2019年9月に開催された「Apple Special Event 2019 "by Innovation only"」のラストを飾ったのが、リテール部門を率いるバイスプレジデントのDeirdre O’Brien氏。そのとき、映し出されたスライドに、「Good for you, good for the planet」との言葉が、感動でした。
Good for you, Good for the planet
O’Brien氏のプレゼンを、「iPhoneを買う」から「Appleの体験を買う」にと、マイナビニュースは伝えた。
良好な状態のiPhone 8 Plusを下取りに出すとiPhone 11 (64GB、699ドル)は399ドルまたは16.62ドル/月 (24回分割)で購入できる。
下取りプログラムというのは珍しいものではないが、Appleが米国のストアで提供しているトレードインやiPhone UpgradeプログラムはプロセスがApple直営店らしい体験でとても快適だ。トレードイン・プログラムを活用することで、iPhoneユーザーは出費を抑えて簡単に、使用しているiPhoneから最新のiPhoneにアップグレードできる。これもAppleが提供するサービスの1つである。また、キーノートでは触れられなかったが、保証サービスのAppleCare+に、ユーザーがキャンセルするまで月単位で更新し続けられるプランが設けられた。24カ月というような長期ではなく、不要になったらキャンセルできるサブスクリプション型の柔軟なプランになるようだ (出所:マイナビニュース)
Apple Trade In とはどんなプログラム?
対象となるデバイスを、オンラインまたはお近くのApple Storeで下取りに出すと、新しいデバイスの購入価格から下取り額分が割引されます。下取り額分をApple Storeギフトカードで受け取り、好きな時に使うこともできます。下取りの対象にならないApple製デバイスは、私たちが無料でリサイクルします。あなたにも地球にも良いニュースです。(出所:Apple Webページ)
簡単に言えば、下取り/リサイクルサービス。Apple製品の下取り価格はWebページで確認できます。また、他社デバイスも下取りの対象とのことです。下取りされたiPhoneを中古市場で流通させることが困難と判断されると、Appleが「Daisy」というリサイクル・ロボットを使って分解・リサイクルするようです。
買い替え需要の喚起とも思えますが、Appleの狙いはそれだけではないようです。
あなたにとっては使い終わったデバイスでも、まだ世界のどこかで活躍できる可能性があります。そこで、Apple Trade Inというシンプルな仕組みを用意しました。使い終えたデバイスを下取りに出すと、あなたは新しいデバイスを割引価格で購入でき、デバイスは新しいユーザーのもとで再利用されます。下取りの条件を満たさない場合は、Appleが無料でリサイクルします。
下取りでも、リサイクルでも、地球から採掘しなくてはならない素材の量を減らすのに役立ちます。あなたにとっても、地球環境にとっても良い話です。 (出所:Apple Webページ)
iPhone分解ロボット「Daisy」とはナニモノなの?
Daisyは「iPhoneの中にある貴重な素材を一段と多く回収するためのもっとも革新的で効率的な方法」。9モデルのiPhoneに対応し、1時間に最大200台のiPhoneを部品に分解し分類する能力を備えます。アップルいわく、最終的な目標は製品の材料をすべてリサイクル素材や再生可能素材に置き換え、資源の採掘を完全にやめること。(出所:enagadget日本版)
なぜ、Appleは環境問題にそんなに真剣に取り組むのか?
企業は、経営者の写し鏡であり、その長い影とも言われる。
クックCEOはこんなことをいったそうだ。
利益が全てじゃないよと。
Apple Insiderによれば、クックCEOはいらだったように「我々は利益以外の動機からも、たくさんのことをしています」と答えました。さらに、「その考え方が気に入らない人は我々の株を手放すべきです」とまで発言したそうです。(出所:GIZMODO 2014.03.04)
アップルのクックCEO、環境重視にアンチの株主を一喝 | ギズモード・ジャパン
アップルは製品づくりにおいて革新的であるだけでなく、社会的責任を果たすという意味でも先進的なポリシーを進めつつあります。特に地球環境保護に関しては、たとえば自社で使う電力を100%再生可能エネルギーにすることを目標に掲げたりしています。
ティム・クックの言葉でいえば、アップルは「我々が最初に見たときよりも良い世界を残す」ことを目指しています。たしかに会社の成長過程では社会に対して何らかの負荷もかけているはずなので、それを元に戻すためにいくらか投資をするのは道義的責任と言えそうです。
2016年のSpecial Eventでは
2013年にAppleの副社長に就任したLisa Jackson氏が登壇し、Appleの環境の取り組みについてプレゼンしていた。
ひとつは環境。ストアやすべてのオペレーション、データセンターで100%再生可能エネルギーを使う目標を立てた。現在は93%。米国内および23の国ではすでに100%。
データセンターでのエネルギー消費からパッケージのリサイクル素材まで。環境への取り組みを解説。リサイクルへの取り組みについて、ロボット「LIAM」を紹介。アップルのエンジニアが設計。iPhoneを部品・素材に分解して再利用。
ジャーナリストの松村氏は「アップルのように環境配慮を積極的にアピールすると、たとえ企業が本気で意識していたとしても、顧客からはブランディングの1つに過ぎないのではないか、とみられることもある。しかし顧客にも何らかの実利を与えることが、最大の理解に繋がるのではないだろうか」と指摘する。
バッテリーの持続時間が伸びると?
昼間充電しながら使ってきたノートパソコンが、まるでスマートフォンのように、夜帰宅してから充電するだけになった。
電池の残量を気にしながら行動することがなくなった。自社を選んでくれる顧客にこうしたメリットを提供しつつ、しかし結果的にアップルとしても温室効果ガスの削減に成功している。
こうした巧妙なパズルを、今後も繰り返していかなければならない。技術革新に加えて、アイディアと行動力を必要とする、非常に面白い分野と言えるだろう。
Appleの環境活動の本気度が伝わりましたでしょうか。
今回のSpecial Eventでは、最後のパートで「Trade In」をさりげなく紹介しただけでした。それでも、Good for you, goo for the planet との言葉を会場に映し出しました。やっぱり、きちんと主張したいとの思いがあったのでしょうか。
今回のSpecial Eventには、まだ隠されたものがあるように思えてなりません
(参考) 2019年の進捗報告書(英語PDF)
「関連文書」
最後までお読みいただきありがとうございます。