Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【SDGs】サスティナビリティで評価される企業は何が違うのか

 

 長くバリューチェーンサプライチェーンの仕事に携わってきた。その効率化やムダ取りが最大のミッションだったのかもしれないが、その他にも取引先を3か月ごとに評価し、問題点などがあれば指導したり、その評価結果をもとに、新たな評価基準を作ったりすることも仕事のひとつだった。あまり成績がよろしくない企業には退場いただくこともしばしばあった。

 それもあって、新たな取引先の発掘調査 ベンダーサーベイは欠かすのことのできない仕事でもあった。色々なソースから情報を仕入れ、候補企業を絞り込み、現地調査する。そんな流れで仕事は進んでいく。現地を訪れてみると、あまり見たく光景に出会ったり、同じ業種でも会社による労働環境の差とか見ることもある。

 対象企業は大企業から小さな町工場まで様々だった。自分が所属する事業部の仕事が拡大し、いつしか他事業部の仕事や他社の仕事も手伝うようになった。訪問する企業も業種も様々で、その訪問する企業が取引している業種も様々であったりして、色いろなことを知りえる機会にもなっていた。

 そんな経験を長く積んできて、その企業を知ろう、理解しようとするときに、まず最初にチェックするのは、経営ビジョンや理念、方針、会って話ができるのであれば、経営幹部と面談することでおおよその企業のことが理解できるようになった。

 

 

 

住友鉱 ESGで高評価

 「住友鉱、植林事業など評価 出光興産は太陽光発電で苦戦」と報じた日本経済新聞の記事が目にとまった。 

住友鉱は国内外で大規模な植林事業を手掛けている。児童労働が問題視されるコンゴ民主共和国産の原料を使わないなど、ESGの取り組みをいち早く進めてきた。

アラベスクのESGスコアを構成する22の指標では「環境マネジメント」や「雇用の質(労働条件および従業員の満足度)」の評価が高い。....ノルウェー政府年金基金も株主に顔を出している。(出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 環境破壊の温床になりそうな鉱業が投資家に評価されることに興味を抱く。

  成功事例、ベストプラクティスを探し分析、SDGsやサスティナビリティにうまく活用することで、ビジネスにとってプラスになることを紹介できればとの衝動がどうも働いてしまうようだ。 

 住友金属鉱山が公表した『長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」を目指して「2030年のありたい姿 」』を確認してみた。

  

finance.logmi.jp

 

 投資家たちが評価することがわかる長期ビジョンだと感じた。それに加えて、見せ方がうまいなと感じる。

 

 

 

 

原点、別子の山を荒廃させた住友家 森林を回復させた住友鉱

 

 住友家が経営していた別子銅山から住友金属鉱山の歴史は始まるようだ。別子銅山も足尾と同様に、亜硫酸ガスの煙害によって森林破壊をさせたが、荒れ果てた別子の山々に植林を続け、青々とした森林を復元させたという歴史をもつ。

 

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 長期ビジョンの説明は、経営理念の説明から始まる。

 

(出所:住友金属鉱山ホームページ)

 

理念、そして、過去を活かす 2030年のありたい姿

 2030年のありたい姿を定義する。単なる「サスティナビリティ課題」の解決でなく、それが経営課題であると位置づける。これを言えている企業が少ない。

 

(出所:住友金属鉱山ホームページ)

 

(出所:住友金属鉱山ホームページ)

 

 既存事業で売上を維持しつつ、希少資源開発を行ない、これから伸長するであろうEVのリチウムイオン電池のリサイクルを事業化、また、それに関わる環境や人権を同時並行で解決するという。

 社会貢献として街中で環境保全するといい、一方で、鉱山が環境破壊につながっているとすれば、それでは矛盾が生じる、偽善的とみられても仕方あるまい。鉱山の環境改善があってはじめて、街中の環境保全活動が社会貢献につながる。

 

 

 

 

さらなる高みを目指す

 住友金属鉱山の独アラベスクのESGスコアは59であると日本経済新聞が伝える。

 ESGを意識した経営では海外企業が一歩先を行く。

アラベスクのESGスコアによると英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは62、米シェブロンは59だ。海外の石油大手は環境負荷の少ない液化天然ガスLNG)や再生可能エネルギーへの投資を拡大し、ESGの評価を高めている。(出所:日本経済新聞

 

 住友金属鉱山温室効果ガスの削減計画や気候変動リスクへの適応策がまだ不完全であることは否めない。こうした点が改善されるとESGスコアは改善されていくのであろうか。

 

 SDGsを事業に取り入れる際に参考にしてもよさそうと感じてしまった。