これからの消費の中心になっていくミレニアル世代、Z世代。インターネットが普及してから育ったデジタルネイティブと言われる。社会貢献意識や環境意識が高く、保有することに執着しない、SNSを活用した高い発信力を持つと言われる。消費においても、メリハリがはっきりしていて、自分のこだわりへは積極的にお金を使うのが特徴のようだ。
これからの消費を考えるとき、彼らのこうした考えを取り入れることが重要なことになっていくのかもしれない。彼らへ向けて、どんなメッセージや商品のストーリーを伝えていくのか問われる。今までの大量生産・大量消費よりも個性や独自性を大切にする彼らに向けて。
環境保護のためなら、進んでライフスタイルを変えるミレニアル世代?
世界経済フォーラムの「グローバル・シェイパーズ・アニュアル・サーベイ」という報告書は、186カ国約3万1500人のミレニアル世代(18-35歳)を対象に調査が行われ、テクノロジー、経済、価値観、職業、ガバナンスについての若い世代の意見を集め、分析しているという。その内容をサステナブル・ブランド ジャパンが解説する。
SDGs達成に関心を寄せて行動も
ミレニアル世代は勤勉さに欠けるという評価はあるというが、気候変動に対し、前向きに取り組む姿勢がうかがわれると、サステナブル・ブランド ジャパンは指摘する。
「環境保護のためなら、進んでライフスタイルを変えるか」という質問に、80%近くが「変える」と答えている。
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に取り組んでいるというミレニアル世代の若者も約82%に上る。うち、約27%が直接的に、約55%が間接的に、SDGs達成のための活動を行っているそうだ。 (出所:サステナブル・ブランド ジャパン)
社会や環境問題に関心を寄せる「Z世代」
また、Z世代(13-19歳)の男女1000人を対象にした米コーン・コミュニケーションズのCSRに関する動向調査では、社会や環境問題に関心があるとの答えが87%にのぼったという。この数字はミレニアル世代を上回り、年齢が若いほど社会・環境問題への関心が高いことが浮き彫りになったと、サステナブル・ブランド ジャパンは指摘する。
地球の健康、環境に懸念し、企業の積極的な取り組みを求める
サステナブル・ブランド ジャパンによれば、調査に当たったコーン・コミュニケーションズの執行副社長は、「Z世代がスマートフォンを肌身離さない世代だとはいえ、実世界の問題を無視しているわけではない」と述べ、「この世代は実世界の課題に関心があり、実際のエンゲージメントを求める。そしてよりポジティブな変化の潮流をつくり出す企業を、支援したいと望んでいる」と続けたそうだ。
早期から「リサイクル」や「ダイバーシティ」といった教育を受けて育っているため、社会的な関心が非常に強い世代であるZ世代。
98%が、地球の健康状態を懸念しており、94%の人がこうした深刻な問題に、企業が積極的に取り組むべきだと考えている。 (出所:サステナブル・ブランド ジャパン)
身近なところにある「エシカル消費」
「エシカル」の語源は英語。直訳すると「倫理的な」「道徳上の」という意味。
「倫理的な」こととは、法的な縛りはなくても、多くの人が正しいと思っていることで、本来人間が持つ良心から発生した社会的規範です。(出所:2030 SDGsで変える)
日本では、2011年の東日本大震災発生から、社会貢献への参加、意識が強まったこともあり、「エシカル消費」への関心が高まり始めた。消費者庁も「エシカル消費」について以下のようなリーフレットを作成している。
リーフレットをみると、意外に身近なところから「エシカル消費」が始めることができそうである。「倫理的」と聞くとハードルが高そうで、敬遠しそうであるが。
「エシカル」について語るインドの人権活動家でノーベル平和賞受賞者のカイラシュ・サティヤルティ氏は言葉をIDEAS FOR GOODが紹介する。
自分にとって良いことが、他の人にとって、また、地球にとって悪いことでなければ、それは倫理的です。
自分が人生を楽しんでいても、それが他の人の犠牲やいかなる形であれ、搾取や虐待の上に成り立つものであってはなりません。自然に対する搾取もです。 (出所:IDEAS FOR GOOD)
- 環境への配慮:エコ商品を選ぶ
- 社会への配慮:フェアトレード商品を選ぶ/寄付金付き商品を選ぶ
- 人への配慮:障がいがある人の支援につながる商品を選ぶ
- 地域への配慮:地元の産品を買う/被災地の産品を買う
- 生物多様性への配慮:認証ラベルのある商品を選ぶ
企業に求められること
使い捨てや安価、大量生産・大量消費を良しとしてきた経済活動からより個性や独自性が求められるモノ、コトに変わっていくことを示唆しているのも「エシカル消費」の特徴だ。
消費者がエシカルを意識した行動に変わっている中で、企業側も行動を変化させていかなければならない。 消費の中心がミレニアル世代やZ世代にシフトしていくことを考慮すれば、なおさらのことであろう。
「本当にエシカルかどうかわからない」「価格が高い」ということが理由で、まだエシカル商品を買わない人たちもいる。
デジタルネイティブでもあるミレニアル世代やZ世代。この世代に理解や共感を生むメッセージ、商品ストーリーを伝えていくことがますます重要になってきているのだろう。
「この世代(Z世代)では社会的なコンテンツが口コミにより拡散される傾向がある。オンラインの口コミが他人を巻き込み、影響を与えると切実に信じられている。
企業はショートムービーやサンプルなどの、CSRのメッセージを共有するコンテンツとツールを提供することで、彼らの生み出す流れに深く入り込むことができる」と、情報拡散の手段としてソーシャルメディアが重要な役割を担っていることを分析した。 (出所:サステナブル・ブランド ジャパン)
「参考文書」