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行き場がなくなる廃プラ 千葉で起きた廃プラ長期放置問題の裏側

 

  廃プラなど産業廃棄物を千葉県木更津市の山林に放置、千葉県が指示した期日までに撤去しなかったとして、埼玉県の廃品回収業者が逮捕された。

 千葉日報は、『廃プラなどを巡っては「リサイクル資源」として主要な輸出先だった中国で、13年に輸入規制が厳しくなり、18年以降に受け入れが禁止となった。県警は中国の規制強化により、受け入れ先がなくなった廃棄物を玉川容疑者が木更津市の山林に放置していたとみて調べている』と伝えた。

  

www.chibanippo.co.jp

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www.news24.jp

 

 中国が廃棄物輸入規制を実施したことで、行き場がなくなった廃プラということなのであろうか。そうであれば、同じような問題が発生しかねない。

 

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 中国の廃棄物輸入規制で何が起きたか

 中国政府は2017年に廃棄物輸入に対する大幅な規制を発表し、2018年 1 月に同規制を施行した。それまで中国は、世界中から莫大な廃プラや金属クズ、古紙等々を輸入していた。ある意味、中国が世界のリサイクル工場であったが、海洋へプラスチックを流出させる世界最大の国も中国であった。海洋への流出は国際社会から批判を受け、また、中国国内には廃棄物とともにさまざまな危険物質や汚染物質などが入り込む。中国が輸入規制に踏み切る理由がそこにあるのだろう。

 中国の輸入規制後、廃棄物は東南アジア諸国に向かったが、そこでも受け入れを拒否との報道もあった。行き場を失った廃プラが国内に滞留し始めているとの分析もある。

 

  公益財団法人東京都環境公社が「東京港からのプラスチックくずの輸出量、輸出価格、輸出単価の月単位での推移」を公表している。

プラスチックくずは、2017年12月においては、東京港からの輸出総量が940千トンであったが、2018年1月においては、6,111千トンまで減少した。うち中国向けは2,486千トンから107千トンまで減少した。

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 (資料出所:  公益財団法人東京都環境公社

 

 また、同法人は、【廃プラ市場の現状や変化・課題】についても公表、 処理業者の声をまとめている。

 それによれば、多くの処理業者の稼働率が限界に達していて、受入れに関する問い合わせは増えるものの、新規の受入れは行っていないという。また、「全体の排出量は変わっていないが、今回の輸入規制の煽りで何件か廃業した業者はいた。中小零細で資金力がなく、急な対応はできなかったということだろう」との声もあった。

「関東圏内の焼却施設は他社も含めてほとんど受入余剰がないだろう」

「受入量の拡大は検討していない」

「新規の契約では処理後の加工物を排出事業者に返却するようにしている。加工物の処理先が確保できない場合は基本、契約しない」

「現在発生している残渣もスムーズには処理できておらず、400t程度の在庫を抱えている。今後は新規搬入先の検討をしなければならないだろう」(出所:東京都環境公社)

 

 また、処理費用も、輸入規制後に変化、値上がりが生じている。

 

「2017~2018年から比べると処理料金は上がっている。処理に係る薬剤費や炉の表面に施工する耐火材のコストが上がっていることが値上げの理由である。廃プラだけでなく、受け入れる廃棄物全般を値上げしている」

「当社からの処理先への処理料金が上がっているため、お客様に対して廃棄物処理手数料の20%前後の値上げを交渉している。理解を示してくれない場合は、継続業務に支障が生じる恐れがある場合、契約をお断りする事もある」(出所:東京都環境公社)

 

www.tokyokankyo.jp

 

 

中国輸入規制後のEUでの対応

EUでは、2018年に「プラスチック戦略」を発表、「2030年までに全てのプラスチック容器包装を埋め立て禁止としリサイクルへ」、「使い捨てプラスチックを削減(レジ袋以外にもストロー、ボトル、コーヒーカップ、ふた、刃物など)の法的規制も検討」などを上げた。実際に、使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案が昨年成立し、ストローやカトラリーなど一般的に利用される使い捨てプラスチック製品が禁止対象となった。

 

まとめ

 千葉での廃品回収業者逮捕のニュースを聞き、中国の廃棄物輸入規制後の廃プラ動向が気になり調査した。東京都環境公社が公表している【廃プラ市場の現状や変化・課題】をもとにすれば、

・プラスチックくずの輸出は減ったが、昨年9月までは東南アジアへの輸出は続いている。

・国内処理業者の稼働率が上限に達しつつあり、これ以上の受け入れ余地が少ない

 マレーシアはじめとする東南アジア諸国でのプラくず輸入規制で、同地域への輸出がこれ以上に減ずれば、国内の処理能力が限界に近づくなかでは、どこかに滞留する危険性が高いという推論が成り立ちそうだ。

 

 東京都は、昨年10月に「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について」(東京都廃棄物審議会)についてを公表し、その中で、「廃プラスチックの適正な処理・有効利用を確保するための緊急的対応」を提言している。

 

外国政府による輸入禁止措置等により、廃プラスチックの処理・有効利用の需給がひっ迫しており、処理業者における保管場所の確保が厳しくなる中、受入先が確保できないことによる不法投棄の発生についても懸念される。特に、材料リサイクルが困難なものについては、排出段階での分別回収の推進を図りながら、当面の緊急的対応として、産業用の原燃料化など廃プラスチックの有効利用の拡大を図ることが重要である。

 都は、国内に滞留する廃プラスチックの適正な有効利用の推進に向け、業界団体等の取組を後押しし、新たな国内資源循環ルートの構築を図っていくべきである。

 

 東京都廃棄物審議会の危惧が、千葉で現実化したということだろうか。東京都ばかりでなく、各自治体での緊急対応の必要性が高まっているようだ。

 

「参考文書」

www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp

www.jetro.go.jp