Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

地域活性化に挑戦する大手企業、育たないスタートアップ

 九州福岡に本拠を西日本鉄道が、中古バスのエンジンをモーターとバッテリーに積み替え、電気自動車(EV)に改造する事業を始めているそうです。長年使用した中古バスが、見た目はそのままにEVバスに生まれ変わるそうです。

レトロフィット電気バス(西日本鉄道)

 台湾の大手EVバスメーカーRACからEV化に必要な部品を購入し、自社にてバスを改造するといいます。従来の電気バスよりも航続距離が長く、CO2削減効果が高いことに加え、低価格で導入することができるといいます。

(写真:西日本鉄道

 西鉄は2500台あまりのバスを保有しているそうです。2030年までに500~600台をEVバスにする改造するといいます。当面は自社バスの改造を進め、技術を確立後、全国のバス事業者からEVバスへの改造を受注することも検討するそうです。

 

 

 地域の移動手段であるバスを自分たちの力でEV化し、そこで身につけた技術を他の地域のEV化にも活かしていく、こうした活動が地球温暖化の抑制に貢献し、また地域の活性化にもつながるのかもしれません。

 一方で、基幹技術を海外に頼ることが残念でなりません。日本発でこうした社会貢献できる技術が生まれてもよさそうな気もします。

 そこにスタートアップの存在価値がありそうです。しかし、日本ではスタートアップが育たないといわれています。

なぜ、日本ではスタートアップが育たないのか? 【第1回】リスクテイクとエコシステムの誤解 - Executive Foresight Online:日立

「できるだけ少ない資金で事業を始め、アプリを開発し、IPOする」、そんな手順を踏んで成功するネットベンチャーを多く見かけるようになりました。一見、日本も起業が盛んなように見えますが、SaaS特化型やマーケティング特化型などインターネットの中だけで仕事するそんなスタートアップは増えたということなのでしょうか。

 時代は変わり、今求められているのは、環境技術、素材、医療、バイオなどを牽引するスタートアップが求められています。ただ従来と異なり、そこでは桁違いの資金が必要になるといわれます。

 大手の西日本鉄道がこうした役回りも果たさなければならないとしたなら、日本のサステナビリティの進展が遅れるのも必然なのかもしれません。

 

 

 業務スーパーの創業者である沼田昭二氏が、スーパー経営の経験を活かして地熱発電の推進を目指しています。

業務スーパー創業者が描く日本の地熱発電の未来-スピード感が鍵 - Bloomberg

 日本の地熱発電は大きな可能性を秘めているが、温泉事業者の反対や規制のハードル、険しい山地での建設という困難が伴うために、投資家の意欲が高まりにくい側面があったそうです。

 そうした条件の中、沼田氏は2016年に町おこしエネルギーを設立、業務スーパーでの経験を活かして、フランチャイズ型で、なおかつ、自社開発した技術も利用し、調査から操業までの期間を約15年から5年以下に短縮させ、中規模発電所の開発を進めているといいます。

 そればかりでなく、こうした取り組みを地域経済活性化プロジェクトとして位置付けているといいます。

発電所だけではそれほど多くの雇用は生まれないが、農業など多様な産業に展開すれば、町も業者も潤う。(出所:ブルームバーグ

 温泉水を使ってハウスで野菜栽培したり、オニテナガエビヤマトシジミなどの養殖事業も試みているそうです。地域が得ることができるメリットを大きくなれば、地元からの期待も高まり、反対する人も少なくなるようです。

 

 

 総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、海外でコメ専門店「安田精米」を開業し、日本米の拡販を進めているそうです。

香港ドンキが東九龍に新店舗 食に特化した売り場に(香港経済新聞)

「日本のコメも、寿司と同じく可能性があるはず」、これは私たちのアピール不足なんですよと語るのは、ドン・キホーテ創業者の安田氏。

そもそも日本は米が余ってるじゃないですか。日本人の胃袋が減っていて、これ以上、日本で売るのは限界がある。だったら、残された選択肢は唯一、海外に売ることしかない。それが日本の里山を守ることにもなりますし、日本の農家を守ることになる。(出所:NEWSPICKS)

 小売業の創業者たちがまだまだ元気なようです。

 こうした形態のスタートアップがもっともっと増えてもよさそうです。ネットの中だけにとどまっていては、その後の大きな飛躍はないのかもしれません。道具は道具でしかないのですから。道具を武器に変えることを考えて欲しいものです。

 

「参考文書」

西鉄、国内でEVバスに改造 他のバス事業者から受注も - 日本経済新聞

西鉄グループで“レトロフィット電気バス”の製作を開始します!|にしてつグループのプレスリリース

ドンキが「お米屋さん」展開 - NNA ASIA・香港・商業