Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

もっと伝えて欲しいユニクロのサスティナビリティ

 

 Amazonキンドルを発売し始めた頃、”製造業のサービス化”について興味を抱き、SPA(speciality store retailer of private label apparel)という言葉に出会った。当時、電機会社に勤め、海外生産のサプライチェーン構築に携わっていたので、必然とアパレル関係の海外生産をベンチマークしていた。そんなことも影響していたのだろうか、ユニクロのことはいつも気にかけていた。

 ここ最近、ユニクロの記事をまた新聞で見かけるようになった。

 

www.nikkei.com

 

 ユニクロファーストリテイリングはサスティナビリティの取り組みを調べてみた。

 

 

CEOコミットメント

ファーストリテイリングのホームページにCEO柳井さんのコミットメントがある。

その一つの表れがLifeWearという私たちのコンセプトです。 LifeWearとは、 人種、年齢、民族、宗教、性別や性的指向を超えた、MADE FOR ALL「あらゆる人のための服」、 人々の生活をより豊かに、より快適に変える服。

LifeWearは、ファッションという概念を超えた、新しい発想の服です。 無駄なものをそぎ落とし、自分らしい高品質な生活を実現する。 その根本にある考え方は「無駄なものをつくらない、運ばない、売らない」。 資源を有効に使い、余計な労働を生み出さない。 物流や在庫の無駄をなくし、お客様にとって最も便利で効率的な方法で、お客様の求める商品をお届けする。 これが私たちの挑んでいることです。 まだまだ足りないことだらけですが、正しい方向に進んでいると確信しています。

私たちのサステナビリティステートメント服のチカラを、社会のチカラに。」は、 このLifeWearの考え方を中心にすえたものです。 取り組むべき重点領域として「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」 「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」を定めました。 私たちはこれらの実現に真剣に取り組んでいます。

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
これはファーストリテイリンググループのステートメントです。 まず、自ら変わり、世界を変える。私たちは時代を超え、国境を超え、世界のあらゆる人々に 服を着る喜び・幸せ・満足を提供し続けることで、より良い世界の実現に全力を尽くすことを約束します。

2019年1月 株式会社 ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井 正

 

 正直、ページの作り込みには満足できない。が、柳井さんのことばは熱い。

 

服のチカラを、社会のチカラに。

 ユニクロサステナビリティステートメントがこの言葉だ。ホームページには素材の調達方針が記されている。コットンなら次のような調達方針になっている。このほかに、セルロース、動物系素材の調達も書かれている。話題のオーガニックコットンについての考え方を記載して欲しいと思う。

 

植物系素材の調達

コットン
ファーストリテイリングは2025年末までに、サステナブルなコットンの調達比率100%をめざしています。当社の考えるサステナブルなコットンとは、以下の条件を満たして生産されているコットンです。

  • 水、農薬、土地の利用、農家の労働環境、収入などの課題が改善されている地域から調達されている
  • トレーサビリティによって上記の課題が確認できる
  • 商品としての品質・価格においてもお客様満足が達成できている

米国産とオーストラリア産のコットンは、トレーサビリティや環境面、労働環境面での管理レベルが高いため、サステナブルなコットンと考えています。また、ベター・コットン(下記「ベター・コットン・イニシアティブ」参照)もサステナブルなコットンに該当すると考えています。

・ベター・コットン・イニシアティブ
ファーストリテイリングは2018年1月、サステナブルなコットンの生産をめざすNGO「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」に加盟しました。BCIは、綿花を生産する農家に水の適正な使用や殺虫剤などの農薬の使用方法を教育することで、より良いコットンの栽培方法を普及させる取り組みを行っています。BCIの基準を満たした綿農家はベター・コットン生産者として認定されます。

ウズベキスタン産コットンの不使用
ウズベキスタンにおいては、コットンの収穫時に政府主導の児童・強制労働が行われているという懸念が指摘されています。ファーストリテイリングは、国際機関やNGOなどの検証により問題が解決されたと認められるまで、自社商品にウズベキスタン産コットンが使用されることのないよう、サプライチェーンにおける不使用を徹底します。また、NGOや他のアパレルブランドと連携して、ウズベキスタンにおける児童・強制労働問題の解決に向けて働きかけていきます。( 出所:ファーストリテイリングホームページ)

 

www.fastretailing.com

 

UNIQLO Sustainability

 ユニクロのホームページを確認すると「UNIQLO Sustainability」というページがある。

 アクセスし難い問題とストーリー性がないことが気になる。ただ、サスティナブルな活動をやってますとの情報発信に留まっていないか。

 

www.uniqlo.com

 

ユニクロの脱プラ活動 

ショッピングバッグを有料化。ユニクロジーユーが「脱プラ」を宣言

ファーストリテイリングは、環境問題対策の一環として「脱プラ」を宣言。2020年内に店頭での使い捨てプラスチック包装を、グループ全体で85%削減する方針。ユニクロでは、2019年秋冬シーズンから一部の商品でプラスチック製パッケージを廃止する予定だ。

