台風10号が通り過ぎていった。
気象庁は鹿児島に特別警報を出す可能性があるとしていたが、予想よりいくぶん勢力が弱まったことで、発令には至らなかった。
台風9号が東シナ海を攪拌、海水温が低下していた影響もあったようだ。
そうはいっても、九州各地で観測史上最大を更新する強風が吹き荒れ、長崎市野母崎では最大瞬間風速59・4メートルを記録したという。また、記録に残る大雨が各地で降ったようだ。47万戸以上で停電、多くの住民が影響が受けたという。
気象庁が再三注意喚起したことはよかったのではなかろうか。
カリフォルニアの危機的な猛暑
海の向こう米カリフォルニア州では、まだ熱波が続いているようだ。山火事も拡大、多くの住民が避難を余儀なくされているという。
共同通信によると、6日、ロサンゼルスで、観測史上最高となる気温49.4度を記録したという。電力需給が逼迫し、ガーセッティ市長は過剰な使用を控えるよう住民に呼び掛けたそうだ。
「危機的な猛暑」とロイターはいう。
米ロサンゼルス49度、史上最高 電力使用の抑制呼び掛け | 共同通信
米カリフォルニア州で山火事が多発、記録的熱波に警戒 | ロイター
なぜ計画停電を実施するのか
気温49.4℃にもなれば、命にかかわる危険な熱波ということだろう。
エアコンの使用により電力需要が急激に増加することは避けえないが、予備電力の不足が原因の一つになって、カリフォルニア州では計画停電が実施されるまでになったようだ。この「危機的な猛暑」は、電力網の信頼性を検証する重要なテストケースでもあるようだ。
重大な問題は、夏はますます暑くなり、再生可能エネルギーが送電網の大部分を占めるようになったとき、カリフォルニア州や他の地域はどのように安定した電力供給ができるのだろうか、ということだ。 (出所:MIT Technology Review)
カリフォルニア州は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの割合が高いといわれる。
こうした現実をふまえて、MIT Technology Reviewは、「とりわけ必要になるのは、より多くのエネルギー貯蔵(蓄電)、より信頼性の高いカーボンフリー(二酸化炭素を排出しない)電源、老朽化した送電網の大幅な更新だろう」と指摘する。
温暖化が原因でこうした熱波がたびたび発生するのであれば、温暖化の原因といわれる二酸化炭素を大量に排出する発電所に頼るようでは本末転倒、自分で自分の首を絞めることになる。
パリ協定とカリフォルニア州
地球温暖化対策が国連で話し合われ、パリ協定が結ばれ、「1.5℃目標」が国際的なコンセンサスになった。
この協定が結ばれたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)で、議長国のフランス外相は、
「この野心的でバランスのとれた計画は地球温暖化を低減させるという目標で“歴史的な転換点”である」
と述べたという(参考:Wikipedia)。
地球温暖化の懐疑論者であるトランプ大統領主導で、2019年、米国は国としてパリ協定から離脱した。しかし、米国内の一部州がアメリカ気候同盟を結成、トランプ政権から独立してパリ協定の目標に取り組むこととなった。その中に、カリフォルニア州が含まれている。
Wikipediaによれば、この同盟には、カリフォルニア州の他、ワシントン州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ハワイ州などが加盟しているという。
カリフォルニア州で起きていることを「他山の石」としなければならないのだろう。
間違っても、MIT Technology Reviewの記事が指摘する通り、再エネ批判になってはならないはずだし、現実的に、自分ごととして考えていかなければならない問題なのだろう。
海の温暖化 漁獲に変化も
秋サケの季節になったが、北海道の海に仕掛けられた定置網には、サケが少なく、ブリやクロマグロなどが取れ、マンボウまで上がるという。
「ここ数年は暖流系の魚が多くなってきている」と話す漁師の声を北海道ニュースUHBは伝える。
"秋サケ漁"に異変 まるで南国 網に次々マンボウやマグロが (北海道ニュースUHB)
北海道の海の温度も、平年に比べ4℃から5℃も高い海域があるという。
「海水温1℃高いと魚にとっては10℃に匹敵するので、(水温は)30~50℃高くなる。お魚にとってはお湯の中のような環境かもしれない」
と気象予報士の菅井 貴子氏のコメントを北海道ニュースUHBが伝える。
人ばかりでなく、魚にも温暖化の脅威が襲い掛かっているのかもしれない。
「何とかしてほしいのはみんなの願いだ」と北海道の漁師は嘆いているという。