Up Cycle Circular’s diary

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証券子会社の上場を目指すも苦境続く楽天、半導体工場建設で株価を上げたSBI

 楽天グループが証券子会社の楽天証券ホールディングスの株式上場申請を発表、株価が4%上昇しましたが、それでも市場の反応が鈍いそうです。2月に付けた高値の約25%下回っているといいます。

楽天G、証券子会社上場でも懸念される127億ドルの負債 - Bloomberg

 債務リスクを軽減し、携帯電話事業を黒字化する十分な取り組みを行っていないとの懸念が長引く可能性を示しているといいます。

 楽天Gの負債は1兆8300億円に達しているといいます。負債が増加したのは、携帯キャリア市場に参入することを決定してからのこと。

楽天銀の上場と同様に、楽天証HDもグループの資金調達の圧力を和らげる助けになるかもしれないが、「恐らく一時しのぎに過ぎないだろう」と述べた。楽天Gの根本的な問題は、モバイル事業をいかに改善するかどうかだ。((出所:ブルームバーグ

 

 

 アマゾンに対抗し、楽天経済圏を拡大させてきましたが、自前の配送網「楽天エクスプレス」終了以降、苦戦が続いているように思われます。何か「カベ」のようなものが存在し、成長を阻害しているのでしょうか。まさかこの時代に大企業病に罹患することもないのでしょうけど。

SBIが半導体工場を建設へ

 一方、SBI証券などを傘下に収めるSBIホールディングスが、台湾の大手半導体受託生産会社「パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング・コーポレーション(PSMC)」と日本国内に半導体製造工場を建設するための準備会社を設立することで合意したと発表しました。これを受けて、株価は上昇したといいます。

SBIが台湾大手と半導体工場建設へ「供給網の起点に」と北尾氏 - Bloomberg

 記事によれば、SBIの北尾社長は半導体生産について「輸出市場として日本で作る意味がある。グローバルサプライチェーンの起点にする」と述べ、「金融機能で日本の半導体産業の復興に貢献したい」と話したそうです。また、これまでネットワークを構築してきた地域金融機関が地元で融資できる体制を作っていく考えを示したといいます。

 PSMCは世界6位の半導体ファウンドリー大手。PSMCの黄会長は、日本を「競争力がある国」と評価し、さまざまな国から招致の意向があったが日本を優先したと語ったといいます。「数十年前に比べ労働力、費用、為替の円安、調達の仕組みなどあらゆる条件が整っている」とも述べたそうです。

 

 

 寡占状態の厳しい携帯キャリア国内市場に参入して、シェア争いしなければならない選択をした楽天と好対照のSBIの動きのように見えます。

 ポイント経済圏拡大の限界が見えてきたということでしょうか。これ以上の成長を望むのであれば、何かしらの大転換か、「非連続性」が必要になっているのかもしれません。

 

非連続性の経営――グローバル化の本質 楠木 建 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授 | 記事広告アーカイブ | 東洋経済オンライン

 

 

「参考文書」 

天正遣欧少年使節に見る経営グローバル化の本質 | 日経BOOKプラス