日常の決まり切った行いのことを習慣という。長い間そうすることによって、そうすることがあたかも決まりのようになっているという。一度身についた習慣を変えることはなかなか難しい。抵抗感すら感じることがある。
コロナ禍でテレワークが推奨されたからといって、なかなか普及しない理由にそういうこともあるのだろうか。急にそう言われても.....
自然界では慣性の法則が働いているという。人の思考というものもそれ従っているのだろうか。物理学の世界では「すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける」という。慣性を変えるにはその運動を変え得る外力が必要となる。習慣を変えるにも、それ相応の努力が必要なのだろうか。
アルミメーカ大手の日本軽金属の名古屋工場のJIS認証(日本産業規格、旧日本工業規格)が取消されたという。
日本軽金属によれば、1996年ころから、一部のアルミ厚板においてJISの規定と異なる方法で試験片を採取して引張試験を実施したにもかかわらず、製品にJISマークを付して、継続的に出荷していたことが認証取り消しの理由だという。
規定違反の行為でも、一度それが習慣となると、顧みられることもなくなり、第三者からの指摘でようやく気づくということなのだろうか。習慣のこわさなのかもしれない。
千葉県が、新型コロナの感染対策の独自基準で飲食店を認証するモデル事業を千葉市で開始すると発表した。
認証基準は、他県の事例よりも厳しく、建築物衛生法の対象施設に限らず「CO2(二酸化炭素)濃度の測定1000ppm以下」を必須項目とし、「利用者の氏名等の記録」等の4つの選択項目を設定しそのうち3項目以上を必須としているという。
NHKによれば、県の基準詳細では、従業員や客が取るべき対応が59項目あげられ、認証を受けるには少なくとも47項目を満たす必要があるそうだ。
「認証された店の時短要請の解除については国と協議してきたが時間が足りなかった。国からは実際に感染防止の効果が出るのかどうか問われているので、成果を踏まえて、認証店舗の時短要請の解除に向けて協議していきたい」と、千葉市長がNHKの取材に答えたという。
こうした事業で結果が示すことができれば、科学的根拠がないとの声もある飲食店への休業要請にも、根拠を与えることできそうだ。他の自治体でも千葉県と同様な認証制度を水平展開、導入してもよいのではなかろうか。いつまでも同じ対策を続け効果が薄ければ、それより良化することは期待できないのだから。
それまでの習慣を規制で縛れば、それは単に我慢を強いることになる。新たな慣習が生まれるような規則を設けて認証すれば、それがインセンティブとなり、習慣化していくのかもしれない。コロナが収束すれば不必要な規則を廃してもいいのだろう。
それでも、身につく習慣はコロナ前の公衆衛生より劣化することはなく、より資するものになっていくのではなかろうか。