Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【EVシフト】保護主義的政策と温暖化対策

 中国のEV 電気自動車メーカのBYDが日本を始め世界各地に進出、その存在感が高まっているようです。

 一方、日本の自動車メーカーはEVで出遅れているといわれています。米調査会社S&Pグローバルモビリティの調査によれば、今後、日系メーカの世界シェアは低下し、足元の28%から2030年には23%まで低下すると見通しだといいます。

「EV化の波は自動車産業の全般に変革を迫るだろう」と日本経済新聞は指摘、テスラの成功事例を解説し、「テスラが自動車産業に新たな競争軸を作ったのは間違いない」、日本車はテスラの成長を真摯に受け止め、巻き返すべきと主張します。

[社説]日本車はテスラの革新に学び巻き返せ - 日本経済新聞

テスラは自動車業界の常識を覆す成長を遂げた。長らく規模の経済がルールだった同産業で、イノベーションを生み出す力で存在感を高めた。EVに経営資源を集中して、規模が小さくても市場をけん引できることを証明した。(出所:日本経済新聞

 

 

進む保護主義的政策

 米国、中国、そして、欧州、これら地域で世界の自動車市場の約6割を占めているそうです。また、これら3大市場はEVを推進しています。

「メインシナリオはEV主体で電動化は進んでいくと考えるのが正しい」と、前出S&Pグローバルモビリティのダイレクターが語っているといいます。

日本勢のシェアは低下へ、自動車3大市場のEVシフトで-米調査会社 - Bloomberg

 しかし、これら3大市場では保護主義的な政策をとられており「参入障壁が上がっている」といいます。

 こうした環境下にあって、何もテスラが開拓した同じ市場で真っ向勝負を挑む必要もないのでしょう。

燃料の採掘・輸送から車両走行までを含めた「Well to wheel(油田から車輪まで)」の考え方の下では、電源構成などによってはEVが二酸化炭素(CO2)削減において最適な手段ではない可能性はあると指摘。ただ、電動化の流れは技術の優劣では決まらず、「あくまで政策で決まる」との見方を示した。(出所:ブルームバーグ

 そうであるのなら、日本を含め、3大市場以外の地域の特性に合わせた選択肢を用意することの方が正しく、もしかしたら次の成長を取り込むことができるようになるのかもしれません。

 

 

次の市場

 中国 BYDは、次の市場と目されるインドでEVとバッテリーを生産する計画を規制当局に提出したそうです。

中国BYD、インドで10億ドル投資計画 EV製造へ=関係筋 | ロイター

 インド政府は2030年までに商用車の70%、自家用車の30%、バスの40%、二輪車と三輪車の80%のEV化を目指しているといいます。しかし、まだEV需要は弱く、普及途上にあるそうです。

 一例に過ぎないのでしょうが、こうしたことも考慮すれば、「EVシフト」一辺倒では、ほんとうの意味で温暖化対策には貢献しないような気がします。

EVスタートアップ

「テスラは、日本が得意としてきた製造業でもスタートアップが成功できることも示した。日本の起業家の奮起にも期待したい」と、日本経済新聞はいいます。

 すでに米国、中国で新興EVメーカの淘汰が始まっています。そんな厳しい環境に挑戦することが得策なのでしょうか。もし挑戦するのなら、もっとストーリー性に富んだコト作りがあってもよさそうです。そうあれば、シェア争いする市場で戦うのではなく、EVの新たな市場が生まれるのかもしれません。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

dsupplying.hatenablog.com

「参考文書」

[社説]日本車は謙虚な学びでEV化に対応を - 日本経済新聞

インドにおけるEV普及に向けた取り組み―部品や電池材料の供給が課題~当面は海外からの輸入―(三井物産戦略研究所)