現代科学をすれば解決できないことはないと考えがちだ。しかし、感染症についていえば、今までに根絶できたのは天然痘くらいしかないと言われている。
今まで、感染症の爆発的な流行パンデミックがおこるたびに、暫定的な対処をし、そこから何かを学び、ワクチンや治療薬などを開発し、公衆衛生を改善して、感染症を鎮静化、収束させてきたというのが歴史なのであろうか。今回のコロナも、同じように対処していくしか有効な手立てはないのだろう。このことは、コロナとの共生する道を探るということになるのであろう。
- 天然痘 初めて人類が根絶した感染症
- 感染症パンデミックの歴史と公衆衛生
- 自然との共生 天然痘ワクチンの秘話
- 花王の使命 人々の清潔で快適な生活に貢献すること
- サステナビリティとは、自然法則に従い自然と共生すること
天然痘 初めて人類が根絶した感染症
感染症パンデミックの歴史と公衆衛生
歴史を紐解けば、こうした感染症のパンデミックが公衆衛生を変えてきた。今回のコロナでどんな変化が起きるのだろうか。
産業革命の時期である1800年頃のイギリスにおいて、大きな公衆衛生問題が出現してきました。すなわち、大工業時代の伴う大量の農民の都市への大移動です。都市にはこれらの人々を受け取る受け皿がありませんでした。住居も、上下水道も、ごみ処理、糞尿処理も圧倒的に不足であり、これらの人々の健康状態は劣悪となり、コレラや結核が蔓延し、1840年前後の統計では、ロンドンの労働者の平均寿命は18歳と記されています。これらの衛生問題に関しては、世界で初めての公衆衛生に関する法律「Liverpool Sanitary Act」(1846)が出されました。公的機関が組織的に「健康を含めて人民の財産を守る義務が行政にある」ということを実践した最初であり、この後、次々に公衆衛生に関する法律が出されるようになりました。 (出所:(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会)
元々日本には、天然痘は存在しなかったという。Wikipediaによれば、6世紀半ば中国・朝鮮半島からの渡来人の移動が活発になり、エピデミックが見られるようになったという。
自然環境を変え、街を作り、そこに人が集い、人の往来が多くなることで、感染症拡大のリスクを同時に高めてきたということなのだろうか。
LCCが発達し、人々が活発に国境を越え、観光やビジネスに行き来するようになった。都市開発が進み、そして、肥大化した。ウィルスが伝染、増殖しやすい環境を作ったということなのかもしれない。
新たな公衆衛生は監視社会ということになってしまうのだろうか。それでは何か息苦しい。社会的距離政策が当面必要であることは理解するが、長く続くようであればコミュニティが崩壊しかねない。
コロナと共生する社会ということがテーマになっていくのだろうか。
自然との共生 天然痘ワクチンの秘話
ワクチンを発明したのは天然痘を予防する種痘法を始めたエドワード・ジェンナーと言われる。その後、パスツールなどに引き継がれていく。
エドワード・ジェンナーは“乳搾りの女性は決して天然痘にかからない”ということを知り、「乳搾りの女性は弱い天然痘—命を落とす危険がない牛痘—にはかかるけれど、天然痘自体にはかからないということ」に気づく(参考:BD)。それが天然痘のワクチン開発につながる。
天然痘のワクチン開発の秘話を聞くと、「自然との共生」がキーワードになりそうな気がする。そこには、コロナとの共生も含まれる。
「地球にとって2010年代が「過酷な10年」だったことを示す、10の事実」という記事をwiredが報じた。
こうした地球上での変化、自然バランスの変化は、ウィルスや細菌などにも何か影響を与えていないのであろうか。
花王の使命 人々の清潔で快適な生活に貢献すること
4月23日、花王が、「ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の進捗状況」を公表した。花王はの創業当時、「人々の清潔で快適な生活に貢献すること」を使命にしていたという。そして、それが今の花王の使命”人々の豊かな生活文化の実現に貢献する”になったという。
このレポートの中に、「花王らしさ の基本となる価値観」というのがある。「何を大切に考えるのか」を表し、この価値観にそぐわない事業や行動は行なわないという。
「正道」に立脚した「絶えざる革新」や「よきモノづくり」を大切にするという。
正道を歩む
「正道を歩む」とは、互いに敬意と公正さを持って接し、誠実、勤勉をこころがけ、組織ならびに個人として成果を高めるように努めることです。法と倫理に則って行動し、健全で実直な事業活動によって、すべてのステークホルダーの支持と信頼に応えます。商品と事業活動における安全性を確保するとともに、環境をはじめとする社会的課題の解決に取り組み、社会への責任を全うします。(出所:花王公式ウェブサイト)
花王のESG部門統括執行役員のデイブ・マンツ氏は、この発表の中で、2019年は、環境面そして社会面でも、懸念が地球規模で広がる中、変革を求める声が世界中で高まったと振り返る。
昨年、「サスティナビリティ」や「SDGs」への関心が一気に高まり、気候変動などの様々な社会課題が顕在化した。そうした課題たちが解決に向かう前に、このコロナがやってきた。
何か、自然からの警鐘のように感じてしまう。たまたま偶然のことなのか、それとも自然の摂理、自然法則に従ったことなのかは定かではないが。
サステナビリティとは、自然法則に従い自然と共生すること
人類は自然科学を発展させて、地球を含めた宇宙の中に在る自然法則を解明してきた。まだ解明されていないものもあるが、宇宙を含めすべては自然法則に従うと言われる。人間だけがこの法則から離れて活動することはできない。科学技術の発展も自然科学を応用したに過ぎない。様々な人間活動で地球を疲弊させているなら、どこかでバランスさせようとの力が働く、wiredが指摘する災害がそうした力なのかもしれない。このコロナもそうした力の一部なのであろうか。まだ解明されていない自然法則の一部なのかもしれない。
やはり自然法則を逸脱せずに「自然との共生」が何よりも重要なことなのだろう。それが、「サスティナビリティ」ということであろうし、花王のように、正道を歩むことで実現に近づいていくのかもしれない。そこから パラダイムシフトが始まるのだろう。