Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ジェフ・ベゾスのアマゾンと柳井正のユニクロの共通点は

 

 米アマゾンが「気候変動対策に約2100億円を拠出」とのニュースに驚く。地球を保護するための製品、サービス、テクノロジーを開発している企業に投資するという。

 

 アマゾンが立ち上げるこの新しい基金は、輸送と物流、エネルギーの生成、貯蔵と利用、製造と材料、食品と農業など、複数の業界の企業に投資し、未来のゼロカーボン経済のためのイノベーションを加速させるという。 

 アマゾンの公式ブログ「day one」は、CEOジェフ・ベゾス氏の談話を伝える。

「The Climate Pledge Fund(気候変動公約基金)」は、企業が炭素への影響を削減し、より持続的に事業を行うための製品やサービスを構築している先見の明のある起業家やイノベーターに投資することを目指している」

「スタートアップから老舗企業まで、世界中のあらゆる規模および段階の企業が検討される。見込まれる投資案件は、ゼロカーボンへの道を加速し、将来の世代のために地球を保護する可能性があるかによって判断される」

 

 設立された「The Climate Pledge Fund」は、2040年までにゼロカーボンになるというコミットメント「The Climate Pledge」を達成するための持続可能なテクノロジーとサービスの開発を支援するということになりそうだ。

  

blog.aboutamazon.com

 

 また、公式ブログでは、アマゾンのサステナビリティ・ゴール・プログラムの進捗状況をアップデートしている。

 2030年までに100%の再生可能エネルギーにすることを約束した「The Climate Pledge」関連では、世界中の91の再生可能エネルギープロジェクトを公表した。

 このプロジェクトでの再エネの供給能力は、年間760万MWhを超え、米国の68万の家庭に電力を供給できるという。

 また、米国のアパラチア山脈での森林再生プロジェクトやドイツのベルリンでの都市緑化イニシアチブなどに「Right Now Climate Fund」を通じ1億ドルの投資を行ったという。これに加え、2015年以降、発送用パッケージの重量を33%削減し、88万トン以上の梱包材(15億個の配送ボックスに相当)を削減したともいう。

 

 大量消費を助長するような世界最大級のECサイトのアマゾンが、世界最大級の「サスティナビリティ・プログラム」を動かし、着実に成果を上げている。

それでも、地球温暖化対策が不十分だとして米アマゾンの従業員は声をあげ、さらなる取り組みが必要だと主張しているという。

 ベゾス氏はそうした声に耳を傾けているのだろうか。

 今年2月、ベゾス氏は個人として、「1兆円のベゾス・アース・ファンド」を立ち上げた。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 ジェフ・ベゾス、全く不思議な人物である。

 気候危機時代の経営者のあるべき姿なのかもしれない。

 

 

 

 ユニクロの柳井氏が個人として、京都大学に総額100億円を寄付するという。

 日本経済新聞によれば、ノーベル賞受賞者山中伸弥教授と本庶佑特別教授の活動にそれぞれ50億円ずつ寄付するという。

 柳井氏は両氏に対し「日本を本当に良くしたいという思いは同じ」と述べ、「日本がコロナ後に衰退しないように頑張りたい」と話した。(出所:日本経済新聞

 

r.nikkei.com

 

 6月19日、東京銀座に、ユニクロの新たなグローバル旗艦店となる「ユニクロ トウキョウ」がオープンした。前日の18日に内覧会と記者会見があったという。その模様をWWD Japanが伝える。

 

コロナから元気になる、そのためにこの店がある。

店はお客さまのためにあるので、ぜひ、千客万来にしていきたい。それによって日本が元気になる。そういった力になれればと思う」と柳井会長兼社長が話したという。

われわれは情報製造小売業、デジタルコンシューマーリテールを目指している。お客さまに情報をお届けして、買い物してもらう。

本当に必要な商品を世界と一緒に共鳴して作り、今後はコマーシャルなマーケティングだけではなく、マーケティングを超えたソーシャルな存在になりたいと思っている

今はソーシャルな時代だ

20年代の世界のアパレル小売業を変える、あるいは、アパレル小売業じゃなくなる、そういうあり方にもっていきたいなと思う。 (出所:WWD Japan)

 

www.wwdjapan.com

 

 記者会見で答える柳井氏のことばはとても印象的だ。

 

WWD Japanによれば、「コロナでお客さまを呼べない時代が続く。行動変容が起こるが、お店の役割は変わっていくのか?」と問われた柳井氏は、 

「お客さまのためになる店は栄える」

「その店がある意義があって、そこで働く人が使命感を持っていて、いい商品を売っている。行ってよかったなという体験ができる。そういう店が生き残るのではないかと思う、逆にいえば、それ以外の店は今回のコロナでほとんどダメになるという気がしている。

コロナで時代が変わって、流れが速くなった

これまで10年かかったことが1年間で過ぎる次の世界になっている。コロナは20年代を象徴するような出来事で、20年代はコロナとその再起の時代になる。再起の時代を象徴するようなお店を作りたかった」と語ったという。

 

 さらに、柳井氏は「ZARA(ザラ)などの名前を挙げて、それら時代をつくってきた業態とは違うものを作りたいという発言があった。どのように無二の店になっていくのか?インディテックスにはまだ売上高で1兆円近い差がある」と問われると、

「売上高は問題ではない」

「社会にとって、本当にいい、プラスになる、もっとソーシャルな関係が構築できる小売業、あるいは、新しい業態が、10年や20年に一度出てくる

新しい産業を作り出すという気持ちでやっている」

と答えたそうだ。

 

 

  

「コロナによってライフスタイルはどう変わっていくか」と問われた柳井氏は、「一つの時代の転換期になるんじゃないかと思う」と指摘したうえで答えたという。

日本は先進国の中でも特に安心な国だったが、コロナによって安心な国ではないんじゃないかと思い始めた。それとステイホーム期間があったことで、生きることについてや家族、人生など、そういったエッセンシャルなものを考える時間になったと思う。そういうことをきっかけに人は変わっていくと思う。

コロナを克服するだけではなく、社会・経済の課題を解決していく

そのために自分の人生をどう設計していくか。

超えられない問題や課題を解決していくこととはどういうことなのか、本当に大事なものを世界中の人が考えたはず。 (出所:WWD Japan)

 

 こうした柳井氏だからこそ、100億円の京大への寄付とつながるのだろうか。

 

 先日、久々にユニクロに行って買い物をした。柳井氏が会見で話された内容がよくわかる。気持ちのいい店は好印象を受ける。商品ばかりでなく、そこに働くスタッフの姿勢から伝わってくるものもあるのだろう。

 

 すべては顧客のためにある

 ユニクロとアマゾン、そんなことをさらりとやり通す企業が、これからの時代で受け入れられていくのかもしれない。

 より顧客のためになる商品やサービスを、より安価に提供するため、自身のオペレーションの効率化を追求し、さらに気候変動対策やSDGsの課題をその中で解決し、社会に貢献していく。

 

 ステークスホルダー資本主義とはよくいったものである。

 そんな企業が増えればいいのだろうけれど、そういかないのも現実なのだろう。「セレンディピティ」みたいな気づきがあるといいのかもしれない。

 

 

 

「関連文書」

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www.wwdjapan.com

 

japan.cnet.com

 

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