Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ユニクロと東レの理想的なコラボ

 

あらゆるビジネスの現場でサステナビリティについて質問され、特に若い人は敏感だ。それに沿った製品を作ることは非常にプラスになる

 

  日経ビジネスによれば、ロンドンの記者会見でユニクロの柳井さんがそう語ったという。 利益先行かと疑いの念もあったが、柳井さんの著作「1勝9敗」に目を通したら、疑いもさらりと消えてしまった。 

 

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

 

ユニクロ×東レが挑むペットボトル・古着再生服:日経ビジネス電子版

 

 この記事の中の東レの社長の言葉が印象的だった。

「リサイクルなどに対応できるように、以前からリサイクル技術を磨いていた。ただ量が少なくては採算が合わないユニクロの店舗網と回収システムがあるから、事業としても成り立つ」

 

 東レユニクロの協業の歴史は1998年に始まった。柳井さんの著作「成功は一日で捨て去れ」に簡単だが、触れられている。当時のユニクロを考えれば、どう見ても不釣り合いな関係。東レの先見性があったということなのか。そこからフリース、ヒートテックなどの大ヒット商品が生まれた。

  

成功は一日で捨て去れ (新潮文庫)

成功は一日で捨て去れ (新潮文庫)

 

 東レは素材メーカで化学メーカでもあり、プラスチックの原料を生産している会社。脱プラが世界の潮流になる中で、忸怩たる思いを抱えているのではと想像してしまう。 

 

www.toray.co.jp

 

 

 

 会社勤めしていた頃、東レとの協業を模索したことがある。結果としては流れてしまったが、東レには好印象が残っている。東レユニクロと組んで、リサイクル事業を進めていることが理解できる。そんな文化がある会社のように思えた。

 

 今回のコラボについて、東レからもプレスリリースが発行されている。

 

ウルトラライトダウンから回収したリサイクル・ダウンの活用

 お客様が着られなくなったウルトラライトダウンをユニクロの店頭で回収し、東レが新たに開発したダウン分離システムによってダウンだけを取り出します。その後洗浄工程を経て、新しいダウン商品の素材として活用します。今年9月から回収をスタートし(*1)、2020年FWシーズンから、リサイクル・ダウンを素材の一部に使用したダウン商品を販売する予定です(リサイクル品は、全ての商品ではなく一部商品となります)。

(*1)今年度の回収は日本のみです。難民支援向け商品とは分けて回収します。
 従来、布団などのダウンが含まれる製品のリサイクルは、解体を手作業で行うことが一般的です。ウルトラライトダウンの場合、表地が薄く縫製も複雑なため、解体の難易度が高く、従来の手作業ではダウンを効率良く取り出すことが困難でした。今回、ウルトラライトダウン専用の分離機械の開発によって、ダウンの切断、攪拌分離、回収までを完全自動化させ、従来の手作業に比べて約50倍の処理能力を実現しました。また、ダウンが舞い飛ぶ環境下での手作業を廃止することにより、作業者の負担軽減にも配慮しています。 (出所:東レ プレスリリース)

 

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(資料出所:ユニクロ公式サイト プレスリリース

 

PETボトルリサイクルポリエステルを使用したドライEX

 回収PETボトルから作られるリサイクル繊維はこれまでも存在していましたが、回収されたPETボトルへの混入異物により、特殊な断面を持つ繊維や極細繊維の生産は困難でした。また、従来のリサイクル繊維ではPETボトルの劣化などによる黄ばみの問題があり、その克服が課題となっていました。
 今回開発するドライEXには、東レの新しい高付加価値PETボトルリサイクルポリエステルを使用。リサイクル原料中の異物を除去するフィルタリング技術により、バージン原料同様に特殊な断面や多様な繊維の製造を可能としました。
 さらに、東レ独自のリサイクル識別システムで、PETボトルリサイクル繊維のトレーサビリティを実現しました。2020年SSシーズンから、この新たなリサイクル・ポリエステルを使用した、高機能速乾ウエア「ドライEX」の生産を開始します。

 ユニクロ東レは今後も、それぞれの強みを生かした協業を通して、より良い社会を願うお客様と共に、持続可能な地球環境に貢献し続ける事業の構築を推進していきます。(出所:東レ プレスリリース)

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cs2.toray.co.jp

 

 

 

 化学メーカにとっては苦しい時代が来たと思っていた。

 しかし、脱プラや循環型社会を考えるとき、化学メーカの知見と設備は必要不可欠なのかもしれない。独化学大手のBASFもシューズメーカとコラボしてリサイクル材の開発を進めている。

 レジ袋の原料についても、少し調べてみたいとの気持ちになった。

 

 

「関連文書」

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