「コロナとの戦い」という表現はどうも似つかわしくないと感じてきた。「戦い」というと結果としての勝ち負けを求めるし、戦いに勝つまでというと、何か忍耐を強いられるし、心身ともに疲弊し、重苦しい雰囲気になる。そんな比喩よりも、「感染による被害を最小化するために」と素直に考えた方が前向きになれるのではないであろうか。
ニュージーランドが外出規制を緩和したという。ただ完全な規制緩和でなく、まだ様々な規制が継続される。ロイターによれば、商店や飲食店の休業は継続し、一部の社会活動も引き続き制限するという。
研究者による新型コロナの分析結果を伝えるニュースが増える。ただどれもまだ研究室レベルの確認で、確証を得ていないということであろう。
ロイターは、「米国土安全保障省の高官は23日、新型コロナウイルスに関する政府の研究で、日光が当たる場所や高温・高湿度の環境下では、より短い時間で威力が弱まる傾向が示された」と報じた。
夏なればと期待したいが、どんな夏がやってくることになるのだろうか。規制緩和に踏み切ったニュージーランドは南半球の国、これから冬を迎える。北半球と南半球で傾向の違いは現れるのだろうか。
未知のウィルスである以上、規制緩和は社会実証と言っていいのかもしれない。
国内でも新規感染者の傾向に変化が現れているのだろうか。自粛要請の緩和に向けた検討が進んでいるのかもしれない。政府、自治体がどんな緩和策を出すのか気になる。
ファーストリテイリングの柳井氏の提言を日本経済新聞がインタビュー記事で紹介する。
「コロナと共存し、感染拡大を徹底的に防ぎながらビジネスを継続する方策を考え、そうした策をとることもできるだろう」
一足先に経済活動を再開した中国の実情
「一度止めた経済を再び立ち上げるには時間がかかる。当社は中国でピーク時に半数の約390店を休業した。ほぼ再開したが、売り上げは以前の60~70%。長期間閉鎖した店に顧客は戻ってこない。他の産業でも同じ。中国でそうなら日本の復活はさらに遠い」(出所:日本経済新聞)
中国の粗悪マスクをAFPが報道する。AFPによれば、マスクの製造を新たに開始した企業は、今年1~2月だけで8950社にも上ったという。「手っ取り早く稼ぐ」方法として、事業所が違法な医療用品の乱造を続けていたと税関当局が指摘したと伝える。
いつでも、どこでも、目先の利益に走る輩がいる。
ドイツでは、マスク着用が義務化されるという。世界的なマスク不足はまだまだ続くのだろうか。CNNによれば、ドイツ政府は在庫の確保を急ぎ進めているという。27日にはドイツ軍がチャーターした輸送機がマスク1000万枚を積んで、中国からドイツのライプチヒ空港に到着したと伝える。
国内では、多くの企業がマスク生産を始めたり、輸入販売を始める。アイリスオーヤマは、不織布の内製を始め、国内での生産能力を2.5倍に引き上げ、1億5000万枚/月体制にするという。ただ、稼働開始予定は2020年7月だという。もう少し時間がかかる。
「日本企業の多くが国営企業みたいな意識になっていやしないか」と語るファーストリテイリングの柳井氏。
潮流として人工知能(AI)やコンピューターといったはやりの分野へ意識が向きすぎた。
世界の良識や英知をもっと頼り、本業でどう貢献できるかを考え、アイデアを世界中に求める。トップが先頭に立ってこの問題に対峙する。(出所:日本経済新聞)
FNNが、非常時における米国企業のコミュニケーションを紹介する。コロナ危機後、米国では、テレビCMがあっという間にコロナ向けのメッセージに切り替わったという。その対応の早さ、機動力は圧巻と伝える。
勇気は美しい(Courage is beautiful)
ユニリーバのパーソナル・ケアブランドの「ダヴ(Dove)」のCMに、次々と現れるのは医療従事者たちの顔だ。医療現場の第一線で働く看護士や医師の顔には、医療用マスクやゴーグルを長時間つけていた痕やあざがくっきり残っている。
ある者はまっすぐカメラを直視し、ある者は虚ろな眼差しでこちらを見つめ、ある者は軽くはにかんで見える。
そしてDove のCMは、「感謝のしるしとして、第一線で働く医療従事者のために寄付をしています」と、企業として感謝と支援の取り組みの表明で締めくくられる。 (出所:FNN Prime)
何もすべての企業が今必要な医療関連物資の提供に貢献できるわけではないであろう。こうしたコミュニケーションで、社会の不安を支える貢献があってもいいのかもしれない。
国会で、補正予算の審議が始まった。テレビに映し出される映像は相変わらずのようだ。
GWが始まり、地域外からの流入者対策として、空港や駅、高速道路のパーキングエリアなどで、サーモグラフィーや体温計で検温を実施する自治体があると読売新聞が伝える。読売新聞によれば、北海道、宮城、山形、群馬、長野、愛媛、熊本、鹿児島、沖縄、愛知、岡山、徳島が実施するという。
その岡山県では、「職員に危害を加える」といった脅迫めいた内容の電話などが相次ぎ、検温を中止するとNHKが報道する。
そんな中でも、医療現場では懸命なコロナ治療が続く。
「急増する患者への医療対応が臨界点に達しつつある中、治療の最前線を支えているのは医師や看護師らの強い使命感だ」とロイターは伝える。
聖路加国際病院の坂本さんは、医療現場のスタッフは長期戦に身構えているという。しかし、「病院が医療スタッフの犠牲や善意に依存して生き残ることはできない」と、長期戦への備えに懸念を示した。(出所:ロイター)
どういう形になるかはわからないが、いずれ非常事態宣言が解除されることになるだろう。ただ、それはあくまで通過点であってゴールということではないことは間違いない。第2波のリスクもある。その準備も怠ることはできない。
政府ばかりでなく、企業も準備し、問題解決に立ち向かい、何かの形で社会貢献していかなければならない。
活動制限令を2週間延長したマレーシアが製造業を再開させたと、マレーシアの友人がFacebookに投稿する。欧米諸国より先んじ経済活動を再開させたことを喜んでいるようでもある。
「流行が早く抑えられるように、問題を責めたり複雑にするのではなく、他人との協力を求め、経験を交換した方が良いことを証明した」
と言っていた。 見習いたいと思った。
「参考文書」