分散型電源に注目が集まっている。台風15号、19号で発生した大規模停電がきっかけになったのだろうか。
ライフラインの寸断は地域住民に大きな負担を強いる。台風15号で被災した千葉では、大規模停電に加え、断水が長期化した。停電により電源が途絶えれば、水道設備も稼働することができない。電気に頼るライフラインの脆弱性なのかもしれない。
こうした状況から、分散型電源に注目があつまる理由が分かる。従来の電力線に頼らず、自律的に稼働できるのが分散型電源の強みだ。
分散型電源では再生可能エネルギーを電源にした方が有用性が高さそうだ。太陽光発電ばかりではなく、それ以外の電源がもう少し注目されてもいいのかもしれない。
『水道管と用水路が「発電所」に マイクロ水力発電』との日経ビジネスの記事がある。
マイクロ水力なら初期費用が抑えられるうえ、売電収入も見込めるため投資を回収しやすい。だからこそ、財政が厳しい自治体が相次いで導入しているのだ。(出所:日経ビジネス)
ダイキン工業は、水道管で発電する設備を開発し、リコーやNTNは用水路での発電の実用化を目指す。日経記事は次のようにも指摘する。
導入対象は水道管だけではない。工場の排水設備や農業用水など、これまで見捨てられていた水流も有望だ。DK-Powerの松浦社長は「農林水産省の調査では、日本には農業用水だけで40万km、地球10周分もあるのに、水力発電ではほぼ未利用。導入余地が大きい」と説明する。(出所:日経ビジネス)
「水流」をエネルギーに変えるのが水力発電。大がかりな開発が必要なダムばかりでなく、日本各地に豊富にあるこれらを利用しない手はないだろう。
マイクロ水力発電を普及させるため、ダイキン工業は新たに会社を設立し、自治体の水道設備にこの装置を設置し始めた。
リコーもマイクロ水力発電装置の開発を急ぐ。既存の導水管や農業用水路など、小さな水流に設置する。2020年中での実用化を目指し、実証実験を進めているという。
太陽光発電は雨の日や日差しのない夜間には発電できない。風力も、強さや風向きは、まさに風任せで、自分でコントロールできない。一方、川や水道管は昼間も夜間も一定量が流れているため、マイクロ水力発電は稼働率が高くなる。
と、日経ビジネスは指摘し、ダイキンのマイクロ水力発電を導入した長岡京市での実例を示す。
『長岡京市ではシステム稼働率が85%を超えている。13%ほどである太陽光発電よりも稼働率は高い』
今でも使用されている大規模発送電は、100年以上も前に、ニコラ・テスラとウエスティングハウスによって始められた。エジソンの分散型電源に対抗、より効率性を重視したシステムだった。 エジソンは発電機を大量に売ろうとの野心で分散型を所望したかもしれない。
様々な再生可能エネルギーが開発され、国内各地に電源が点在するようになった。そろそろ大規模発送電を見直す時期ではないであろうか。
メガソーラーや風力ばかりでなく、都市にある「小さな水流」も注目すべきかもしれない。断水対策の一助になる可能性もありそうだ。
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