英国での新型コロナのワクチン接種が始まった。希望の光になるのだろうか。クリスマスを前に拡大する感染に世界各国が躍起になり、コロナ対策を強化する。
そんな中、英医療調査会社が新型コロナウイルスのワクチンが普及し、社会が日常に戻る時期を予測した調査結果を発表したと時事通信が伝える。
少しばかり残念なことだが、日本が日常に戻れる予測は2022年4月、先進国では最も遅いという。ワクチン接種の出遅れが響くという。
驚きは米国、世界最悪の感染状況にも関わらず、最も早く来年21年4月の予測結果になっている。
コロナ収束 日常に戻る日はいつか
JIJI.COMによれば、調査は、各国のワクチンの確保状況を踏まえ、国民の多くが接種を受け、感染を収束させる「集団免疫」の獲得により、日常に復帰する時期を分析したという。
医療従事者や高齢者などの感染リスクの高い人々にワクチンが普及する時期も、日本は21年10月で、先進国では最後と予測される。
日常に戻るのが最も早いのは米国で、21年4月。カナダは同年6月、英国は7月、EUは9月、オーストラリアも12月と、主要先進国はいずれも21年内の正常化が予想された。
南米も22年3月で、日本より早い。一方、人口が多い中国は22年10月、インドは23年2月と、遅れるもようだ。 (出所:JIJI.COM)
接種が始まった米ファイザー製のワクチンが、原料不足などで供給時期がずれ込む可能性があるとJIJI.COMは報じる。気になる内容だ。
コロナ対策 感情をあらわに懇願する独メルケル首相
ドイツのメルケル首相が感情をあらわにして演説、590人が亡くなる感染状況に危機感を示し、より厳しい措置が必要だと訴えたとNHKが伝える。
NHKによると、ドイツでは先月から、全国の飲食店などを原則、営業禁止とする措置をとっているが、1日あたりの新たな感染者数が2万人前後で推移、9日には死者数が590人と、1日あたりではこれまでで最も多くなったという。
人々が屋外で一緒にホットワインを飲むというクリスマスの時期ならではの習慣に理解を示しつつも
「心から申し訳ないが、その代償として、1日に590人の方が亡くなるようなことは受け入れられない」
と強い口調で述べて危機感を示しました。 (出所:NHK)
冷静な対応で知られるメルケル首相とのことだが、拳を握りしめたり、懇願するように両手をあわせたりしながら、感情をあらわにしていたとNHKは伝える。
「必死の呼びかけだ」、「おそらくこれまでで最も感情的な演説だ」とする地元メディアの報道内容も紹介する。
ドイツでは、これまで営業を続けてきた小売店についても、科学者の提言に基づいて、営業禁止にするなどのより厳しい措置が必要になるという。
死ななくて済みはずの命が奪われていく、それが一部の軽率な行動の代償に見えてしまえば、怒りに近い感情になるのだろうか。数字の多寡ではなく、命の尊厳を大切に想う意識がそうさせるのだろうか。
ワクチンという希望、しかし、調査会社の予測を正しいすれば、日常を取り戻せるのはまだ1年も先になる。
2020という年
米ワシントンポストは、2020年は壊滅的なパンデミックだけでなく、壊滅的な山火事、灼熱の干ばつ、大西洋での驚くべき数のハリケーンによって特徴づけられるという。記録上最も暖かい年の1つになるペースで進んでいると指摘する。
また、国連の年次報告書「Emissions Gap」を紹介、その内容を解説する。それによると、今年のパンデミックによる温室効果ガス排出量の減少は、注目に値するものの、人類がその政策と行動を大幅に変更しない限り、今後の温暖化の減速にほとんど影響を与えないという。
国連の研究者たちは、各国が約束している削減目標をもとにすると、世界は今世紀末までに3℃の気温上昇を経験することになるとする。これは地球に壊滅的な影響を与えることだと多くの専門家が言う。
国連環境計画の事務局長は、新型コロナに喩え、コロナにはワクチンの希望があるが、しかし、地球のためのワクチンはないと述べたという。
新常態へ ライフスタイルと変化
このパンデミック中の傾向をより持続可能な方向に変化させていくには、世界中のリーダーが根本的で前例のない変化をとる必要があると国連の年次報告書は指摘する。そればかりでなく、個人の行動にも果たすべき役割があるという。
しかし、より豊かなライフスタイルによる影響を数字的に議論するのは難しく、それを急速に変えるアプローチはおそらく論争の的になるという。
「人々や国を恥ずかしめ、変化を要求することは、決してうまくいかない」
「必要なのは、意味のある全体的な大きな変化を生み出すために、相互に関係する政治的、技術的、文化的成功を生み出すことだ」とワシントンポストは指摘する。
「問題は、今年学んだこれらの新しい行動を、より持続可能な方法でどのように維持するかということです」。
機会と憂慮
国連の年次報告書は、将来について完全に暗い見方を示しているだけではないという。世界中の政府が再生可能エネルギーやその他のグリーンインフラストラクチャに多額の投資を行う機会をとらえた場合、世界は予測された2030年の排出量から25%も削減できると指摘しているという。
グテーレス国連事務総長は、パンデミックから抜け出すために、より公平で思慮深い世界を求めると述べたそうだ。
「私たちは、地球に対する不平等、不公正、そして不注意な支配という古い通常の状態に戻ることはできません」。
コロナの経済的影響は、開発途上国、ワーキングプア、女性、人種的マイノリティに最も打撃を与えていることが研究によって示されているという。
米国では、億万長者が今年富を増やし、何百万人ものアメリカ人が家賃を滞納し、次の食事をフードバンクに依存して無職の休暇を続けている。
「私たちはコロナからの回復がK字型になることを心配する」。
「金持ちは金持ちになり、貧しい人は貧しくなり、不平等は拡大し続けている」。
「このような不平等は、気候変動対策の進展を実際に妨げる可能性があることを非常に心に留めている」とワシントンポストはいう。
このコロナパンデミックがここまで長引くとは思わなかった。しかし、このパンデミックが様々な問題を浮き彫りにもしたようだ。それらを是正する次に向けての機会にしないとならないのだろう。