Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

持続可能性を取り戻す 「サスティナビリティ」with コロナ

 

 欧州では、一足先にアフターコロナ、ウイズコロナを見据え経済活動が再開され始めているようだ。

 独を代表する自動車メーカフォルクスワーゲンなどが生産を再開する。工場はコロナ対策を施し、ソーシャルディスタンスなど保健当局の規制に従う。

 Monoistによれば、EUの乗用車新規登録台数が3月単体では55%あまり縮小したという。落ち込んだ需要がどこまで回復していくのだろうか。急激なEVシフトはなかろう、足元の経済優先となってしまうのだろうか。 

 

 

地球の浄化 CO2の排出減とコロナ渦

 ニューヨークの原油先物指標WTIがマイナス値を付けるという異常事態が起きた。

「世界的に原油の需給が大きく緩み、貯蔵能力の問題もあることから、買い手は現物を受け取ることにあまりに消極的なため、常軌を逸したような安値でしか引き取らなくなる」とロイターは指摘する。

新型コロナ大流行が世界の原油需要を最大で日量3000万バレル蒸発させる恐れがある、という基本的な問題はなお解消されていない。それならば貯蔵施設はパンクし、価格は需給が均衡する水準まで下がらなければならない。20日の途方もない価格急落は行き過ぎの様相を呈しているかもしれないが、しっかりとした現実に基づいている。(出所:ロイター)

jp.reuters.com

 

 英Carbon Briefは、石油の需要予測やGDP予測から二酸化炭素の排出量のシミュレーションを行う。4月15日更新された石油需要を元にすると、2020年にコロナウイルス潜在的な影響は、2019年の排出量の5.5%に相当するという。

 WTOは、2020年に世界のGDPが実質で 8.8%減少し、その後2021年に5.9%の成長に跳ね返る可能性があるという「悲観的なシナリオ」を示した。Carbon Briefによれば、このシナリオの場合、GDPとCO2の歴史的な関係のみに基づくと、2020年のCO2排出量を約10%削減することになりうるという。

 地球の浄化。あくまでもシミュレーション値であろうが、コロナの影響は、毎年求められる世界のCO2削減量6%に匹敵する。逆に言えば、この程度に経済活動を抑えなければ、気候変動は抑えられないことを意味する。

www.carbonbrief.org

 

 

化石燃料の異変

そんな中、ロイヤルダッチシェルは、石油・ガス生産から排出される二酸化炭素を完全にオフセットするという。

jp.reuters.com

 

 Forbesは、アメリカの石油王が風力発電に投資すると伝える。

風力発電に熱心なのは、環境保護への取り組みを世間にアピールするためなのだろうか。彼は、きっぱりとこう言う。「それは違う。金もうけのためですよ」 (出所:Forbes)

 もう石油の魅力が失せ始めていることなのであろうか。 

forbesjapan.com

 

 

自然淘汰なのか、破綻相次ぐ 

 アパレル業界では、TSIホールディングスやワールドの大手が軒並み、3月の売上を大きく落としたようだ。その反面、西松屋チェーンとワークマンは、独自の特色を持った衣料品などで、売上が拡大したとTDBは伝える。

 今話題のパチンコ業界でも倒産する企業が出始め、旅館やホテル、美容院、接骨院などでも自己破産を申請、破産手続きを始める企業が増加する。

 コロナによる国内経済への影響を調査した帝国データバンクが、「新型コロナで下方修正した上場企業、200 社を突破」と発表した。 

 1. 「新型コロナウイルス」の影響を受けたとして業績予想の下方修正を発表した上場企業は 4 月 15 日までに累計 217 社(前回調査から 56 社増)となり、200 社を超えた

2. 217 社が下方修正をおこなったことで減少した売上高の合計は約 1 兆 7416 億 8300 万円(前回調査から約 3316 億 2900 万円増)となった

3. 新型コロナウイルス感染拡大に収束のメドがたたないなか、全国で関連倒産(4 月 16 日 15 時時点、61 件)も相次いでおり、影響の拡大が今後も懸念される (出所:TDB) 

 コロナによって、自然淘汰が始まり、人々の手にトリアージがされているのかもしれない。

 

解読が難しい連立方程式

 コロナは難しい課題を与える。

 コロナと戦いながら、経済活動を再開させ暮らしを守り、将来の気候変動のリスクにも備える。この難しい連立方程式を解いていかなければならない。

 

 

 コロナは、社会的な分断を起こす危険性もあるようだ。

Forbesは、「指導者たちによる「友敵」の強調は、悪くすれば「感染者バッシング」や感染が疑われる人々の差別へとつながりかねない」と指摘する。

 

ウイルスと共生する時代の倫理は

ニューヨークタイムスは3月初旬、「コロナウイルスで世界経済はサバイバル・モードへ」という記事を掲載したが、世界中で先の見えぬロックダウンが続く今や、生活の全領域が「サバイバル・モード」へとすっかり変貌してしまった。

しかし、モートンのエッセイが示唆するように「生」にとっては「alive」と「survival」の両義性こそが重要であり、ただひたすらに「生き抜く」ことだけを目指す硬直性は、むしろ私たちの「生」を破壊しかねない。(出所:Forbes)

forbesjapan.com

 

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真贋を磨く  「サスティナビリティ」with コロナ

ファッション業界の持続可能性をリードするステラ・マッカートニーがVogueで、こんなことを語っている。 

 パンデミック、従来のやり方に戻る可能性はある。でも、そうはなってほしくない。これまで持続可能なものづくりのあり方を実践してこなかった人たちも、この難局の中で別のやり方があるという認識を新たにしている。そこに私は大いなる希望を感じるわ (出所:VOGUE)

www.vogue.co.jp

 

「ステラが言うように、私たちに与えられた天然資源には限りがある。だから、生産と消費のバランスを今一度見直す必要があるわ。思うに、素材の無駄や過剰在庫は、デザインの欠陥から生み出されるもの。

他方、自然界には一切の無駄がなく、すべては完璧に循環しているの

中国が2月にロックダウンされたことで、同国の二酸化炭素排出量が25%も減ったことを指摘し、ステラはこう続ける。

「この短期間で私たちが目撃した自然のレジリエンスは圧倒的だった。ほんの少し私たちが止まった間に、自然は素早く回復したのだから。そこに私は大きな希望を見出しているの。

私たちが過剰な消費を自覚すれば、いつか地球をよりよい状態に回復することができると信じているわ」

(出所:VOGUE)

 経済は消費が支えている。消費が回復しなければ強い経済活動は生まれない。

コロナに乗じて、従来のままの価値観で利益確保に走る輩が出てくるかもしれない。

 

「消費は選挙」という言葉もある。真贋を見分けていかなければならないのだろう。

そうすることで、コロナの前より、さらに一歩「サスティナビリティ」を前に進めることになる。