自動部品大手のデンソーなど7社が、「物流の2024年問題」に対応する幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を始めるそうです。この新しい手法で不足が懸念されている見込まれるドライバーを確保できる可能性も見えてくるといいます。
デンソー、幹線物流で共同輸送 7社で実証実験 - 日本経済新聞
この実証実験には、荷主としてアスクルやエレコム、タカラスタンダードなどが参加し、 中継地点を大和ハウスが提供、デンソーはコーディネーターとしての役割で参加するそうです。
実証実験では、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積み降ろしなどの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行うそうです。
「SLOC」では、荷台とそれを載せる台を分離できる 「スワップボディコンテナ車両」 を使用し、これにより、トラックの荷物を荷台ごと次のトラックへと受け渡せるようにするそうです。
この車両を使用し、浜松を中継地点とする東西のゲートウェイで幹線と支線を分離、東京から大阪に荷物を運ぶトラックが浜松で一度荷台を切り離し、大阪から浜松に来たトラックがその荷台を受け取り、大阪まで運ぶという仕組みといいます。
これによって、関西発の荷物と東京発の荷物を浜松で中継することで、帰りの空荷がなくなるだけでなく、一泊二日の長時間運行がなくなるというメリットがあるそうです。
幹線中継輸送サービス「 SLOC 」が実現する、新しい物流のかたち|DRIVEN BASE(ドリブンベース)- デンソー
デンソーの担当者は、SLOCの仕組みを成立させるには、さまざまな企業からの協力が必要不可欠で、「物流業界の外側にいる第三者の立場だからこそ、業界や産業の垣根を超えた最適化に取り組めるはず」といいます。よい取り組みではないでしょうか。
コーディネーター役を務めるデンソーは様々な調整機能を果たさなければならないといいます。「SLOCに参加するためのスワップボディの車両の購入をお願いすること」、また、東西両方の荷物のバランスとり、出発時間や納品時間の調整など。参加企業が増えれば、複数の企業の間を取り持つコーディネーターの役割がなければ運用はできないといいます。
また、日野自動車が物流問題の解決を目指して2018年に設立した「NEXT Logistics Japan(NLJ)」が成果をあげ始めているようです。
常識破る“物流の東海道新幹線”、異業種42社がタッグ:日経ビジネス電子版
NLJは物流における大きなボトルネックとなっている東名阪間の幹線輸送の効率化・省人化を目指し、新しい輸送スキームの運用を2019年から始めたそうです。はじめは小さな集まりで始まったプロジェクトに現在は42社が参加するようになり、「輸送シェアリング」が進み始めたといいます。
NLJはこの幹線輸送スキームを一日も早く確立し「ドライバー不足によりモノが運べなくなる」という社会課題を解決したいといいます。これまでNLJは、従来比で運送人員を1/2に、また、CO2排出量の32%削減を実現したといいます。今後はさらに運送人員を1/6に、CO2排出量ゼロを目標としさらなる幹線輸送の効率化を目指していくといいます。
ここでも第三者によるコーディネーションが成果につながったということでしょうか。こうした物流の新たなプラットフォームが定着していくことになるのでしょうか。
「参考文書」
業種の垣根を超えた7社合同で幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証開始 | ニュースルーム | ニュース | DENSO - 株式会社デンソー / Crafting the Core /
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