米石油メジャーエクソンモービルが、今後5年間、2025年までの温室効果ガス排出量の削減を目指す計画を発表したという。
エクソンモービルは、2025年までに油田の温室効果ガス排出強度を16年比で15-20%低下させ、また、サプライチェーン全体の排出量を算出する国際基準スコープ 3に基づく排出量の報告を2021年から始めるというとロイターが伝える。
全般的な排出量に関する目標は設定せず、排出強度での目標設定のため、生産が拡大した場合には、排出量は依然として増加する可能性があるとロイター指摘する。
背景に、より環境に配慮した燃料へのシフトを求める投資家や環境活動家の圧力があるという。エクソンモービルもまたその圧力に屈したのだろうか。ただ、不完全な目標であれば、その圧力に直面し続けることにならないだろうか。
ベトナムの石炭火力発電にこだわる商社と政府
政府が石炭政策を転換したことで、石炭火力発電所建設に対する国際的な圧力が静まったのかと思ったら、そうでもないようだ。「三菱商事などがベトナムで計画する石炭火力発電所建設「ブンアン2」に対し、欧州の投資家連合が撤退要求を突きつけた」と日本経済新聞が伝える。世界的なESG(環境・社会・企業統治)の流れの中で、三尾商事が市場と政府の板挟みになっているという。
日本経済新聞は、このベトナムの「ブンアン2」石炭火力発電所の建設は地政学リスクを考慮した政府案件と指摘する。「石炭をエネルギー源として選択せざるをえない途上国が存在する現実がある」と発言した梶山弘志経産相の言葉を紹介し、新興国との関係強化には発電所建設など電力カードは有効だという。
しかし、新興国の多くが「パリ協定」に参加し、それぞれの国もまたGHG温室効果ガスの削減目標を設定、様々な施策を実行している。「ブンアン2」が建設されるベトナムも、数字の多寡は別として、8%のGHGの削減を目標とし、その達成のためには「持続可能な開発がベトナムの最優先事項でなければならないと強調している」とベトナムニュースは伝える。
ベトナムに太陽光発電所を建設するシャープ
一方、シャープは、ベトナムのビン・ディン省にメガソーラー(太陽光発電所)を建設したと発表した。シャープはこれまで、ベトナム国内6カ所に太陽光発電所を建設、今回の発電所が完成することにより、出力が合計約340MW-dcとなったという。シャープによると、ベトナム政府は、太陽光発電の総出力規模を、2030年までに12,000MWへ引き上げることを計画しているという。
(写真:シャープ)
持続可能な世界やパリ協定、SDGsを考えれば、シャープの行動の方が理に適っていそうな気がする。
持続的に利益を上げ続ける会社
「持続的に利益を上げ続ける企業」とは何か、著名な投資家バフェット氏の投資方針である「永久保有」から”トウシル”が解説する。
それによれば、顧客の問題を解決し続ける企業こそが、「持続的に利益を上げ続ける企業」だという。そして、顧客という概念を広く捉えれば、それは社会の問題を解決し続ける企業でもあるという。
利益とは何か。
会計的には利益とは売上から費用を控除したものにすぎませんが、より本質的に考えると、利益とは「顧客が抱えている問題を発見し、解決した対価」です。
そうでなければ、その顧客が財・サービスの便益に対して過大な価格を支払う必要はないのですから。 (出所:トウシル)
こんなあたり前のことが忘れられているような気がする。SDGsに取り組みことが、企業の本業にも貢献するといの意見はこうしたことが理由なのかもしれない。
エクソンモービルにしろ、三菱商事にしろ、その行動で、真に顧客となる人たちの問題を解決に導くのだろうか。
エクソンモービルの創始者でもあるロックフェラーも、三菱の創始者岩崎弥太郎も、こうした現実を知れば嘆くのかもしれない。
「参考文書」