Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【デジタル社会のパスポート】つまづくマイナカード、人々を幸せにしないデジタル化

 共同通信世論調査で、政府が推進するマイナンバーカードの活用拡大について、「不安を感じている」「ある程度不安を感じている」と答えた人が計71.6%に上ったといいます。また、現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針に関しては、延期や撤回を求める声も計72.1%になったそうです。

 強引さ、拙速さが嫌われたということなのでしょうか。

来年秋の保険証廃止に反対72% 内閣支持率は40%に下落 | 共同通信

 内閣支持率も下落しているようです。前回調査から6.2ポイント下落し、支持率は40.8%になったそうです。マイナンバーカード問題の他、少子化対策の財源に対する不明瞭な説明、首相長男の翔太朗氏の忘年会問題などが影響したとみられると記事は解説しています。

 

 

 マイナンバーカードはデジタル社会へのパスポートと首相はよく口にしていました。言動が一致しないことが残念です。早くも国のデジタルトランスフォーメーション DX(デジタルによる変革)が躓くことになるのでしょうか。

デジタル後進国

「日本はデジタル後進国と言わざるを得ない」「世の中に漂うこの閉塞感は、DXで打破できる」と、Zホールディングスの川邊会長がそう語ったそうです。

「DXで閉塞感を打破」、ZHD川邊会長が示す脱・デジタル後進国の道筋とは | 日経クロステック(xTECH)

 川邊会長は「デジタル競争力ランキング」で日本が2022年に過去最低の29位まで落ちたと指摘し、「ビッグデータやデータ分析の活用」「ビジネス上の俊敏性」などにおいては63カ国・地域中 最下位であることを語ったといいます。

 また、日本財団が2022年に実施した「18歳意識調査」についても触れ、科学技術分野における日本の10年後の競争力について回答者の半数以上が「変わらない」や「弱くなる」「非常に弱くなる」と答えた結果を嘆き、「何とかしてやろうという気概も見えてこない」と話したそうです。

QR決済サービスPayPay

 一方、QR決済サービスのPayPayの爆発的成長を自画自賛し、「私自身、数々のサービスをつくり、それによって社会がアップデートしたときに閉塞感を打破できたと感じた」と述べたといいます。

PayPayが人々の意識と行動を変え、社会コストを削減(出所:日経クロステック)

 記事によれば、PayPayの登場により、少額の決済もキャッシュレスにしようという流れになり、キャッシュレス決済の概念が変わり、コンビニエンスストアやスーパーなど客単価が低い店にもキャッシュレスが広がり、支払いにかかる時間や、レジ待ちの時間が減り、現金の輸送や保管などの社会的なコストも下がったと述べたそうです。

 

 

 その普及のためにあらゆる手段を講じていたようですが、市場全体の3分の2を占めるようになると、一転、サービスを改悪し、それまでにばらまかれた費用を利用者から回収しようとするように見えます。

どうする「PayPay」…ヤバすぎる「改悪」に走ってしまった事情…ユーザーは置いてけぼりに(岩田 昭男) | マネー現代 | 講談社

 マイナポイントをばらまいてマイナンバーカードを普及させようとした国と同じ手法が使われているような気になります。

 また、今後の期待分野は「医療」と物や人の「移動」と、川邊会長は語り、両分野には「多くの人に使われていて影響が大きく、市場性が高く、デジタル化が進んでいないという共通点がある」と述べたそうです。

(資料:デジタル庁)

 国が積極推進する「マイナ保険証」「物流の2024年問題」、 同じような考えを持つ人同士、同じ視点になるということなのでしょう。

川邊会長はネット企業の経営者として社会のデジタル化を率いるほか、一般社団法人日本IT団体連盟の会長として行政機関のデジタル活用に向けた政策提言にも積極的に取り組んでいる。(出所:日経クロステック)

「デジタル活用によって効率を引き上げ、サービスの付加価値を高めて閉塞感を打破し、デジタル後進国から脱することができるか。企業、行政機関の行動力が今、改めて問われている」と記事は指摘しています。

 

 

「他人に頼るだけでは、現状は変わりにくい」「誰かが何とかしてくれることはほぼない。自分で閉塞感を打破するしかない」と川邊会長はそう述べたそうです。

 しかし、高貴な目標の実現のために、他人を利用するようなことがあってはならないはずです。目的を達成させるための手段を間違えているような気がします。それ故、今なお、国民の多くが閉塞感を感じるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

「やればできる」の危うさ 国策のマイナンバーと半導体 - 日本経済新聞