Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

電動車加速 脱炭素で変わるモビリティの未来

 

 米ウーバーが、自動運転の開発部門を米アマゾンが出資する自動運転スタートアップの会社に売却する交渉を進めているといい、そればかりでなく、「空飛ぶタクシー」の開発部門も売却する交渉を進めていることが明らかになったと日本経済新聞が報じる。

 

www.nikkei.com

 

遠のくテクノロジーの世界

 韓国現代自動車と組んで、3年後の2023年には「空飛ぶタクシー」が実用化するとの話を聞いていただけに少しばかり驚く。日本経済新聞によれば、大都市の交通渋滞を回避できる移動サービスとして期待されていたが、新型コロナウイルスの影響で人々の移動が減り、採算を確保するのは難しいと判断したもようだという。

祖業のライドシェア事業の不振が続くウーバーは、「巣ごもり消費」で市場が拡大する料理宅配などの小口物流サービスに活路を求めている。

一方で非中核事業については投資を削減しており、20年5月には全従業員の約4分の1にあたる6700人規模の人員削減を発表していた。 (出所:日本経済新聞

 

  自動運転技術、空飛ぶタクシーの技術が、ウーバーの非中核事業になる、コロナが来るまでは、そんなことを想像にもしなかったことだ。

 

 

 

 テクノロジーで効率性と利便性を追求することでサスティナビリティの世界に近づいていくのではと夢想していたりした。シェアリングサービスを上手く活用すれば、資源の節約になるのではと思ったものだった。そう思ったのも、日本も米国も、気候変動対策に後ろ向きだったことが背景にあったのかもしれない。それはコロナがこんな状況になる1年前のこと。

 しかし、そうしたテクノロジーの世界にも採算という壁があるということに滑稽さも感じたりする。

 

電動車加速 

 今こうしてコロナが拡大してしまうと、シェアサービスもなかなか厳しいのだろうと感じるようになる。ウーバーが9月に、2040年までのゼロエミッションの達成を宣言し、ライドシェアの自動車をEV化するとしたことのほうが、遥かにリーズナブルにサスティナビリティの世界に近づいていくのかもしれない。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 経済産業省も、「2030年代半ばには新車の100%を電動車にする」という目標を設定する方向で調整に入ったという。NHKによれば、これまでの目標は、2030年までにHVハイブリッド車やEV電気自動車などの次世代車の新車販売に占める割合を50%~70%に、ガソリン車を30%~50%にするというものだったが、新たな目標でハードルを大きく引き上げる形になるという。

 

 

 

  トヨタが昨年、2030年に550万台以上としていた年間の電動車世界販売台数の目標を2025年に5年間程度前倒すと発表した。その内訳は、EVハイブリッド車、PHVプラグインハイブリッド車で450万台以上、EV電気自動車、FCV燃料電池車で100万台以上としていた。それでも、まだガソリン車が半分程度残る計画だった。

 

global.toyota

 

 そう思えば、経済産業省も大胆な目標を設定しようとしているのかもしれない。しかし、国内自動車メーカならできるとの読みもあるのだろうか。

 

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(写真:トヨタ

 

排出権取引

 そればかりでなく、経済産業省は、温室効果ガスの排出枠を自動車メーカー間で売買する「排出権取引」制度を2020年代後半に導入する方向で検討しているという。

 時事通信によれば、メーカーごとに排出量の上限を設定し、未達の場合は他社から枠を購入することで目標を達成したと見なす仕組みを想定しているという。その背景には環境性能に優れたEV電気自動車など「電動車」の開発を促す目的があるという。

 

www.jiji.com

 

環境立国、技術立国は復活するか

 日本経済新聞によれば、トヨタの昨年19年の国内販売約161万台のうち約4割が電動車だったという。この先15年で100%電動車を目指すことになる。そのカギはバッテリーと言われ、コストと調達が課題ということであろうか。

 思い起こせば、昨年、吉野彰氏がリチウムイオン電池ノーベル化学賞を受賞した。世界初のリチウムイオン電池ソニーで実用化され1991年に商品化された。しかし、今ではソニーはバッテリーから撤退し、リチウムイオン電池は中国、韓国メーカが主たるサプライヤーになってしまった。

 米テスラはバッテリーの内製化に向かい、300万円を切る低廉なEV電気自動車の販売を構想する。かつての強かった当時の日本の製造業の姿を見るような気がする。

 ソフトをはじめとするテクノロジーに傾注し、ハード系の要素開発と生産を軽んじてきたつけが回ってきたということなのだろうか。

 こうした自動車への規制が、環境立国、技術立国復活の狼煙になればいいのかもしれない。

 

 

「参考文書」

www.nikkei.com

www3.nhk.or.jp