Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

顧客を失ってハッピーというベゾス氏の勇気 アメリカは変わるのか

 

 アメリカは変わり始めたのだろうか。

 映画「風と共に去りぬ」が配信停止になったという。作品内の描写が偏見を含むことによるようだ。人種差別への抗議活動の影響が往年の名作にも及んできたと日本経済新聞は伝える。

 

www.nikkei.com

 

 NFLは、黒人プレイヤーの発言に耳を傾けなかったと謝罪し、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動を支持すると表明した。

 アマゾンのジェフ・ベゾス氏も同運動を支持する。

 

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 遺恨は何世代にもわたり残り、それが人種間や国家間の対立に発展したりするのではなかろうか。 

  

 昨年、独メルケル首相がアウシュヴィッツを初めて訪問し、「虐殺を行ったのはドイツ人だった。この責任に終わりはない」と過去を謝罪したそうだ。

メルケル氏はこの日、収容所跡のガス室や遺体焼却炉などを見て回った。現地での演説で、ドイツ人による犯罪が行われたことを「われわれは忘れてはならない」と繰り返し強調。過去を直視する必要性を語った。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 メルケル首相の言葉は印象的だ。変えることのできない過去に対する責任の深さを知る。

 

 

 

 アメリカ各地で、コロンブス像の頭部破壊が相次ぐという。また、イギリスでは、奴隷商人のエドワード・コルストン像が引きずり倒されたという。

ブリストルでは、コルストンの銅像が引きずり下ろされた後、抗議者のひとりが銅像の首に膝を押し付けていた。
銅像は台座から引きずり落とされた後に市内を引き回され、ブリストル湾に沈められた。 (出所:BBC Japan

 

www.bbc.com

 

 バンクシーが新作を発表し、奴隷商人の銅像とデモ参加者を描いたという。

 「ブリストルの真ん中にある空っぽの台座をどうする? コルストン像を恋しく思う人と恋しくない人の両方に対応できるアイデアがある。コルストン像を海から引きずり出し、台座に戻し、ケーブルを首に巻きつけ、彼を引きずり下ろすデモ参加者の等身大のブロンズ像をつくるんだ。誰もが幸せになる。素晴らしい日を記念して」。(出所:美術手帖

 

bijutsutecho.com

 

 アマゾンのCEOベゾス氏が、アマゾンの「ブラック・ライブズ・マター」運動への支持に、快く思わない人たちからの批判に反論したという。

 ブルームバーグによれば、抗議行動への同氏の支持を理由に、アマゾンでの買い物をやめると脅迫する人物から受け取ったという冒瀆(ぼうとく)的で、人種差別的な電子メールのスクリーンショットをインスタグラムに投稿、反論するコメントを投稿したという。

 

 「 you’re the kind of customer I’m happy to lose.」

 「この種のヘイト(憎悪)が陰に隠れることを許すべきでない。

可視化することが重要だ。これは問題のほんの一例にすぎない。

あなたのような種類の顧客を失うことをうれしく思う

 (出所:ブルームバーグ

 

www.instagram.com

 www.bloomberg.co.jp

 

 何かビジネスの世界での象徴的な出来事のひとつのように感じる。

 

 生活の一部になったECサイトであるアマゾンのページが「Black Lives Matter」とのバナーを表示し、それに対する批判に対し、CEOが臆面もなく反論する。 

 企業としてのアマゾンは、「正義と平等を支援する組織」に1000万米ドルを寄付し、それを公表した公式ブログ「day one」の記事トップの写真には、黒人の歴史を称え、旗の意味を祝うために、今年初め、Amazonのシアトルキャンパスに掲げられた汎アフリカ旗の写真が使用される。 

 

 アマゾンが、こうしたセンシティブな問題にも積極的にかかわり、その問題をビジネスを通して解決していくとの姿勢のように思える。

 

blog.aboutamazon.jp

 

 仕事は生活の一部。職場において、こうした問題に配慮があり、日常において平等性が保たれ、当たり前になれば、過去から続く遺恨が少しづつ解消されていくのかもしれない。

 

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 今、アメリカで起こっていることが何か象徴的な出来事のように思えてならない。

 新大陸を発見したコロンブス像の破壊、アメリカ代表するプロスポーツNFLの謝罪、巨大企業アマゾンの対応、そして、南北戦争時の米南部を舞台にした「風と共に去りぬ」の配信停止。

風と共に去りぬ』は、当時の米国社会で一般的だった民族的、人種的偏見を描いている。

歴史的背景の説明や批判を注記したうえで再び視聴できるようにするという。

「偏見の存在自体を否定することになる」ため、差別表現の削除や差し替えはしない方針だ。 (出所:日本経済新聞

 

www.afpbb.com

 

 バンクシーの提案がとても気に入っている。

 こうした光景を銅像として、残す時になっているのかもしれない。

 

www.instagram.com

 

 西アフリカの大西洋岸に、 「奴隷海岸」「黄金海岸」「象牙海岸」という呼称があったことを思い出す。「主要産品」にちなんでそう呼ばれていたという。

16世紀初頭のポルトガルの到来から19世紀初頭の奴隷貿易の公式廃止まで、大西洋岸の全域から多くの黒人奴隷が大西洋奴隷貿易で売られ、西欧や新世界(南北アメリカ大陸)へ運ばれる奴隷貿易船に乗せられた。

奴隷商人は現地の黒人の部族に旧式の武器などを渡し、他の部族を襲わせ、武器の対価として奴隷を獲得した(三角貿易)。その数は1000万人とも2000万人とも言われており、大多数が働き盛りの男性だったことから、アフリカの人的・経済的・文化的な損失となり、現在までの貧困の原因の一つとされている。 (出所:Wikipedia

 

 奴隷制度には長い歴史がある。それが今日の人種差別の発端だったのだろうか。

 リンカーンが、「奴隷解放宣言」をしてから150年以上の歳月が経つ。

 政治的に解決できないこうした問題が解決に向かい始めたのだろうか。

 ベゾス氏の行動が、リンカーンほどの重みがないかもしれないが、変化を生むきっかけになりはしないだろうか。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

 

 

「参考文書」

www.gizmodo.jp

 

www.bloomberg.co.jp

 

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