この取り組みは、全世界のグループブランド約3500店舗で実施の予定。9月1日からは、日本をはじめとした12の国や地域の店舗で、ショッピングバッグを「紙製」に切り替える。同時にエコバッグの販売もスタート。日本国内のユニクロジーユーでは、20年1月14日からショッピングバッグが一律10円(税抜)に有料化される。(出所:2019/07/14TABI LABO)

 

tabi-labo.com

 

 

 

 もっとストーリーを

  この他にも素晴らしい活動がある。もっとストーリー性を高めて発信できないのか。

「豊島・ゆたかなふるさとプロジェクト」

 ユニクロが「瀬戸内オリーブ基金」に賛同して、この基金にかかわりを持っていることを知らなかった。この基金が弁護士の中坊公平さんらによって立ち上がったところまでは知っていたが、こうして今も活動が続き、ユニクロが関わっていたとは。

 この豊島問題は、環境問題での住民活動の原点みたいもの。豊島に産廃が持ち込まれ始めたのが、1978年、そこから数えると40年。実に長い年月が経過している。

 

「豊島・ゆたかなふるさとプロジェクト」(2017)

 

グラミンユニクロバングラデシュ

 もうひとつ興味を持ったのはバングラデシュ グラミン銀行との協業によるグラミンユニクロの活動。

 

ユニクロは、ノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏が創設したグラミン銀行グループとともにソーシャルビジネスを開始し、バングラデシュ合弁会社GRAMEEN UNIQLO Ltd. (グラミンユニクロ)を設立しました。グラミンユニクロの服はバングラデシュで生産、販売され、そのすべての収益はビジネスに再投資されます。カジュアルウェアや伝統服だけでなく、利益がすべて貧困者の支援に使われるチャリティーTシャツも展開しています。工場で働く人たちが、健康的な生活を営むための基礎教育(栄養や家計に関する知識など)を身につけ、安心して働くことができる環境を提供することで、バングラデシュの社会に貢献していきます。(出所:ユニクロのホームページ)

 

www.uniqlo.com

 

www.fastretailing.com

 

まとめ

 この記事を書こうと思ったきかっけを与えてくれたのIDEAS FOR GOODさんの記事でした。

 ユニクロについて、「幅広く多種の事業に取り組んでいるため活動の影響力が大きく、もっとも環境を変えうる力を持っている。」との指摘があった。

 国内の環境意識は低迷したままで危機感さえおぼえる。ユニクロがもっと多くの人に伝わるように情報発信することができれば、なにか変化のきっかけになることにつながらないか。

 IDEAS FOR GOODの記事には有益なアンケート調査結果もあり、また、ユニクロのWebサイトの問題点の指摘もある。是非もっとサスティナブルな情報を発信し続けて欲しい。海外メーカに比べストーリー性が弱く見劣りしている。これだけの活動しているからこそ、期待したい。今、企業のCSR、広報のあり方が問われてるときでもある。

 

UNIQLOユニクロ
株式会社ファーストリテイリングを代表するブランド、ユニクロUNIQLO)のサイトは企業サイトとECサイトが一体化した作りになっていることもあり更新頻度も高く、訪れるたびに新しい情報が得られるサイトです。

アンケートの回答であったのは「幅広く多種の事業に取り組んでいるため活動の影響力が大きく、もっとも環境を変えうる力を持っている。そういった社会的責任を企業サイトで述べている」という企業のパーパスが明確なことへの評価。当サイトでは「ユニクロサステナビリティ」という項目で、わかりやすく海外での現地レポートや動画などを公開しています。また、サイトでは企業で働く多様性のある社員を動画などで紹介し、企業で働く人の想いがありのままに見えることが評価されました。(出所:IDEAS FOR GOOD) 

 

ideasforgood.jp

 

 

 

追記

 柳井さんの著作の「一勝九敗」に23条にもおよぶ経営理念が記載されている。この理念からもストーリーを作っていくことはできるのではと思う。

第十六条 商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の表面よりも本質を追求する経営

第十九条 自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営

第二十一条 人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営 

(一部のみ記載)

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

 

 

 参考:豊島産廃問題

 私がこの問題を知ったのはこの本からでした。解決が難しいとされたこの問題も住民活動から解決することに。今の環境問題の解決の糸口にならないだろうか。

 

我々は我々の世代だけのために闘っているのではない。つぎの世代のために、次に続く子孫のために闘っている。 豊島の廃棄物問題は、人間の尊厳を問い直す問題だと思う。その意味で、豊島問題は限りなく広く、限りなく長く、限りなく深い。それが歴史の批判に耐えられる我々の住民活動なのだ。」(中坊公平

 

 この中坊さんの声は、今の世界、今の環境問題にも通用する言葉ではなかろうか。

 

中坊公平の闘い 決定版〈下〉 (日経ビジネス人文庫)
 
中坊公平の闘い 決定版〈上〉 (日経ビジネス人文庫)
 

www.olive-foundation.org

 


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最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

 「関連文書」

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