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「働きがい」を感じるときはどんなとき、働きがいのある企業が評価されるポイント

 

 働くなら、楽しく働けるようにしたい、そんな願いを持つようになったのいつの頃だっただろうか。働きがいのある職場にしたいと願いは、なかなか難しいテーマなのかもしれない。人によって「働きがい」の感じ方が違うからかもしれない。

 企業の待遇や労働環境に関する口コミ情報サイトを運営する「オープンワーク」が、「働きがいのある企業ランキング2022」を発表した。

社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2022」を発表しました。 | オープンワーク株式会社

 このランキングは、「OpenWork」に投稿された「社員・元社員による、働く環境に関する評価点」を集計し、社員の働きがいをランキングにしたものという。

 

 

 「働きがいのある企業」の1位にはグーグルが選ばれ、2位には中外製薬、3位リクルートの順位になっている。

 オープンワークによれば、匿名の社員・元社員による自らの職場環境に関する8つの評価項目点を元に、OpenWork独自のアルゴリズムにより算出したそうだ。評価項目は、「待遇面の満足度」、「社員の士気」、「風通しの良さ」、「社員の相互尊重」、「20代成長環境」、「人材の長期育成」、「法令順守意識」、「人事評価の適正感」の8つだという。

重要視される「働きがい」

 企業にとって、「働きがい」の重要さが増していると日本経済新聞が指摘する。働き手の転職志向が強まる一方で、従業員の幸福度で投資先を選別しようとする機関投資家も増加していることが背景にあるそうだ。

「働きがいがない」が投資撤退の引き金になる日: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、オープンワークのサイトは約5万社の1200万件超の口コミがあるという。オープンワークは20年から投稿者の個人情報などを除いた上で、投資家にデータを有料で提供するサービスを始めたところ、多くの企業からの問い合わせがあるそうだ。

これほどオープンワークのデータが注目されるのは、従業員の幸福度が企業業績の先行指標と見なされるようになったためだ。(出所:日本経済新聞

 横浜国立大の研究によれば、投稿されたオープンワークの口コミと各社の業績には、一定の相関があり、働きがいの改善と業績改善や株価上昇にも相関があることが確認されたという。米国でも同種の研究結果が発表されており、「働きがい」が非財務情報として大きな注目を集めることになったという。

 

 

また企業の不祥事 東レがUL認証を不正取得

 東レが、プラスチックス製品の一部で米国の第三者安全機関の認証を不正取得していたと発表した。

東レ、安全認証を不正取得 一部樹脂で、10年前から | 共同通信

 燃え難さを示す「難燃性」の条件を満たすよう、製品とは別にサンプルを作成して提出していたという。不正は少なくとも10年前から行われていたそうだ。

 不正の仔細はまだ発表されていないが、なぜ不正に至ったのだろうか。この不正に巻き込まれた社員もいるのだろう。彼らの働きがいを剥奪することにもなったのかもしれない。

日本は従来労働環境が悪くても離職の心配が少なかったが、終身雇用が標準でなくなれば、企業は働き手の意欲の改善に取り組む必要が高まる。(出所:日本経済新聞

 日本企業の働きがいは世界最低と日本経済新聞は指摘する。こうした相次ぐ企業の不祥事も影響しているのだろうか。

企業抱く危機感

 労働市場の流動化が進むことは、企業にとって大きな脅威と日本経済新聞は指摘する。少子高齢化などでさらに人手確保が難しくなれば、業績に直接影響するようになる。

 こうした企業の焦りを映すかのように、「エンゲージメントサーベイ」と呼ばれるサービスが拡大してきているそうだ。

 日本経済新聞によれば、アンケートを通じて働き手の意欲を計測、人間関係の改善や面談を通した離職防止などにつなげるという。こうしたサービスを利用することで、実際、離職率を改善した企業もあるそうだ。

 このサービスを21年に導入したノーリツは「高い成果を生むには、会社やチームと個人のつながりを強化することが必要」と担当者が話しているそうだ。

 

 

「従業員幸福度の向上」が、ESG(環境・社会・ガバナンス)の開示対象に含めるようになる。そう予測する上場企業が50%を占めるようになってきたという。

  昨年6月に改定されたコーポレートガバナンス・コード「企業統治指針」にも人的資本投資について具体的に情報開示すべきだとの条項が盛り込まれていうそうだ。こうした動きで、企業の「働きがい」改革は進んでいくのだろうか。

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 シンガポールに駐在していたときはコーポレート部門所管のアジア統括会社に所属していた。その頃、出向元の事業部は業績が絶好調で売上、利益が急拡大し、全社でトップクラスの評価だった。

 ボーナス支給日に事業トップから直接電話で謝罪があった。事業部の仕事をしているにも関わらず、出向先がコーポレートであったために、ボーナス額に影響する業績評価で5段階の差があった。当然支給額に大きな差が生じる。わざわざそれについて申し訳ないと言ってくれた。そればかりでなく、出向先の責任者には最高の待遇で遇するように頼んだと打ち明けてくれた。そんな配慮があれば、やる気もわき、働きがいを感じるものだ。

 働きがいを改善するために専門会社に支援を要請することを否定はしないが、上司の心がけ次第のような気もする。それが何よりの良薬になるのではなかろうか。