暑すぎる夏、少しピークは過ぎたようですね。でも、まだこの季節に欠かせないのが日焼け止めです。
ハワイやパラオ、メキシコ、フロリダで、化学物質「オキシベンゾン」「オクチノキサート」を含む日焼け止めの販売や流通が禁止されるようです。これらの化学物質がサンゴに悪影響を与えることが理由です。
「世界の観光客に影響を及ぼすが、科学的な根拠が不十分だとの声もある。」との日経記事だが、違和感を覚える。
記事でのオーストラリアの研究機関でのコメントは以下の通りで、悪影響を完全に否定していないととれる。
世界最大のサンゴ礁として知られる豪グレートバリアリーフの海洋公園管理局は「ほぼ全ての実験が屋内の研究所でサンゴの僅かな破片や細胞を使っており、日焼け止めがサンゴに悪影響を与えるという証拠は限定的」として、日焼け止めを制限しない。(日経新聞)
同じ日経の記事、
オーストラリアのがん予防・啓発団体「キャンサー・カウンシル」のヘザー・ウオーカー皮膚がん対策委員長は海洋生物への悪影響は明確でないとし、「日焼け止めががんにつながる紫外線のダメージを防ぐという点には、確固たる証拠がある」と指摘する。
確かに指摘の通り、日焼け止めは皮膚がんへの効果もあり、人間にとって必要なものではある。しかし、論調的には環境への影響を軽視しているのではとも取れる。
一方で、IDEAS FOR GOODの記事では以下のような指摘。
日焼け止めによってダメージを受けるのはサンゴ礁だけではないことが、ヨーロッパの研究機関によって判明した。
バスク大学の研究者は、「魚体内でこれらの汚染物質が分解されると、さらに有害な物質が生成され、他の海洋生物にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。「また、海中の他の汚染物質と混ざり、別の種類の毒性を引き起こす可能性もある。海の汚染が進むことで、状況が悪化し広範囲で影響を及ぼす恐れもある。有害物質の影響が魚個体に留まるのか、それとも食物連鎖に影響し、海の生態系や人間にも影響を与え得るのかを含めて、研究を急ぐ必要がある。」
どちらが科学的に正しいかは今の時点では判明していない。しかし、その危険性は否定されていない。だからこそ、事実解明に向け研究が続くし、代替品の模索が始まる。疑問的意識が科学やビジネスの原点だ。
早くからヨーロッパでは環境問題に取り組み、意識が高い。規制事項も多く、電機会社に勤めていた頃はその対応に随分と悩まされた。
温暖化による影響なのか異常気象が世界各地で発生している。私たちも環境意識を変えていく必要があると思う。そういう意味でもマスメディアにはきちんと世論をリードして欲しいものだ。
IDEAS FOR GOODの記事には、スペイン ムナー社のオーガニック認証の日焼け止めを紹介している。チェックしてみてください。
化学物質で作られた日焼け止めへの懸念が高まる中、動き出したヨーロッパの化粧品ブランドがある。
スペインのオーガニックコスメブランド、Munnah(ムナー社)は、人の肌はもちろん、海洋生物の安全を考えて成分を配合したオーガニック認証の日焼け止め、Sun of Munnah(以下、サン・オブ・ムナー)を発表した。
使われている成分はナノ粒子化されていない酸化亜鉛の他に、ラズベリーシードオイル、キャロットシードオイル、ラズベリーシードオイル、キャロットシードオイル、シアバター、セサミオイルなど、天然の日焼け止めと呼ばれる様々な種類の植物成分が含まれている。さらに、強い日光を浴びる肌への栄養や保湿も考えられている。
「日焼け止めは、私たちの生活に必要なものです。」ムナー社創業者のヌリア氏は話す。
「ですが、海が一旦化学物質で汚染されてしまうと浄化が大変難しいです。これからの日焼け止めには、3つのことが求められるようになるでしょう。『紫外線と近赤外線から十分に肌を守ること』『人の健康に負担のない日焼け止め成分配合であること』『そして環境面でも安全であること』。」
ヌリア氏は、薬理学、植物療法、アロマセラピーに精通した薬剤師だ。彼女は以前、市販の化学物質の使われた日焼け止めを使っていたが、年々シミが増え、ついには皮膚癌を患った時期があったという。日焼け止めに十分な効果がなかったことを疑問に思い、研究を繰り返した。そして日焼け止め成分として使われる化学物質が肌や環境に与えるダメージを知り、化学物質に頼らず天然由来成分を用いた日焼け止めの開発を始めたという。
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