アメリカ産業界が株主第一主義から離別すると宣言した。驚きもあったが、その内容を確認してみると「なるほど」と納得できる。このニュースでもうひとつ興味があったのが、この声明を発表したのが、モルガン・チェイスの会長であったこと。
モルガン・チェイスの前身はモルガン商会。アメリカの影の支配者と言われ、長くウォール街を牛耳り、産業を支配し、アメリカ資本主義を代表する会社と言われた。その会社のトップが株主第一主義を捨てると宣言したことに皮肉さを感じた。
EU圏では環境などに配慮する企業への投資が主流になりつつある。化石燃料関連企業などから投資撤退するダイベストメントの動きも広がり始めているという。アメリカにおいても変化の兆しが現れているようだ。
投資もエシカルに。ニューヨーク証券取引所に世界初「ヴィーガン」ETFが上場へ | IDEAS FOR GOOD
世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所では、ヴィーガンと気候変動対策のためのETF(上場投資信託)が誕生する。2019年9月に米国証券取引委員会に登録され、2020年1月から投資受付を開始する。ニューヨーク証券取引所にはすでにESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮したファンドが数多く上場しているが、動物保護・クルエルティフリーに特化した投資商品はユニークで世界でも類を見ない。(出所:IDEAS FOR GOOD)
預金で社会貢献。顧客の意思を汲み、エシカル投資を行うオンラインバンクGood Money | IDEAS FOR GOOD
顧客の意思を尊重した投資を行うオンラインバンク・プラットフォーム「Good Money」。
サービスに登録すると、Good Moneyの普通株の一部が割り当てられる。会社の部分的なオーナーとなった顧客の投票によって、銀行の投資先が決定するのだ。投資先の候補となるのはクリーンエネルギーや森林再生など「サステナブルな事業のみ」。Good Moneyが上げた収益の50%は、インパクト投資(利潤追求だけでなく社会的・環境的に良いインパクトを与えることを目的とした投資)と慈善寄付に充てられる。顧客は無料で登録が可能で、ATMでの引き出しにも費用はかからない。(出所:IDEAS FOR GOOD)
サステナブルブランドジャパンは、株主第一主義変更の背景には「ミレニアル世代の台頭」もひとつの要因として挙げている。
『社会的意識の高い投資家らが持続可能性、企業責任、社会的インパクトといった観点を持つ金融商品に膨大な額の投資を行うようになってきている』
IDEAS FOR GOODも、『世の中のために大それたことは出来ないと考える人でも、自分の預けているお金が倫理的で健全な投資を通じて世の中のために役立てられるとしたら―これは非常に手軽な社会貢献の方法ではないだろうか。』と指摘する。
今回の株主第一主義変更の声明には米企業181社のCEOがサインした。この中に石油メジャーのエクソンモービルも含まれている。
(関連文書)
Statement on the Purpose of a Corporation
毎年開催されているアースディでも『Good Design Money 〜 SDGs時代。おカネの未来をデザインする。』の討論があったようです。ご参考に
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