グリーンウォッシング(greenwashing)という言葉がある。
Wikipediaによれば、環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞的な環境訴求を表すという。 企業の環境対応を批判する際に使用することが多く、上辺だけで環境に取り組んでいる企業などをグリーンウォッシュ企業などと呼ぶ場合もあるという。NGOがよく使う言葉だそうだ。
ヘッジファンドの空売りが「ESGウォッシング」を暴く
近ごろでは、ESGウォッシングという言葉もあるようだ。
ESG投資の広がりとともに、企業は競うように脱炭素の目標を掲げ、労働条件の改善を誓う。こうしたESGブームの陰で、企業が本当に問題解決に取り組んでいるのかという疑問も指摘されるようになってきたと日本経済新聞はいう。
そこで注目されるのが、企業の経営を細かく調べ、空売りという手段で不審点を鋭く突くヘッジファンドの力だ。
英国ではカジュアル衣料のブーフーの株価が、適正と考えられる賃金の半分しか工場労働者に支払っていないととの報道をきっかけに、急落した。
問われたのは「現代奴隷」の現実であり、ブーフー株の急落はESGに関する問題も市場に影響を与えうることを示した。
ヘッジファンドが経営破綻した独決済大手ワイヤーカードの不正会計をいち早く見抜き、空売りという形で市場に警告を発していた事実があると日本経済新聞は指摘する。
名だたる空売り投資家たちが今もっと注目しているテーマが、ESGウオッシングなのだという。
「ヘッジファンドは不正発見の能力を環境や社会問題にも広げることにより、世界中の市場をより透明で安全なものにすることができる」と宣言しているという。
米石油メジャーの苦境鮮明
米国の石油メジャー シェブロンが、7月末、4 - 6月決算を発表した。少なくとも過去30年間で最大の四半期赤字となり、パンデミックが利益を圧迫し続ける可能性があると警告したとブルームバーグが伝える。
エクソンモービルも11億ドル(約1160億円)の大幅赤字を計上したという。
原油価格の記録的な急落で生産部門が沈み、新型コロナのロックダウンでジェット燃料からプラスチックラップまで、同社の製油・化学部門の全製品で需要が冷え込んだ。 (出所:ブルームバーグ)
新型コロナウイルスのパンデミックで、ほぼ全ての事業が大打撃を被ったという。
GIZMODOは、この両社が、脱炭素化の目標を掲げながら活動家を侮辱することに何十年も費やしてきたと指摘する。
石油化学はガス会社や石油会社が積極的に進出してきた分野であり、プラスチック業界は自分たちに有利になるようにコロナを積極的に利用しようとしています。
たとえば、州や都市にレジ袋の使用禁止を撤回させるか、若しくは少なくとも禁止を遅らせようとして、プラ製レジ袋の方が衛生的であるというデタラメな考えを広めようとしたりしています。 (出所:GIZMODO)
ヘッジファンドへの期待も
ヘッジファンドがもう少し早く「ESGウォッシング」に動き出してくれていたら、こんなにひどい気候変動やプラスチックス問題が起きていなかったのではなんてと考えてしまう。
国内企業はどうであろうか。石炭政策に加担する企業があったり、プラ問題に後ろ向きな企業もありそうだ。ヘッジファンドから、「ESGウォッシング」とのレッテルをもらう前に行動変容が必要なようだ。