いいのか悪いのか、コロナ渦が変化を促しているように見える。
進まなかった働き方改革が、一気に動き出したということなのだろうか、もうテレワークや生産性向上が当たり前のように語られるようになってきた。営業時間を短縮することがあたりまえになり、24時間営業を止める店舗も増えているようだ。昨年のセブンイレブンの24時間営業騒動は何であったのだろうかと思える。
印刷代行サービスのキンコーズの直営店が、今日9月1日から24時間営業を取りやめるという。
キンコーズによれば、1992年から24時間営業を始め、時間制約のないサービスが強みであったが、新型コロナウイルスによる新しい生活様式での社会の価値観や、働き方改革を推進する観点から、24時間の有人営業の廃止を決めたという。
日本経済新聞は、「新型コロナの影響で同社では3月から全店で営業時間を短縮。現在、24時間営業を実施している店舗はなく、影響は軽微となる」という。
今ここにある現実からすると、何のための24時間営業だったのだろうか、無駄に、過剰なまでに便利さを追求していただけだったと言えそうな気もしてくる。
キンコーズはサービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めており、3月にはテレビ会議で書類の仕上がりを確認できる「オンライン商談」を始めた。印刷物は指定の場所に配達できる。事前に予約していれば24時間商談できる。今後もサービスのDXを推進していく。 (出所:日本経済新聞)
テレワークやリモートワークを多くのが企業が取り入れている。そんな中、人材派遣のパソナが、本社の主要機能を兵庫県淡路島に移転するという。
産経新聞によれば、異動の対象となるのは、取引先とオンラインでやり取りができる営業部門や、人事部門の社員など1200名程度のようだ。
ひょうご経済+によると、働き方改革を推進するほか、本社機能を分散させて災害時の事業継続を図るという。24年5月末までに移転を終える予定だそうだ。
「上場企業の先陣を切って本社機能を地方に移転する。淡路島では賃料などが首都圏に比べて5分の1程度と安く、節減できた経費は社員に還元できる」(南部靖之代表) (出所:産経新聞)
産経新聞は、コロナ禍で在宅勤務が普及したことから、IT系の企業ではリゾート地にサテライトオフィスを設け、満員電車で都会に通勤する必要がない勤務形態も見られるようになったが、パソナのような大手企業が淡路島に本社を移すケースは珍しいと指摘する。
「禍を転じて福と為す」ということなのだろうか。
政府が進めたくても進まなかった働き方改革が進み始める。それは、政府が思い描いた働き方改革とは少し違ったものかもしれないが。成長戦略のための働き方改革と、現実に必要に迫られ行う働き方改革との差なのかもしれない。
あまり箍を嵌めるようなことはよくないということであろうか。
そもそも「働き方改革」は、働き手と企業双方にとってメリットがなければ進むことはないのだから。
また、「働き方改革」を通して、公衆衛生の向上に役立ち、生産性が向上するのであれば、遠回りになるが感染予防と経済の両立にも役立っていくのではなかろうか。
「参考文書」