Up Cycle Circular’s diary

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脱炭素社会へ 「グリーンイノベーション」やエネルギー基本計画の見直し協議始まる 

 

 エネルギー基本計画の見直しが始まったという。昨日13日、経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が開催され、協議が始まった。

 ロイターによれば、梶山弘志経済産業相は、「菅政権では、脱炭素社会の実現、エネルギーの安定供給に取り組むことが方針として示されている」とし、「次期エネルギー基本計画の見直しにおいても、こうした点を踏まえて議論を進めて欲しい」と述べたそうだ。

 

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(資料出所:資源エネルギー庁エネルギー基本計画の見直しに向けて」)

 

 世界的に脱炭素の流れが強まる中、日本でも再生可能エネルギーの拡大や原子力発電所の再稼働を、次期エネルギー基本計画にどのように位置付けるかが焦点となるとロイターは指摘する。

 

 

  

出席した委員からは、欧州がグリーン投資でコロナからの回復を目指すように、脱炭素化の動きは国家間の産業政策の問題になっているとの指摘が相次ぎ、日本でも、国が戦略として脱炭素を位置付ける必要があるとの指摘も出た。また、脱炭素を達成するには、原発再稼働の議論は避けて通れないことも指摘された。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

 「脱炭素社会の実現」に向け議論が活発化

 梶山経産相は「脱炭素社会の実現」が菅政権の方針であるという。調べてみて、梶山経産相がそう強調する真意が理解できる。

 経済産業省環境省で、脱炭素に関係する委員会などがさかんに開催されているようになっている。分科会が開催された13日には、脱炭素に関連しそうな会議が多数開催されていた。

「グリーンイノベーション戦略推進会議」、「林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会」、その他にも石炭火力のフェードアウト政策に関連する委員会も開催され、9日には、「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」も開催されていた。

 

 

 

「ビヨンド・ゼロ」 経産省がいう「グリーンイノベーション」とは

 今年1月、「革新的環境イノベーション戦略」が策定され、この戦略を着実に実行する司令塔としてグリーンイノベーション戦略推進会議が設置されたという。

 そのグリーンイノベーション戦略推進会議の1回めの会議が7月に開催され、「ビヨンド・ゼロに向けた取組の具体化」、「カーボンリサイクル/CCUS」などが議論されたようだ。

 「ビヨンド・ゼロ」、ゼロエミッションを超え、CO2を削減していくことだという。

 この会議の冒頭、「ビヨンド・ゼロに向けたイノベーションをより一層力強く進めていく」と松本経産副大臣が述べたという。

 この他にも、脱炭素社会の実現に向けたイノベーション創出を目指す企業の取組を応援する新しいプロジェクト「ゼロエミ・チャレンジ」開始の発表もあったという。

 

 脱炭素化に向け動きを加速している経済産業省ということであろうか。

 

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森林の持続可能性 林業・木質バイオマス発電の成長産業化

 少し地味に感じるかもしれないが、「林業」、「木質バイオマス発電」についても経済産業省の中で議論されている。

 林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会では、3回の議論を重ね、「木質バイオマスの供給元としての森林の持続可能性確保と木質バイオマス発電の発電事業としての自立化の両立に向けて」という報告書案をまとめた。

 木質バイオマス発電は、「エネルギー自給率の向上」、「災害時等におけるレジリエンスの向上」、「森林整備・林業活性化」等の役割を担い、地域の経済・雇用への波及効果が大きい等の多様な価値を有する電源だという。

 この報告書では、木質バイオマス発電コストの7割を占める燃料コストの低減と、木質バイオマス燃料が重要な収益機会になりつつある林業者の経営の安定化を両立し、森林資源を持続的に活用するため、また、木質バイオマス利用急増に伴う伐採跡地の放置、それによる森林荒廃の懸念の声に対して、森林資源の持続的な利用に繋げるため、どのような取り組みが必要かなどを論点に上げ、政策に反映すべき対応の方向性を示しているという。

 

 

 

 この報告書を具現化したようなバイオマス発電所が鹿児島県枕崎にある。エネルギーの地産地消の好例ともいっていいのかもしれない。

 燃料は、鹿児島県産を中心に針葉樹の未利用材、中でも樹皮(バーク)を多く使うという。 発電所は、枕崎バイオマスエナジーが行い、燃料は枕崎バイオマスリソースが扱う。燃料使用量は年間でバークが約2万トン、木質チップで約1万トンだという。

 南日本新聞によると、リソース社は、敷地内で燃料の加工を担うほか、広葉樹をかつお節製造用のまきにして、枕崎水産加工業協同組合に供給するという。

 

373news.com

 

 こうしたビジネスが生まれることで、森林資源が持続的に活用され、林業の経営の安定化につながり、山林の保護になり、災害にも強い自然環境を取り戻せればいいのかもしれない。

 

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 日本の森林率は66%で、世界有数の森林大国だという。日本の国土の約2/3が森林に覆われ、その5割が天然林で、4割が人工林だという。手入れされた山林は自然のダムを言われる。

 再生可能エネルギーと言われるバイオマス発電の拡大で、日本の森林保護につなげて行って欲しい。

 

 

dsupplying.hatenablog.com