ、成果となることはありません。

「デジタル化は国策だが、国民の信頼を回復する取り組みも忘れないでほしい」、もっとも大切なことが忘れ去れていないでしょうか。

 社会実装、実用化ほど難しいことはないのでしょう。十分な検証もないままに軽率に行動しているようにも思えます。

 

 

 いずれにせよ、これまでの対応を鑑みれば、上手に運営されているとは言い難いような気がします。マイナポイントを付与してまで普及を急いだのがあだになっているにも思えます。もっと別な方策で「コト」作りをして、普及させることもできたのではないでしょうか。

 良質な「サービスを作る」という根幹と、それを知らしめ普及させる「コト」の両輪がなければならないのでしょう。信頼性を感じることができる「コト」の体験作りがあればよかったような気がします。

 

「参考文書」

1億3000万人の課題解決を共に。ソフトウェアエンジニアとしてデジタル庁で働く意義|デジタル庁

デジタル庁を最高のプロダクト集団に|デジタル庁