予想通りのことだろうが、企業業績悪化のニュースが続く。
ユニクロの国内既存店売上が56.5%減少し、米国では、ウーバーが全従業員の17%にあたる3700人のレイオフを実施するという。AirBnBが全従業員の25%にあたる1900人をレイオフをするとのニュースを見ては、目を丸くする。コロナの影響の根の深さを感じる。
米国では、こうした苦境にあると、一度しゃがんで復活の準備を進めるようだ。国内では、雇用維持との流れが強いのだろうか。
そのAirBnBが、従業員向けCEOメッセージをウェブサイトで公開している。レイオフに関するアナウンスメントだ。
欧米企業はこうした手続きでレイオフやリストラが進んでいくことが多いのだろうか。
雇用を維持することで生じる問題を、「機会」に置き換えようとする。会社に留まることで、生じる不安や不満よりは、会社を去ることの方が「幸福」になれるチャンスが大きいという考えがあるのかもしれない。文化的な違いだろうか。
東京都のタクシー会社ロイヤルリムジンが、コロナを理由に、グループ運転手約600人に解雇方針を示していたが、グループ会社の目黒自動車交通の一部を稼働させると朝日新聞が報じていた。
朝日新聞によれば、金融機関に申し込んだ融資に難色されたという。運転資金の手当てにめどがたたない中で、会社を再開、雇用の維持したいということであろうか。2つある労組のうち、1つとは折り合っていないようだ。
足元、どれだけタクシー需要が見込むことができるのだろうか。厳しい状況が続くのかもしれない。
経営者、従業員ともに苦しい選択なのではなかろうか。
従業員の一部が、解雇は無効だとして、従業員としての地位確認を求める仮処分を東京地裁に申し立ていたという(参考:東京新聞)。
「戦わずして勝つ」と説いたのは孫氏である。
何度も孫氏の兵法書を読んだことがある。挫折すること数回、どうも、根本的には「戦い」ということが嫌いな性分なのかもしれない。読んでも腑に落ちる感じがしなかった。
「争って勝つことはスマートじゃない」との題名のnoteに目が止まった。note㈱のCTO 深津貴之さんが書いたものだ。
孫氏の兵法について書かれたもので、簡潔に要約している。素直に読めて、腑に落ちた。何度再読しても、理解していないと思っていたが、案外、無意識に理解していんだと思った。
深津さんがこのタイミングで書かれたように、今は「争って勝つ」時代ではないのだろう。
深津さんが、noteで書かれているように、「まずは協調戦略」なのであろう。言い争いは時間の浪費だし、互いに消耗する。国と地方、国と国、ビジネスでもそうなのであろう。
仲良くやるのに失敗し、棲み分けるのに失敗し、中立を維持するのに失敗し、従わせるのに失敗し、ビビらせるのに失敗し、やる気を無くさせるのにも失敗し、命乞いにも失敗し…そうやって、あらゆることに失敗して、最後にいきつくのが戦争というわけです。 (出所:深津さんのnote)
知らず知らずに身についた「共存共栄」という智慧も、もしかしたら「孫氏の兵法」の影響があったのかもしれない。
中国でコロナが急拡大し、欧米がコロナの巣窟になったときに、映画の「エイリアン」で描かれた世界のような気がした。これは駆逐しなければならない敵だと勘違いしたのかもしれない。エイリアンはSFの世界での話だ。
ウィルスも自然の一部に過ぎない。自然に抗い、戦いを挑んだところで、勝てるはずがない。どんなに強敵なウィルスでも宿主すべてを食べつくしてしまうようなことはしない。そこまで貪欲になっては生き続けることができないことを知っているのだろう。
人間も、人間の行為、ビジネスもすべて自然の一部である。ウィルスばかりでなく、すべてにおいて、「まずは協調」、調和を目指すべきなのだろう。そうすることで「共生」することもできる。それには、もちろん私たちが棲むこの星「地球」も含まれる。
「戦わずして勝つ」、その裏側にある「調和」「共生」の精神があれば、この難局を乗り越えていけるのではなかろうか。