Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

大量生産は「悪」なのか ロート製薬とファッション業界から考える

 

売らんがためのビジネスによって大量に作り、返品も多く生み出す.... じきにこの現象は....

と話したのは、ロート製薬 角田康之マーケティング&コミュニケーション部長だ。WWD Japanとのインタビューで、廃棄ロス対策を質問され、答えたときにそう話す。

「大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルの時代ではなくなっている」

 矛盾に気づき、疑問を感じ、そこからロート独自の行動が始まったようだ。 

メーカーの役割が変わったことが大きい。

作る側の責任はより良い製品を作って、買って頂いたらそれで終わりではなくなっている。 (出所:WWD Japan)

 

 

 

環境や人間以外の生命にも配慮した容器・成分などにフォーカスした、よりサステナブルな製品設計が必要だ」とロート角田部長はいう。

 角田氏が考えるサスティナブル商品とは、「お客さまが製品を手に取ったときから、使用期間中のことはもちろん、使い終えたあとの製品がどのような形で環境に戻るか」、製品のライフサイクル全てを対象にしているようだ。そして、作る側の責任として、廃棄を減らし、サーキュラーエコノミー型ビジネスを目指さなければならないと考えているようだ。

 

 大量生産は悪なのか

角田氏はその胸中を明かす。花粉症対策のトップブランド「アルガード」は花粉の飛散期は大きな売り上げを作るが、花粉シーズンが過ぎると、相当量が小売店から返品される。日焼け止めブランド「スキンアクア」も、同様に、ピーク時に合わせ十分な商品供給を行なったことでシーズン終了とともに返品が増える傾向にあったという。

売店側も同様で、多くは季節の変わり目に合わせて店内の品ぞろえを大きく変更し、シーズン商品は棚替えのタイミングで返品が増える。これらシーズン商品は短期間で集中的に販売するため、大量に陳列してお客様にアピールする必要があり、緻密に計画しても売れ残りはどうしても発生してしまう (出所:WWD Japan) 

 

 季節商材は天候の影響を大きく受ける。どうしても生産時点で正確に予測を立てることが難しい。返品抑制のため、長年、試行錯誤を繰り返しても、メーカー1社だけでは成果につながらないと角田氏はいう。

 

www.wwdjapan.com

 

 その苦悩が、アスクルのロハコとのコラボにつながる。従来は廃棄処分対象となっていた製品の中で品質に問題ないものをアウトレット売り場で再販売することにしたという。

基本的に未開封かつ品質的に長期間保存しても変質しにくいアイテム。一般製品と同様に、製薬会社としての品質管理基準にかなった製品だけを販売することにしている。基準は社内で議論を重ね、100%廃棄することにしていた店頭戻り品と、廃棄率がきわめて高かった旧商品の不動在庫の中から選んでいる。ロット、使用期限の管理の徹底などを盛り込んだ「選定基準」をそれぞれの商品ごとに細かく定めている。 (出所:WWD Japan) 

 

 

 

 サスティナブルとは

 新たな挑戦が、社内の新たなルールとなり、それによってムダが次々と省かれてサスティナブルに近づいていくのかもしれない。

「サスティナブル、持続可能性」

 理想や理念だけでは問題は解決しない。疑問を感じ、その解決に一歩踏み出すことで、サスティナブルな連鎖が始まるのかもしれない。

 

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アパレル業界の常識「過剰生産」と「余剰在庫」というムダ

 伊藤忠商事が、日本気象協会とコラボして、2021年春夏シーズンより、アパレル向け需要予測サービスのテスト運用を始めると発表した。

 ファッション業界には、構造的な問題として「余剰在庫の大量廃棄問題」が存在する。伊藤忠商事は、その要因の一つとし、業界の常識、商習慣である「前年度の販売数量を前提とした生産計画」をあげる。売ろうとする属人的な予測が過剰生産を生むのだろうか。

「客観的なデータに基づいた、精度の高い生産計画」に転換していくことが、課題解決の一助になると、アパレル部門を持つ伊藤忠商事はいう。

複数のアパレル関連企業の過去の販売データと日本気象協会の有する気象データとの融合により、商品カテゴリー毎の中長期的な需要を予測し、生産・販売計画の適正化を図ります。 (出所:伊藤忠商事

 

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(資料:伊藤忠商事

 

 流通ニュースによると、気象の影響を受けやすい28のカテゴリー別に需要予測を行い、生産計画の精度向上、生産調整、マークダウン(売価変更)の最適化に活用するという。商品はカテゴリごと、時間はシーズン・月・週単位、エリア単位で分析する予定だという。

2021年春夏シーズンより、需要予測サービスのテスト運用をナノ・ユニバースユナイテッドアローズなど数社とともに開始。2022年春夏シーズンより本格運用をスタートし、3年後アパレル関連約30社の参加を目指す。 (出所:流通ニュース)

 

www.ryutsuu.biz

 

 日本気象協会の中野俊夫・商品需要予測プロジェクトプロジェクトリーダーは、「アパレル向けの市場データと気象データの組み合わせで、アパレル各企業、ひいてはファッション業界全体におけるバリューチェーンの最適化を実現することが可能」と指摘し、「各社におけるコスト削減、経営の効率化などの業務変革、社会課題でもある余剰在庫の廃棄という環境負荷の削減にも貢献できる」と述べたと流通ニュースは紹介する。

 業界の習慣も、他者の目には「非常識」に映るということであろうか。常識を疑えば、ことの本質が見えるのかもしれない。

 このサービスを、アパレル業界のDX、生産性向上をサポートするものと流通ニュースはいう。ファッション業界も一歩、サスティナブルに近づくのだろうか。

 

 

 「参考文書」

www.itochu.co.jp