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悔しさにじむ退任会見、パーパス経営のSOMPO櫻田CEOの挫折

 ビッグモーターによる保険金不正請求問題をめぐって、SOMPOホールディングス桜田謙悟会長兼グループCEOが責任を取って3月末で退任することになったといいます。

なぜ俺の責任に…SOMPOのドン、追い込まれた「桜田ファミリア」:朝日新聞デジタル

「痛恨の極みであり、深く反省している」、「大きな汚点を残した可能性があることを考えれば、現実にグループの最高責任者である私が責任なしとはありえない」.....

 悔しさが滲み会見だったようです。

 

 

記者から引責辞任なのか問われると桜田氏は「皆さんの判断に任せたい」と明言を避けつつ「現時点のCEOとして私に一切の責任がないはずはなく、反論するつもりはない」と話した。(出所:日本経済新聞

「売り上げ重視の企業文化。顧客をないがしろにする風土を刷新できなければ、失墜した信頼は取り戻せない」、業務改善命令を出した金融庁はそう指摘し、顧客の利益よりも収益を重視する企業文化の是正を求めたそうです。

売り上げ重視、顧客ないがしろ トップ引責―SOMPO・損保ジャパン:時事ドットコム

「グループ経営に重大な影響を及ぼし、お客さまの信頼を失う危機的な事案に発展する可能性があるとの認識を持てなかった」と、櫻田氏は会見で釈明したそうです。

「グループ全体に欠陥があったとは思いたくない」、トップとしての在任が長くなり、物言いづらい企業風土、雰囲気があったのではないかと問われた桜田氏は金融庁の改善命令で「あなたがいたからだと言われてビックリしたが、僕がいなくなることで物言える文化となるならそれに越したことはない」、「言いづらかったと言われれば、不徳のいたすところ」と述べたともいいます。

 会見の様子は「改革派」として損害保険業界のみならず、経済界に名をはせてきた櫻田氏のイメージと大きくかけ離れたものだったといいます。

SOMPO桜田CEO、在任13年に幕引き パーパスだけで企業文化変えられず:日経ビジネス電子版

2010年7月に旧損保ジャパンの社長に就任。「損保3メガ体制の中で勝ち組になる」との目標を掲げ、次々と手を打った。旧日本興亜損保との合併を主導し、14年に実現させた。人口減で市場が縮む国内損保ビジネスを補うため、海外事業も強化。介護にも参入するなど多角化を進めた....(中略)....先進的な企業統治を採り入れ、企業が存在する目的である「パーパス」の追求でも、SOMPOは知られるようになる。(出所:朝日新聞

 桜田氏は、強いリーダーシップと経営手腕で、損保ジャパンを中核とするSOMPOグループを大きく成長させてきたそうです。

 

 

「パーパス経営」、どんなに優れた最新の手法であっても、結局、それは目的に対する手段に過ぎず、どんな時、どんな場合でも、ほんとうに求められているのは経営トップの正しい哲理、そして組織を貫く共通理解なのでしょう。どんなに経営者が高い意欲で推し進めようにも、それに呼応する企業文化が育まれたいなければ、改革が期待通りに進むことはないのでしょう。そこでは、常に人間の存在を無視できず、結局、人間的考察が求められることになるはずです。

 櫻田氏の後任CEOには、奥村COOが昇格し、損保ジャパンの白川社長の後任に石川副社長が昇格するそうです。「不退転の覚悟で企業風土の改革に取り組んでいく」と奥村氏は語り、石川氏は人事や評価制度を改め、「営業を優先する企業風土やカルチャーをすべて変えたい」と、企業文化の変革を担う専門の部署を設ける意向を明らかにしたそうです。

 さて新たな経営体制で進むことになるSOMPOではどんな企業文化が形成されていくのでしょうか。

 卓越した顧客サービス、社会的責任、株主価値、誠実さ、チームワーク、優秀さ、そんな要素が含まれていればいいのかもしれません。

 

「参考文書」

損保ジャパン親会社 経営陣刷新を発表 ビッグモーター問題で | NHK | 金融

SOMPO、桜田CEO退任発表「監督・執行に関与しない」 - 日本経済新聞