Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

サーキュラーエコノミー、バイオファブリケーション、テクノロジーができること

 

 米ワシントンポスト紙が、「国立公園から深海まで、どこを科学者が見てもプラスチック汚染が発生しているFrom national parks to the deep sea, plastic pollution is showing up wherever scientists look)」との記事を投稿した。

 

北極に降るマイクロプラスチックスの雪

 昨年は、「北極でマイクロプラスチックスの雪が降っている」とのニュースが伝えられた。今回も同じような内容だが、もう少し気象現象との関連性が明らかになってきたということであろうか。

 

北極圏で小さなプラスチック片が雪に交じって降っていることが、最新の研究で明らかになった。1リットルの雪から1万個以上のプラスチック片が発見されており、科学者はその数に衝撃を受けたと話している。 (出所:BBC Japan) 

 

 北極での調査はドイツとスイスの研究所による共同研究によるもので、研究チームは、過去の調査で、赤道近くで風に巻き上げられた花粉が北極圏にまで運ばれていることを確認されていることから、マイクロプラスチックが大気中を移動しているとの仮説を主張していた。

 

www.bbc.com

    

 

 

米 ロッキーの国立公園に降るマイクロプラスチックスの雨

 今回のワシントンポストの記事は、6月12日に科学誌「サイエンス」の電子版に掲載されたユタ州立大学助教授のジャニスブラニー氏のレポート「アメリカ合衆国の保護地域に降るプラスチックの雨Plastic rain in protected areas of the United States)」をもとに書かれているようだ。

 

 このレポートでは、「米国でも都市から離れたところにある国立公園に、風雨で運ばれたマイクロプラスチックスが蓄積し、その量は2025年までに110億mtまで達する」と予測している。

 

 この予測は、 米国海洋大気庁(NOAA)が公開しているコンピューターモデルを使用して調査したようだ。

 都市で発生するマイクロプラスチックスが、「気団」のような大気プロセス、気象現象の影響を受け遠隔地まで運ばれていくそうだ。今回の調査では、コロラド州デンバーとフォートコリンズから50マイル未満のロッキーマウンテン国立公園に、「プラスチックの雨」の最も高い沈着率が示されたという。

 

人間の活動は、マイクロビーズを含む工業用塗料やコーティングのスプレーから、繊維をまき散らす衣服乾燥機まで、さまざまな方法でプラスチックを空中に放出する可能性がある」とワシントンポストは指摘する。

「明らかな解決策の1つは、プラスチック生産を削減することだ」と言う。

 

 

 

サーキュラーエコノミーの問題点 

 海洋の保護活動を続ける「パーリー・フォー・ザ・オーシャンズ(Parley for the Oceans)」の創設者であるCyrill Gutsch氏は、現在の「サーキュラーエコノミー」の問題点に言及し、「グリーンケミストリー」、「バイオファブリケーション(biofabrication)」の可能性を指摘する。

 

「未来は無害な材料にあると私は信じている」

プラスチックスは、10年以内に、バイオファブリケーションによる素材に置き換えられていく」。 

 

 パーリーが、アディダスと手を組み、海洋に廃棄されたプラゴミから作られた「Parley UltraBOOST」というランニングシューズを作ったのは2017年のことだった。

 今では、ユニクロを始め多くの企業が廃棄されたペットボトルなどを再利用した「サーキュラーエコノミー」に加わるようになってきた。

 

 他者より先んじて動いてきたパーリーには、もう次の課題が見えてきたということなのかもしれない。

 

海洋プラスチックスは地球規模での問題の「象徴」

「海洋プラをなくすためのパーリーの活動目的は、生物多様性を守るための方法を示すことではなく、海洋の窮状にみなの注意を向けるための取り組みだ」と、パーリー創設者のGutsch氏は、臆面もなく語ったという。

 

"It's a flag, it's a symbol" of the plight of the planet.

 「惑星の窮状の、旗であり、それは象徴である」

"I don't believe that we're going to clean up the oceans."

Instead, he said

new materials are needed to replace plastic. 

印象的な言葉だ。

  

www.dezeen.com

 

 バイオファブリケーションとは

 Gutsch氏が語るバイオファブリケーション、ここ最近、世界で注目が集まっているという。

バイオテクノロジーの進化に伴い、その適用可能領域も、量と質の両面で大きく拡大する方向にある。

近年のゲノム解析・編集技術の劇的な進歩を原動力として、今後は農業・食料、さらには工業の各分野も急激に伸びると予想されている。

代替肉や培養肉、バイオプラスチック、スパイダーシルクのように、これまでにない性質を持った新たな素材や商品・サービスの開発に拍車が掛かるだろう。 (出所:三菱総合研究所

 

www.mri.co.jp

 

 

 

 

テクノロジーでできること、やるべきこと

 東京都の副知事に就任した宮坂氏は、INTERNET Watchのインタビューで、東京都のCO2排出を実質ゼロを目指す「ゼロエミッションTOKYO」を宣言したことに感銘を受け、「環境問題と経済やデジタルの課題をセットで取り組もうとしている方はなかなかいないので、それならば私もお手伝いできるのではないか」と語っていた。

東京は世界一大きな都市圏であり、そこでテクノロジーを使って環境と経済を両方できるような街が作れれば、やりがいのある挑戦だと思って、この仕事に取り組むことにしました。 (出所:INTERNET Watch

 

 INTERNET Watchは、「気候変動や都市人口の増加など、東京都にはさまざまな課題があり、これからは都市をどのように変えていくかが重要になる。こうした中で、データの利活用を進めることで、より便利に、もっと生活に選択肢を増やして、経済的にもしっかり稼ぐことが大切である」と宮坂氏は語ったとも伝える。

 

 テクノロジーができることを的確に伝えているのかもしれない。

 プラスチックス問題などの環境問題そのものは、情報化技術だけで解決することはできない。

 テクノロジーを稼ぐ手段だけに使うのではなく、地球環境に貢献してはじめて稼げるという方向に進化させていかなければならないのだろう。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

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「参考文書」

internet.watch.impress.co.jp